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減価償却とは?簡単にわかりやすく解説 — 耐用年数一覧・計算方法・仕訳・確定申告まで

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減価償却とはわかりやすく言うと、車や建物など長く使う資産の代金を、使う年数に分けて経費にしていく仕組みです。意味と目的、資産別の耐用年数一覧、定額法・定率法の計算方法と償却率表、簿記の仕訳、車・不動産・ソフトウェアの実例、個人事業主の確定申告のやり方まで初心者向けに解説します。
目次

減価償却とは?簡単にわかりやすく言うと

減価償却とは、車や建物のように長く使う資産の購入代金を、買った年に全額経費にするのではなく、使う年数に分けて少しずつ費用にしていく会計のルールです。減価償却とは簡単に言うと、「高い買い物の代金を、使う年数で分割して経費にする仕組み」。まずはこの一行だけ持ち帰れば十分です。この記事では意味と目的から耐用年数・計算方法・仕訳・確定申告まで、順を追ってわかりやすく説明します。

具体例で見る「減価償却とは何ですか」の答え

例えば、ある会社が営業用の車を300万円で買ったとします。この車は1年で使い捨てるものではなく、5年も6年も走って売上に貢献します。それなのに300万円全額を買った年の費用にすると、その年だけ大赤字で、翌年からは車で稼いでいるのに車の費用はゼロ、といういびつな決算になってしまいます。

そこで、税法が定めた耐用年数(新車の普通自動車なら6年)で代金を割り振り、毎年およそ50万円ずつを「減価償却費」という費用として計上します。これが減価償却の考え方そのものです。「減価償却するもの」は、時間の経過や使用によって少しずつ劣化し、価値が減っていく資産に限られます。だからこそ、帳簿の上で価値が減る理由を「使った分だけ費用になった」と説明できるわけです。

小学生にもわかるたとえ話と図解のイメージ

子供向けに言い換えるなら、「6年間遊べるゲーム機を買ったから、代金も6年分に分けて、1年ずつおこづかい帳に書く」というイメージです。小学生に絵で説明するなら、購入代金の大きな四角を年数分のブロックに切り分ける図解を描けば一目で伝わります。金額の目盛りを添えて分かりやすく描けば、大人向けの説明にもそのまま使えます。会計の入門書や漫画でこの絵が必ず出てくるのは、それだけ本質を突いた図だからです。

取得価額300万円を耐用年数6年で分け、毎年およそ50万円ずつを減価償却費にする図 取得価額 300万円(耐用年数6年) 買った年に全額ではなく、6年に分けて費用にする 50万円 50万円 50万円 50万円 50万円 50万円 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目 6年目 毎年の減価償却費 約50万円 × 6年 = 300万円
減価償却のイメージ:購入代金という大きな四角を、使う年数の分だけブロックに切り分ける

読んでもよくわからないという人は、「費用=お金が出ていくこと」という思い込みをいったん外してみてください。減価償却費は、お金の支払いとは別のタイミングで発生する帳簿上の費用です。ここがつかめると、後の章で扱う決算書やキャッシュフローの話が一気に腑に落ちます。

読み方・英語・言葉の由来

減価償却の読み方は「げんかしょうきゃく」、減価償却費は「げんかしょうきゃくひ」です。減価償却とは英語で depreciation といい、これは建物や車などの有形資産に使う言葉で、ソフトウェアなど無形資産の償却は amortization と使い分けます。言葉の由来はシンプルで、「減価=価値が減ること」と「償却=少しずつ埋め合わせて消していくこと」の組み合わせ。価値の減少分を毎年の費用として償っていく制度、という意味がそのまま名前になっています。

なお「原価償却」と書かれることもありますが、正しい表記は減価償却です。日本だけの独自ルールではなく、世界中の会計基準に共通する考え方で、企業会計でも税務でも前提となる基本の制度だと理解しておいてください。

なぜ減価償却をするのか — 目的とメリット・デメリット

「なぜ減価償却をするのか」「何のためにわざわざ面倒な計算を行うのか」。減価償却がなぜ必要かという問いへの答え、つまり減価償却を行う理由は、大きく2つに整理できます。

  1. 業績を正しく測るため — 資産は何年も売上に貢献するので、その代金も貢献する期間に配分し、売上と対応させる(費用収益対応の原則)
  2. 課税を公平にするため — 買った年に全額を経費として認めてしまうと、大きな買い物をした年だけ利益を意図的に圧縮できてしまう

減価償却をする意味はこの2点に尽きます。「今年は利益が出たから決算前に高い機械を買って経費で落とそう」という発想が通用しないのは、この仕組みが働いているからです。

費用・経費との違い — 何が「減価償却する費用」なのか

家賃や光熱費のように払った年にそのまま経費になるものと、減価償却の対象になるものとの違いは「効果が及ぶ期間」です。今年だけの支出は今年の費用、何年も使う資産は使う期間にわたる費用。会計の世界ではこう扱いを分けます。減価償却費とは、この配分計算によって各年度に割り当てられた費用の名前です。支出そのものではなく、計算によって生まれる費用である点が、他の経費との決定的な違いになります。

減価償却のメリットとデメリット

メリット
数年にわたって経費化されるので毎年の利益が平準化し、企業として資金計画や納税の見通しを立てやすくなる。資産の実態が決算書に反映されるため、金融機関からの評価も受けやすい
デメリット
購入時に代金を全額支払っているのに、その年の経費になるのは一部だけ。資産ごとの台帳管理と毎年の計算という事務の手間もかかる

節税の観点で見るとお得なのか

減価償却は節税の道具というより、支出を正しいタイミングの費用に振り分けるルールです。それでも会社の実務では「どの方法が有利か」という判断が生まれます。早く費用にしたければ定率法や中古資産の活用、利益を平準化したければ定額法、といった具合です。ただし総額として経費にできる金額は方法を変えても同じで、変わるのは計上する時期だけ。「今期がお得か、来期に残すか」の選択だと理解しておくと、節税の話に振り回されずに済みます。

減価償却費とは — 資産・利益・キャッシュフローとの関係

減価償却費とは費用の一種であり、同時に資産の価値の目減りを表した数字でもあります。この二面性が、初心者がつまずく最大のポイントです。買った時点では、支払った金額はいったん資産として貸借対照表に載ります。そこから毎年、使った分だけを費用に振り替えていく。振り替えた分が減価償却費で、振り替え終わっていない残りが資産として残り続けます。個人事業主でも法人でも、この構造はまったく同じです。

お金が出ていかない費用 — キャッシュフローとの関係

減価償却費の最大の特徴は支払いを伴わない費用だという点です。実際にお金が出ていくのは購入時の一度だけで、翌年以降の減価償却費は帳簿上の計算だけで発生します。だからキャッシュフロー計算書では、利益に減価償却費を足し戻して手元に残った現金を計算します。決算が赤字でも現金が回っている会社があるのは、費のうち減価償却費という「出ていかない費用」が大きいからというケースが少なくありません。

銀行が融資審査で使う債務償還年数(目安として「借入金残高 ÷[利益+減価償却費]」。算式は金融機関によって異なります)にも減価償却費が登場するのは同じ理由です。返済に充てられる原資は、利益に減価償却費を足し戻した金額だと考えるわけです。

減価償却と設備投資・支払いのズレ

減価償却と設備投資は表と裏の関係にあります。設備投資は「今まとまった支出をする」行為、減価償却は「その支出を将来の費用に配る」計算。予算を立てるときは、この支払いと費のタイミングのズレを必ず織り込みます。ローンや割賦で買った場合も同じで、代金が未払いのまま資産計上して償却を始めます。未払金の返済と減価償却費の計上はまったく別のスケジュールで進む、と押さえてください。

固定費としての減価償却費

減価償却費は売上が増えても減っても金額が変わらない固定費です。材料費のような変動費とは性質が異なり、機器の減価償却費が大きい装置産業ほど、売上が損益分岐点を超えたときに利益が伸びやすく、下回ったときに赤字が深くなります。減価償却費とは利益の振れ幅を左右する数字でもある、という視点を持っておくと決算書の読み方が変わります。

減価償却の対象になる資産・ならない資産といくらから必要かのルール

買ったものすべてを減価償却するわけではありません。判定のルールは3つで、「事業に使っているか」「時間の経過や使用で価値が劣化する資産か」「取得価額が10万円以上か」。この3つを通常すべて満たすものだけが減価償却資産になります。

対象になる資産の種類

  • 有形の固定資産 — 建物、建物附属設備、構築物、機械装置、車両運搬具、工具器具備品(パソコン、エアコン、陳列棚、厨房の器具など)
  • 無形資産 — ソフトウェア、特許権、商標権、営業権など
  • 生物 — 果樹や乳牛など、農業で使う一定の動植物も対象になります

対象にならない資産(非減価償却資産)

土地・借地権
時間が経っても価値が劣化しないため対象外。土地付き建物を買った場合は、建物部分だけを償却します
株式・有価証券・債権
株や社債などの金融資産、売掛金のような債権は、使用による価値の減少が起きないため非減価償却資産です
美術品・骨董品
原則は対象外。ただし取得価額100万円未満の絵画などは、例外として償却できる場合があります
遊休資産・予備の機械
事業に使っていない資産は、使い始めるまで償却できません。稼働を止めたままの設備も同じ扱いです
前払費用としての保険料など
火災保険料や賃借料は資産ではなく期間対応の費用。減価償却ではなく、期間に応じた費用処理をします

減価償却はいくらから?金額の基準表

「減価償却はいくらから必要か」「いくら以上で固定資産になるのか」は、取得価額の金額で機械的に決まります。

取得価額処理
10万円未満(または使用可能期間1年未満)消耗品費などで買った年の経費にできる。廉価なスマホ・本・制服(服)・皿などの食器はここに入る
10万円以上20万円未満通常の減価償却のほか、一括償却資産として3年間の均等償却も選べる
40万円未満(青色申告者のみ)少額減価償却資産の特例で買った年に全額経費化。2026年3月31日までに取得した資産は30万円未満が上限
上記以外(10万円以上)原則どおり法定耐用年数で減価償却する

取得価額が10万円未満なら減価償却は不要と覚えてください。この基準のおかげで、日々の事務用品や小さな器具まで資産として管理する必要はありません。判定は経理方式に合わせ、税込経理なら税込金額、税抜経理なら税抜金額で行います。少額減価償却資産の特例は年間合計300万円が上限で、適用期限は2029年3月31日まで延長されています。制度は改正が続いているので、適用前に国税庁の最新情報を確認してください。

耐用年数とは — 主な資産の一覧表と調べ方

耐用年数とは「何年に分けて償却するか」の年数のことです。事業者が自由に決めるものではなく、財務省令「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」の別表で資産の種類ごとに定められています。国税庁のサイトに掲載された耐用年数表で誰でも調べられ、迷ったらまずここを見るのが確実です。

注意したいのは、実際に使える期間との違いです。償却は実際の寿命ではなく法定耐用年数で行います。10年使うつもりのパソコンでも償却期間は法定の4年で、逆に4年を過ぎても壊れるまで使い続けて構いません。償却が終わった資産をそのまま使うことは何も問題ありません。

主な資産の法定耐用年数一覧表

資産法定耐用年数
建物(木造・住宅用)22年
建物(鉄筋コンクリート造・住宅用)47年
普通自動車(新車)6年
軽自動車4年
トラック(一般用の貨物自動車)5年(ダンプ式は4年)
パソコン4年(サーバー用は5年)
カメラ・レンズ5年
ルームエアコン(器具備品)6年
照明設備(ライトを含む電気設備)15年
陳列棚・ラック8年(冷凍・冷蔵機付きは6年)
ソフトウェア(自社利用)5年
農業用設備(トラクター・コンバイン・モア等の農機具)7年
太陽光発電設備17年
金属製の事務机・キャビネット15年

耐用年数の調べ方 — 同じ物でも用途で違う

同じ資産でも用途によって年数が違うのが耐用年数表の難しいところです。建物なら住宅用・事務所用・店舗用で年数が分かれ、機械装置は「食品製造業用設備」「金属製品製造業用設備」のように業種別に定められています。設備の耐用年数を調べるときは、まず自分の業種の設備区分を特定するのが近道です。庭に置く物置のような小さなものでも、10万円以上なら構造と規模に応じた年数を調べて償却します。

年数のレンジは、身近な器具備品なら2年から8年程度、機械装置は7年から10年前後、建物は20年を大きく超えるのが一般的です。パソコンの4年、ソフトウェアや軽トラックの5年、普通車の6年、農機具の7年、家具類の8年、大型の設備で9年以上と、金額が大きく長持ちするものほど年数が伸びる、という感覚をつかんでおくと見当がつけやすくなります。3年と5年のどちらを使うか迷うようなケースは、必ず耐用年数表で用途を確認してください。1年未満で使い切るものはそもそも減価償却の対象外で、買った年の経費です。

中古資産の耐用年数 — 簡便法の計算と2年償却・3年償却

中古で買った減価償却資産は、法定耐用年数をそのまま使いません。すでに何年か使われている分を差し引いて、残りの使用可能期間を見積もった短い年数で償却できます。この見積りを実務では簡便法という決まった算式で行うのが一般的です。

中古の耐用年数の計算式

法定耐用年数を全部経過している場合
法定耐用年数 × 20%(1年未満の端数は切り捨て、最低2年)
法定耐用年数の一部だけ経過している場合
(法定耐用年数 − 経過年数)+ 経過年数 × 20%(1年未満の端数は切り捨て、最低2年)

計算例を見ると早いです。法定耐用年数6年の普通自動車を4年落ちで買った場合、(6 − 4)+ 4 × 20% = 2.8年 → 端数切り捨てで2年。3年落ちなら (6 − 3)+ 3 × 20% = 3.6年 → 3年です。新車なら6年かけて償却するところを、中古なら2年や3年で費用化できることになります。これがいわゆる2年償却・3年償却で、中古資産が費用化のスピードで有利だと言われる理由です。

簡便法が使えないケースと注意点

簡便法にはいくつか制約があります。買った中古資産に大規模な改修を加え、その支出が資産の再取得価額の50%を超えるようなときは、簡便法ではなく法定耐用年数で償却します。また、経過年数が不明な中古資産は、製造年や型式から合理的に見積もる必要があります。

もうひとつ見落としがちなのが、中古の減価償却資産でも取得価額の判定は新品と同じという点です。中古で買って10万円未満なら減価償却せず経費、10万円以上20万円未満なら一括償却資産という選択肢も残ります。中古だから安く済んだ、という買い物ほど、まず金額基準を確認するのが手順です。

減価償却の計算方法 — 定額法と定率法の2つ

減価償却方法にはいくつか種類がありますが、実務で使うのは定額法と定率法の2つです。ほかに生産高比例法などもあり、大きく分ければ3つ以上の方法が制度上は存在しますが、まずはこの2つの使い方を押さえれば十分です。

計算の出発点になる取得価額

どちらの方法でも計算の土台は取得価額です。ここに含めるのは本体価格だけではありません。購入手数料・引取運賃・据付費・試運転費など、事業に使える状態にするまでにかかった付随費用も取得価額に含めます。請求書の内訳を見て、本体と付随費用を合算した金額から計算を始めてください。逆に、自動車取得時の自動車税や登録手数料のように、取得価額に含めず費用にできるものもあります。

定額法 — 毎年同じ額を計上する

計算式は「取得価額 × 定額法の償却率」。おおむね取得価額を耐用年数で割った金額を、毎年同じだけ計上していきます。300万円の車(耐用年数6年、償却率0.167)なら、300万円 × 0.167 = 50万1,000円が毎年の減価償却費です。金額が一定なので予測が立てやすく、利益の見通しを立てたい場合に向きます。

定率法 — 最初に多く、だんだん減る

計算式は「期首の帳簿価額(未償却残高)× 定率法の償却率」。100万円の機械装置(耐用年数5年、償却率0.400)の計算なら、1年目は100万円 × 0.400 = 40万円、2年目は残り60万円 × 0.400 = 24万円、3年目は36万円 × 0.400 = 14万4,000円と、年々小さくなっていきます。初期に多く費用化できるので、早く回収したい設備投資に向く方法です。なお償却額が一定の基準(償却保証額)を下回った年からは、残額を均等に償却する方式へ自動的に切り替わります。

同じ資産で並べると差がはっきりします。100万円の機械(耐用年数5年)を定額法で計算すると償却率0.200で毎年20万円ずつ、5年間ずっと一定です。定率法では先ほどの40万円・24万円・14万4,000円に続き、4年目からは通常の計算額が償却保証額を下回るため均等償却に切り替わり、4年目・5年目はそれぞれ10万8,000円になります。5年間の合計はどちらも100万円で同じで、違うのは費用になるタイミングだけです

100万円・耐用年数5年の資産を定額法と定率法で償却したときの年ごとの減価償却費の比較 100万円の機械(耐用年数5年)の減価償却費(万円) 定額法 定率法 20 40 20 24 20 14.4 20 10.8 20 10.8 1年目 2年目 3年目 4年目 5年目
定額法は毎年同じ額、定率法は最初に多く後から少なく。5年間の合計はどちらも100万円で同じ

法定の減価償却方法と変更の手続き

届出をしない場合に適用される法定の減価償却方法は、個人事業主が定額法、法人が定率法です。ただし建物、建物附属設備、構築物、ソフトウェアなどの無形資産は、どちらの場合も定額法しか選べません。法人の減価償却方法を定額法に変えたい、個人が定率法を使いたいといった場合は、税務署への届出が必要です。すでに採用している方法の変更にも承認申請が要るので、思いつきで年ごとに切り替えることはできません。この意味で方法の選択は任意ですが、選んだ後は継続して適用するのが原則です。

償却率表と2年目以降の計算 — 最後は1円が残る

実際の計算では、耐用年数ごとに定められた償却率を使います。よく使う年数の率をまとめました。

耐用年数定額法の率定率法の率(200%定率法)
2年0.5001.000
3年0.3340.667
4年0.2500.500
5年0.2000.400
6年0.1670.333
7年0.1430.286
8年0.1250.250
9年0.1120.222
10年0.1000.200

「減価償却6年の償却率は」と検索されるほど使用頻度が高いのが6年の率で、定額法0.167・定率法0.333です。7年の計算なら定額法0.143、9年を定率法で計算するなら0.222を使います。定率法の率は2012年4月1日以後に取得した資産に適用される200%定率法のもので、それ以前に取得した資産は250%定率法など別の率になります。取得時期の古い資産は、国税庁の償却率表で該当する表を確認してください。

いつから始まり、2年目以降はどう計算するか

償却が始まるのは購入日ではなく、事業に使い始めた日(事業供用日)です。年の途中から使い始めた場合は月割りで、使用月数を12で割った割合を掛けます。例えば6年の車を10月から使い始めたなら、初年度は50万1,000円 × 3/12 = 12万5,250円です。

2年目以降の計算は方法によって分かれます。定額法は毎年まるまる同じ金額(先の例なら50万1,000円)を計上し、初年度に月割りで減った分は最終年度に繰り越されます。定率法の2年目の計算は、取得価額ではなく期首の未償却残高に償却率を掛けるのが要点。ここを取得価額のまま計算してしまうミスが非常に多いので注意してください。

帳簿価額は0にならない — 備忘価額1円

償却を続けると帳簿価額はどんどん減りますが、最後に0になったら終わり、ではありません。実務では備忘価額として1円を残して償却を終えます。0にならないのは、その資産がまだ手元にあることを帳簿に残しておくためです。この1円は資産を売却または廃棄したときに初めて消えます。

なお2007年3月31日以前に取得した資産には旧定額法・旧定率法という例外があり、旧定額法は取得価額の9割(0.9を掛けた金額)を基礎に計算し、残存価額10%を残す仕組みでした。古い資産の台帳を引き継いだ場合は、この違いに気づけるようにしておくと安心です。

簿記の仕訳と勘定科目 — 決算書での見方

経理の実務でも簿記の試験でも、減価償却は決算のときに処理します。使う勘定科目は費用の「減価償却費」で、相手勘定の書き方に2つの方法があります。

間接法と直接法の仕訳

間接法
(借方)減価償却費 50,000 /(貸方)減価償却累計額 50,000
資産の取得原価を帳簿に残したまま、減った分を減価償却累計額という勘定に積み上げていく方法です。日本の実務と簿記3級の出題では、この間接法が基本になります
直接法
(借方)減価償却費 50,000 /(貸方)備品 50,000
資産の勘定を直接減らす方法。無形資産の償却では通常こちらを使います

損益計算書と貸借対照表での見方

計上した減価償却費は、損益計算書では販売費及び一般管理費に含まれて利益を減らします(製造業では製造原価に入る分もあります)。一方、貸借対照表には資産の取得原価と減価償却累計額の両方が並び、その差額である未償却残高(帳簿価額)が現在の資産価値として示されます。決算書の見方としてここが便利な点で、間接法なら「いくらで買って、どこまで償却が進んだか」が一目で読み取れます。累計額が取得原価に近づいているほど、その設備は古いということです。貸借対照表全体の読み方は貸借対照表の読み方の記事で詳しく解説しています。

数字で見ると分かりやすくなります。50万円で買った備品に減価償却費5万円を3年分計上した状態なら、貸借対照表には取得原価50万円と減価償却累計額15万円が並び、差額の35万円が帳簿価額です。取得原価の帯のうち左の15万円分がすでに費用になった部分、残りの35万円分がこれから費用になる部分、と読み替えると理解しやすくなります。

間接法の貸借対照表で取得原価から減価償却累計額を引いて帳簿価額を示す図 間接法の貸借対照表(備品・3年目末) 取得原価 500,000 減価償却累計額 150,000 帳簿価額(未償却残高) 350,000 500,000 − 150,000 = 350,000 累計額が取得原価に近いほど、その設備は古い
間接法では取得原価と減価償却累計額が両方並ぶので、いくらで買ってどこまで償却が進んだかが読み取れる

簿記3級・2級・1級での出題と覚え方

試験での扱いは級ごとに広がっていきます。簿記3級では定額法と間接法が中心で、期中に取得した資産の月割計算や、期中に売却したときの処理が頻出です。簿記2級では定率法・生産高比例法や固定資産の除却・買換えが加わり、簿記1級ではリース会計や減損会計まで扱います。

覚え方のコツは、「費用の発生は借方」と決めて減価償却費の位置を固定してしまうこと。あとは相手科目が累計額(間接法)か資産そのもの(直接法)かを選ぶだけです。仕訳の形を頭で覚えるより手で覚えるほうが速いので、簿記3級の仕訳の解説を読んだら、仕訳ドリルで減価償却の問題を繰り返し解いてみてください。

車の減価償却 — 新車・中古車・軽自動車で何年になるか

減価償却の相談で最も多いのが車です。車の減価償却とは車両運搬具として資産計上した取得価額を、耐用年数にわたって配分していくこと。何年で償却するかは車種で決まります。

車種法定耐用年数
普通自動車(新車)6年
軽自動車(軽貨物車を含む)4年
貨物自動車(一般用)5年
二輪車3年

300万円の新車を定額法で償却するなら、毎年およそ50万円を6年かけて計上します。軽は年数が短いぶん1年あたりの償却費が大きくなり、同じ金額なら早く費用化できます。ちなみに車を売って稼ぐ中古車販売業では、店頭に並ぶ車を減価償却しません。ここでいう仕入れとは販売するために取得した商品のことで、売れるまで棚卸資産として持ち続けるからです。同じ軽貨物車でも、配送に使えば減価償却資産、売るために仕入れれば棚卸資産と、用途で扱いが変わります。

個人事業主の車は家事按分が必要

個人事業主が仕事とプライベートを兼ねた車を使う場合、車の減価償却費のうち事業で使う割合だけが経費になります(家事按分)。走行距離や使用日数など合理的な基準で割合を決め、根拠を記録に残しておいてください。個人の生活専用の車は当然ながら経費になりません。

法人の社用車と中古車の節税

法人の社用車は原則として全額が償却対象ですが、実態として役員の私的利用が中心なら否認されるリスクがあります。使用記録を残すのが安全です。

そして「中古車は節税になる」と言われる理由がここに関わります。4年落ちの中古車は簡便法で耐用年数2年、定率法の償却率は1.000。期首に事業で使い始めれば、初年度に取得価額のほぼ全額を償却できます。ただし期の途中で買えば月割りになるため、決算直前に慌てて買っても1か月分しか償却できません。節税目的で中古車を検討するなら、購入時期と事業供用日を先に決めるのが鉄則です。

減価償却とリースの違い・ローンの違い

「買う」「ローンで買う」「リースで借りる」は、同じ車や機械を使うのに経理処理がまったく違います。混同しやすいところなので整理しておきます。

減価償却とローンの違い

ローンは支払い方(お金の流れ)、減価償却は費用化(帳簿の処理)の話で、そもそも別の軸です。ローンで買っても資産は購入時に取得価額の全額で計上し、初日から減価償却を始めます。ローンの計算と償却の計算は連動しません。

ここで最も重要なのが経費の範囲です。ローン返済のうち元本部分は経費になりません。元本の返済は借入金という負債を減らす取引にすぎないからです。ローンで生じる費のうち経費になるのは支払利息だけで、車の代金そのものは減価償却費を通じて何年もかけて経費になります。「毎月8万円払っているのに経費は少ししか増えない」という感覚のズレは、この構造から来ています。

減価償却とリースの違い

リースは資産を借りる契約です。一般的な事業用リース(所有権移転外ファイナンス・リースやオペレーティング・リース)では、毎月のリース料をそのまま費用として処理でき、原則として自分で減価償却の計算をする必要がありません。

リースのメリット
初期の資金負担が小さい。資産の管理・償却計算・固定資産税の申告といった事務をリース会社に任せられる。入れ替えサイクルが早い機器と相性がよい
リースのデメリット
支払総額は購入より割高になりやすい。契約期間中の中途解約が難しく、自社の資産にはならない

ただし所有権が移転するタイプのリースや一定のファイナンス・リースは、売買と同じ扱いで資産計上して減価償却します。契約書の条件次第で処理が変わるので、リース車を導入するときは契約形態を必ず確認してください。

結局どれがお得か

購入・ローン・リースのどれが有利かは、使う年数と資金繰りで決まります。長く使うなら購入して減価償却するほうが総支払額は小さく、数年で入れ替えるならリースの手軽さが効きます。投資の判断としては、支払総額の違いに加えて「いつ費用にできるか」の違いも一緒に比べるのが正しい見方です。

建物・不動産の減価償却をわかりやすく

金額が大きいぶん影響も大きいのが建物です。不動産の減価償却は構造ごとに年数が決まっており、原価償却と書かれることもある建物の耐用年数は次のとおりです。

構造(住宅用)法定耐用年数
木造・合成樹脂造22年
木造モルタル造20年
鉄骨造(骨格材3mm超4mm以下)27年
重量鉄骨造(骨格材4mm超)34年
鉄筋コンクリート造・鉄骨鉄筋コンクリート造47年

木造の戸建てなら22年、鉄筋コンクリート造のマンションなら47年が目安です。事務所用・店舗用は同じ構造でも年数が変わります。なお1998年4月1日以後に取得した建物は定額法しか選べません。自分が住むだけの家は事業用ではないので減価償却しませんが、売却時の譲渡所得を計算するときに、償却相当額を取得費から差し引く形で登場します。

土地と建物を分ける — 按分の考え方

不動産で最初にやるべきなのが土地と建物の区分です。土地は減価償却できません。使っても価値が減らないからで、償却できるのは建物と建物附属設備だけです。売買契約書に土地と建物の内訳金額が書かれていればそれを使い、書かれていなければ固定資産税評価額の比率など合理的な基準で按分します。土地の相場を路線価で調べる人もいますが、按分の根拠としては契約書の金額や評価額を使うのが一般的です。

不動産投資・アパート経営での減価償却

賃貸に出す物件では、減価償却費が不動産所得を大きく左右します。アパートの計算で「木造の中古物件は償却が早い」と言われるのは、法定耐用年数22年を全部経過した木造なら簡便法で 22 × 20% = 4.4年 → 4年になり、建物価格を4年で一気に費用化できるからです。1億円の物件でも建物部分が2,000万円なら、4年間は毎年500万円の減価償却費が計上できる計算になります。

アパート経営で償却がいつから始まるかは、購入日ではなく賃貸を開始した日(事業供用日)です。取得後すぐに入居募集を始めた場合は募集開始が基準になります。そして忘れてはいけないのが出口です。償却期間が終われば経費は消え、売却時には帳簿価額が下がっている分だけ譲渡益が膨らみます。短期で償却しきる戦略は、保有中の節税と売却時の課税がセットだと理解して臨んでください。

賃貸・テナントの内装と原状回復での減価償却

借りている物件でも減価償却は登場します。自分の建物ではないのに資産計上が必要になる場面と、逆に借主を守るために減価償却の考え方が使われる場面の2つがあります。

テナントの内装工事は資産計上する

店舗やオフィスとして借りたテナントに内装工事や造作を施した場合、建物の所有者は大家でも、工事代金を負担したのは自分なので「建物附属設備」や「造作」として資産計上します。テナントの減価償却費は、造作の種類ごとの耐用年数か、賃借期間が更新のない定期借家などで明確なときはその期間で計算します。数百万円の内装費を開業した年に全額経費にはできない、という点は開業資金の計画で必ず織り込んでおきたいところです。

退去時の原状回復と経年劣化

賃貸住宅から退去するときの費用にも、減価償却と同じ考え方が使われています。国土交通省の原状回復をめぐるトラブルとガイドラインでは、クロス(壁紙)は6年で残存価値1円まで価値が下がるとされています。つまり6年以上住んだ部屋の壁紙の張り替え費用を、借主が全額負担する必要は原則ありません。塗り壁やクッションフロアなどの内装材、設備機器についても、それぞれの耐用年数に応じて経過年数分が差し引かれます。

退去費用の見積もりや敷金の精算書に、経過年数を考慮しない満額の請求が並んでいたら、この考え方を根拠に説明を求めることができます。ガイドラインは法律そのものではありませんが、実務上の基準として広く参照されています。

借主・貸主それぞれの押さえどころ

  • 借主 — 内装造作は資産計上して償却。退去時は経年劣化分を負担しないのが原則で、敷金からの差し引きは内訳を確認する
  • 貸主 — 入居者が入れ替わるたびの修繕費は、原状回復の範囲なら修繕費として費用処理。価値を高めるグレードアップ工事は資本的支出として資産計上し、減価償却する

修繕費と資本的支出のどちらになるかは金額と工事の内容で判定します。判断に迷う工事は、見積書の内訳を残したうえで税理士に確認するのが確実です。

ソフトウェア・無形資産の減価償却

形のない資産も減価償却の対象です。ソフトウェアは代表的な無形の減価償却資産で、特許権・商標権・営業権なども同じグループに入ります。有形資産との違いは、残存価額を置かず定額法で償却する点です。

ソフトウェアの耐用年数と減価償却法

ソフトウェアの区分耐用年数
自社利用のソフトウェア5年
複写して販売するための原本3年
研究開発用のソフトウェア3年

ソフトウェアの減価償却法は定額法のみで、定率法は選べません。ちなみに「減価償却法」という名前の単独の法律はなく、ルールの根拠は法人税法・所得税法と耐用年数の省令にあります。

システム開発費・AI開発費の扱い

外注して作らせた業務システムの開発費は、完成して事業に使い始めた時点でソフトウェアとして資産計上し、5年で償却するのが基本です。AIモデルの開発費も、業務で継続して使うシステムの一部なら同じ扱いになります。一方、開発の途中で「これは使えない」と判断して中止した費用や、明らかに研究段階の支出は、資産計上せず費用処理できる場合があります。プロジェクトの節目ごとに支出の性質を記録しておくと、後の判断が楽になります。

ライセンスとクラウドサービスの違い

買い切りのライセンス
ソフトウェアを購入したのと同じ。取得価額が10万円以上なら資産計上して5年で償却します
月額・年額のクラウドサービス
インターネット経由で使うSaaSの利用料は、資産ではなくその期間の費用。ネット回線の通信費も同様に費用処理です

同じ会計ソフトでも、パッケージを買えば資産、クラウドで契約すれば費用と分かれます。無形の費用は形が見えないぶん判断がぶれやすいので、「所有権を得たのか、利用する権利を毎月買っているのか」で切り分けると迷いません。

業種別のよくある減価償却資産と、意外な償却の例

どんな資産を持つかは業種で大きく変わります。自分の仕事に近い行を見て、資産計上が必要なものを洗い出してみてください。

業種よくある減価償却資産
飲食店厨房機器・冷蔵庫・製氷機・内装造作。食品そのものは仕入れ、皿やグラスは10万円未満なら消耗品費
アパレル・小売陳列棚やラック・マネキン・レジ・照明器具。販売用の服は棚卸資産なので償却しない
農業トラクター・コンバイン・モアなどの農機具(農業用設備として7年)、ビニールハウス、果樹などの生物
IT・システム開発サーバー・開発用パソコン・自社利用ソフトウェア
製造・食品加工機械装置。業種別の設備区分で年数が決まるため、耐用年数表で自社の区分を特定する
運送トラック・軽貨物車・フォークリフト・倉庫の設備
医療・介護医療機器・介護用機器。社会福祉法人でも会計基準に沿って同じ考え方で償却する
不動産賃貸建物・建物附属設備・給湯器やエアコンなどの器具備品・太陽光発電設備

ちょっと意外な減価償却の例

  • サッカー選手の移籍金 — 欧州のクラブ会計では、選手の登録権を契約年数で償却します。日本のプロスポーツでも同様の考え方が使われます
  • 人間そのものは対象外 — 採用や研修にいくらかけても、人材は資産として計上できません。企業価値の源泉であっても貸借対照表には載らない、会計の限界としてよく指摘される点です
  • 展示用のぬいぐるみや遊具 — 販売用ではなく店舗の装飾や遊び場の備品として長く使うなら、10万円以上で器具備品として償却対象になります
  • 100万円未満の絵画 — 美術品は原則対象外ですが、この金額未満なら償却できる場合があります。対象外の代表例にも例外がある、という好例です

共通しているのは「事業に使い、時間とともに価値が減っていくか」という判定軸です。業種や物の種類が変わっても、この軸だけは動きません。

個人事業主の確定申告 — 減価償却のやり方

個人事業主が減価償却をわかりやすく処理するには、確定申告書の様式に沿って進めるのがいちばん早道です。青色申告なら青色申告決算書、白色申告なら収支内訳書に「減価償却費の計算」欄があり、資産ごとに明細を書いて経費欄へ転記します。

やり方の手順

  1. 資産の取得価額(本体+付随費用)と事業供用日を整理する
  2. 国税庁の耐用年数表で耐用年数と償却率を調べる
  3. 「取得価額 × 償却率 × 本年中の使用月数/12 × 事業専用割合」で本年分の償却費を計算する
  4. 「減価償却費の計算」欄に資産名・取得年月・取得価額・償却方法・未償却残高を記入する
  5. 計算した金額を経費の減価償却費に転記する

ここで押さえておきたいのが、個人は強制償却だという点です。青色申告でも白色申告でも「今年は利益が少ないから償却しない」という選択はできません。計上を忘れると、その年の経費を捨てたうえに未償却残高もずれてしまい、売却や廃業のときの計算まで狂います。

青色申告なら少額減価償却資産の特例が使える

青色申告の大きなメリットが、少額減価償却資産の特例です。取得価額40万円未満(2026年3月31日までに取得した資産は30万円未満)の資産を、買った年に全額経費にできます。年間合計300万円が上限で、常時使用する従業員数の要件もあります。仕事用のパソコンや撮影機材をよく買う個人事業主にとっては、これだけで青色申告を選ぶ理由になるほど効きます。白色申告にはこの特例がなく、10万円以上は原則どおり償却(10万円以上20万円未満は一括償却資産の3年均等が選択可)です。適用期限や金額の基準は改正されるため、申告前に国税庁のサイトで最新情報を確認してください。

会計ソフトを使えば自動計算できる

マネーフォワード クラウド確定申告、freee、弥生会計・やよいの青色申告といった会計ソフトには固定資産台帳の機能があり、資産名・取得価額・取得日・耐用年数を登録するだけで、毎年の償却費の計算から決算書への転記まで自動でやってくれます。使い方はどのソフトもほぼ同じで、登録内容が正しければ計算ミスは起きません。弥生を使ったやり方でも他社ソフトでも、経理担当者が気をつけるべきなのは償却率の暗算ではなく、取得価額に付随費用を入れ忘れないことと、事業供用日を正しく入れることの2点です。

減価償却と税金 — 消費税・償却資産税・法人税

減価償却は所得税や法人税の計算だけでなく、消費税や固定資産税にも関わってきます。設備にかかる税金をまとめて整理しておきます。

消費税では不課税

減価償却費そのものは消費税の不課税(課税対象外)です。消費税は資産を購入したときに一度だけかかっており、その後の償却は帳簿上の配分にすぎないためです。実務で気をつけるのは金額基準への影響で、税込経理を採用しているなら税込金額、税抜経理なら税抜金額で「10万円未満かどうか」を判定します。同じ資産でも経理方式によって判定が分かれることがあるので、社内で方式を統一しておいてください。

償却資産税(固定資産税)がかかることもある

事業用の機械装置・器具備品・構築物などには、市町村が課税する固定資産税(償却資産)があります。毎年1月に資産の状況を申告し、課税標準額の合計が150万円未満(免税点)なら課税されません。ただし免税点未満でも申告そのものは必要です。

ここで効いてくるのが一括償却資産の選択です。3年均等償却を選んだ資産は償却資産税の申告対象から外れます。20万円未満の設備をまとめて導入する場合、通常の減価償却より一括償却を選んだほうが税金面で有利になることがある、というのは覚えておく価値があります。土地と建物は償却資産ではなく通常の固定資産税の対象で、こちらは別枠で課税されます。

法人税の償却限度額と赤字・閉業のとき

法人税では、その年に損金にできる上限を償却限度額といい、申告書の別表十六で計算します(計算欄の名称から算出償却限度額と呼ばれることもあります)。法人は任意償却なので、限度額の範囲内であれば計上額を減らすことも制度上は可能です。赤字の年に償却費を計上しない、という判断もできます。

ただし償却不足は、金融機関の決算書分析で「利益を実態より大きく見せている」と受け取られがちです。融資を受けている企業なら、限度額どおり計上しておくほうが無難でしょう。事業を閉業・廃業するときは、残っている未償却残高を除却損や売却損として処理して精算します。個別のケースの最終判断は、税務署か税理士に確認してください。

まとめ — 減価償却とはなにかをひと言で

減価償却とはなにか。ひと言でいえば「長く使う資産の代金を、使う期間に配分して費用にしていく仕組み」です。この記事の要点を最後に整理します。

  • 対象は事業に使う10万円以上の資産で、時間や使用で価値が減るもの。土地・株式・債権は対象外
  • 耐用年数は国税庁の耐用年数表(省令)で調べる。中古資産は簡便法で短くでき、4年落ちの普通車なら2年になる
  • 計算方法は定額法と定率法の2つ。個人は定額法・強制償却、法人は定率法・任意償却が原則で、建物と無形資産は定額法のみ
  • 償却は事業供用日から月割りで始まり、最後は帳簿価額を0にせず備忘価額1円を残して終える
  • 簿記の仕訳は「減価償却費 / 減価償却累計額」(間接法)。簿記3級の決算の詳細を読む">簿記3級の決算整理で必ず出る論点
  • 確定申告は決算書の「減価償却費の計算」欄へ。青色申告なら40万円未満(2026年3月31日までの取得は30万円未満)を即時経費化できる特例が使える

制度の細部は改正が続くので、金額基準や特例の適用期限は国税庁のサイトで最新情報を確認する習慣をつけてください。一方で、費用配分という考え方そのものは何十年も変わっていません。

減価償却をわかりやすく身につける一番の近道は、実際に仕訳を切ってみることです。定額法・間接法・月割りという3点セットは、頭で理解するより手を動かすほうが圧倒的に速く定着します。Love.Accountants の仕訳ドリルには減価償却の練習問題を収録しているので、読んだ知識を今日のうちに手で確かめてみてください。基礎から順に固めたい人は簿記とは何かの記事から始めるのがおすすめです。