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簿記3級の仕訳を完全攻略|勘定科目一覧・よく出るパターンの例題・覚え方のコツと無料の練習問題

最終更新日:
簿記3級の仕訳は第1問で15問・配点45点を占める最大の得点源です。仕訳とは何かという複式簿記のルールと5要素の考え方から、勘定科目一覧、よく出るパターンの例題、決算整理仕訳、暗記に頼らない覚え方のコツ、無料アプリでの練習方法まで、日商簿記3級の仕訳対策に必要なことをこの1本にまとめました。
目次

仕訳とは?複式簿記のルールを基礎からわかりやすく解説

仕訳とは、お金やモノが動いた取引を「借方(かりかた・左側)」と「貸方(かしかた・右側)」の2つの面に分けて記録する、複式簿記の基本作業です。日商簿記3級(日商簿記検定3級・簿記検定3級・3級簿記などとも呼ばれます)の学習は仕訳に始まり仕訳に終わると言われ、試験でも第1問に仕訳問題が15問並びます。この章では、仕訳とは何かという定義と複式簿記のルール、そして仕訳のすべての土台になる5要素を、簿記の基礎知識ゼロの人にもわかりやすく簡単に説明します。簿記そのものの全体像から知りたい場合は簿記とはの記事を先に読むとスムーズです。

仕訳とは — 1つの取引を2つの面から記録すること

簿記でいう取引とは、会社の財産が増えたり減ったりする出来事のことです。複式簿記では、その取引を必ず2つの側面から捉えます。「商品100円を現金で仕入れた」という取引なら、「仕入(費用)が増えた」面と「現金(資産)が減った」面の両方を同時に持っています。これを仕訳の形で書くと「(借方)仕入 100 /(貸方)現金 100」。左側に書くものを借方、右側に書くものを貸方と呼びます。借方・貸方という言葉自体に深い意味はないので、「かりかたの『り』は左に払うから左、かしかたの『し』は右に払うから右」と割り切って覚えてしまって構いません。

注意したいのは、簿記上の取引と日常語の取引がずれることです。契約を結んだだけ、商品を注文しただけ、従業員を採用しただけでは財産がまだ動いていないため仕訳なしになります。逆に、火災で建物が焼失した、現金を紛失したというような相手のいない出来事でも、財産が減る以上は簿記上の取引であり仕訳が必要です。仕訳を切るかどうかの判断は、常に「財産が動いたか」で行います。

借方と貸方に同じ金額を記録する仕訳の基本形取引:商品100円を現金で仕入れた=借方(左)仕入 100費用の増加貸方(右)現金 100資産の減少借方合計 100 = 貸方合計 100
1つの取引を左右に分け、同じ金額を借方と貸方に記録する(複式簿記の大原則)

複式簿記のルールは「借方合計=貸方合計」ひとつだけ

複式簿記のルールとして絶対に崩れないのは、1本の仕訳の借方合計と貸方合計は必ず一致するという一点です(貸借平均の原理)。仕訳のあらゆる書き方の決まりは、ここから導かれていると考えて差し支えありません。

この一致は、1つの取引に登場する勘定科目が3つ以上になっても変わりません。複式簿記の例として、「給料300,000円のうち所得税10,000円を天引きし、残りを普通預金から振り込んだ」という取引を見てみましょう。仕訳は「(借方)給料 300,000 /(貸方)所得税預り金 10,000・普通預金 290,000」となり、借方は1行・貸方は2行ですが、合計はどちらも300,000円で一致します。左右の行数が違っても、金額の合計さえ揃っていればその仕訳は形式として正しいということです。

簿記の5要素(5大要素)— 勘定科目はすべてどれかに属する

仕訳で使う「現金」「仕入」といった記録のラベルを勘定科目、略して勘定と呼びます。そしてすべての勘定科目は、資産・負債・純資産・収益・費用という5要素(簿記の5大要素)のどれかに必ず属します。要素ごとに「増えたときに書く側」が決まっているため、この分類が仕訳の考え方そのものの土台になります。逆に言えば、ここが曖昧なまま問題数をこなしても正答率は安定しません。

要素意味科目の例増えたら書く側
資産会社の財産・受け取る権利現金、普通預金、売掛金、備品、土地借方(左)
負債支払う義務買掛金、借入金、未払金貸方(右)
純資産元手と儲けの蓄積資本金、繰越利益剰余金貸方(右)
収益儲けの原因売上、受取手数料、受取利息貸方(右)
費用儲けるための犠牲仕入、給料、支払家賃、旅費交通費借方(左)

資産・負債・純資産の3つは貸借対照表に、収益・費用の2つは損益計算書に集まります。5要素と決算書のつながりを先に見ておきたい人は貸借対照表の読み方の記事もあわせて読むと、仕訳が最終的に何になるのかが見えてきます。

三分法 — 商品売買は仕入・売上・繰越商品で記帳する

簿記3級の商品売買は、三分法(3分法)という記帳方法が前提です。三分法とは、商品の動きを仕入(費用)・売上(収益)・繰越商品(資産)という3つの勘定科目に分けて記録するやり方のこと。商品を買ったら仕入、売ったら売上、決算日に売れ残っていたら繰越商品、という役割分担です。

「商品」という勘定科目を直接増減させない点に最初は違和感を覚えるかもしれません。しかし第1問の仕訳も第3問の決算も三分法を前提に出題されるため、3級の段階ではこの約束事をそのまま受け入れてしまうのが得策です。三分法を採るからこそ決算で売上原価を計算する手続き(後述の「しーくり・くりしー」)が必要になる、という因果関係だけ押さえておけば十分です。

仕訳のやり方 — 3ステップの考え方と書き方・書く順番

仕訳のやり方には、才能もひらめきも要りません。必要なのは、どんな取引が来ても同じ順序で処理する手順です。ここでは仕訳を切る方法を3つのステップに分解し、そのあとで解答用紙に書くときの書き方と書く順番のルールを確認します。この考え方が身につくと、初めて見る取引文でも手が止まらなくなります。

ステップ1 — 登場する勘定科目を特定する

まず取引文を読み、動いたものに名前を付けます。「商品を掛けで仕入れた」なら動いたのは商品(=仕入)と、後払いの義務(=買掛金)の2つ。ここで大切なのは、自分の会社から見て何が動いたのかを考えることです。「得意先に商品を売り、代金は後日受け取る」という文の主語は自社なので、発生するのは売掛金であって買掛金ではありません。取引文に出てくる相手(得意先・仕入先・銀行)は視点を確認するための情報であり、仕訳に書くのはあくまで自社の勘定です。

ステップ2 — 5要素のどれで、増えたのか減ったのかを判定する

次に、特定した各勘定科目が資産・負債・純資産・収益・費用のどれに属するかを決め、それが増えたのか減ったのかを判定します。仕入は費用で増加、買掛金は負債で増加、という具合です。そしてそれぞれの要素には「増えたときに書く側」=ホームポジションが決まっています。資産と費用は借方がホーム、負債・純資産・収益は貸方がホームです。

5要素のホームポジション:資産と費用は借方、負債・純資産・収益は貸方勘定科目の「ホームポジション」借方(左)がホーム資産費用貸方(右)がホーム負債純資産収益増えたら → ホーム側に書く減ったら → 反対側に書く
要素ごとにホーム側が決まっている。増加はホーム側、減少は反対側に書く

ステップ3 — 増減に応じて左右に振り分け、金額を書く

最後に、増えた科目はホーム側へ、減った科目は反対側へ、金額とともに記入します。先ほどの「商品200,000円を掛けで仕入れた」なら、仕入(費用)の増加は借方、買掛金(負債)の増加は貸方となり「(借方)仕入 200,000 /(貸方)買掛金 200,000」で完成です。「掛け代金100,000円を現金で支払った」なら、買掛金(負債)の減少はホームの反対側=借方、現金(資産)の減少もホームの反対側=貸方となり「(借方)買掛金 100,000 /(貸方)現金 100,000」。増減の判定さえ間違えなければ、左右は自動的に決まります

書き方と書く順番 — 左右の合計が合っていれば行の順序は問われない

仕訳を書く順番に決まりはなく、借方から書いても貸方から書いても正解です(実務でも試験でも借方から書くのが一般的)。同じ側に複数の科目が並ぶときの行の順番も採点対象ではありません。金額はカンマ区切りの円単位で書き、同じ勘定科目が1つの仕訳の同じ側に2回出てきたときは合算して1行にまとめます。

ネット試験では、この書き方がそのまま画面操作に置き換わります。勘定科目はプルダウンから選択し、金額はキーボードで入力する方式で、同じ科目を同じ側に2行入力するとエラー扱いになることがあるため、合算のルールは紙以上に意識しておきたいところです。次の章では、その出題形式と配点を具体的な数字で確認します。

試験で仕訳はどう出る?第1問の配点45点・何問出るかと全体の何割か

日商簿記検定3級の試験は第1問から第3問までの3題構成で、試験時間は60分、100点満点中70点以上で合格です。そのなかで仕訳問題は第1問に集中しています。学習の力の入れどころを決めるために、まず「何問出て何点なのか」を数字で押さえましょう。

第1問は仕訳15問・1問3点で配点45点 — 全体の45%を占める

第1問の仕訳問題は15問。1問何点かといえば各3点で、配点は合計45点です。100点満点に対する割合は45%、つまり仕訳だけで試験全体の半分近く、合格点70点の6割以上を占めます。仕訳を固めた受験者が第1問で満点(45点)をとることは珍しくなく、ここで40点前後を安定して確保できると、残りの55点のうち30点を拾えば合格ラインに届く計算になります。逆に第1問の点数が20点台に沈むと、第2問・第3問でほぼ取りこぼしが許されなくなります。

大問内容配点時間配分の目安
第1問仕訳問題 15問(1問3点)45点10〜15分
第2問勘定記入・補助簿・伝票など20点15分
第3問精算表・決算書の作成35点30分

第1問は1問あたり1分弱で処理するのが目安です。ここを10分台前半で抜けられるかどうかが、第3問にかけられる時間を決めます。大問ごとの配点の内訳や部分点の考え方は簿記3級の配点の記事で詳しく扱っています(試験制度は変更されることがあるため、最新の情報は商工会議所の公式サイトで確認してください)。

ネット試験では勘定科目をプルダウンで選択する

ネット試験(CBT=Computer-Based Testing 方式)には紙の解答用紙がなく、Web ブラウザ上の画面で解答します。勘定科目は問題ごとに用意されたプルダウンの選択肢から選び、金額はキーボードで入力する形式です。選択肢にない科目は使えないため、「この取引は仮払金と立替金のどちらだろう」と迷ったときは、選択肢に並んでいる科目そのものがヒントになります。

統一試験(紙)の場合は解答用紙に科目名と金額を手書きしますが、こちらも科目は問題文に一覧で指定され、記号で答える形式が一般的です。出題範囲・難易度・合格基準はネット試験と統一試験で共通で、違うのは解答の入力方法だけと考えて構いません。ネット試験特有の準備や当日の流れは簿記3級のネット試験の記事にまとめています。

仕訳だけで受かる?仕訳以外の大問との関係

「仕訳のみを対策すれば合格できるのか」という問いには、半分イエス・半分ノーで答えるのが正確です。第2問の勘定記入も第3問の決算書作成も、見た目は仕訳以外の問題ですが、中身は仕訳を集計したり勘定口座へ書き写したりしているだけです。第3問で問われる精算表の修正記入欄に至っては、決算整理仕訳をそのまま横に並べたものにほかなりません。

したがって、仕訳だけで100点を取ることはできないものの、仕訳力なしで解ける大問は1つもありません。学習の順序としては、仕訳を反射レベルまで固めてから第2問・第3問の形式に慣れるのが最短です。大問ごとの出題形式と対策は簿記3級の問題の記事で解説しています。

簿記3級の勘定科目一覧 — 5要素別の仕訳科目まとめ

仕訳の第一歩は、目の前の勘定科目がどの要素に属するかを即答できることです。日商簿記3級の試験で使う主な科目を、5要素別の一覧表にまとめました。こうした一覧表は仕訳表や仕訳一覧、個々の科目は仕訳科目と表記されることもありますが、正式な用語は勘定科目です。

貸借対照表の勘定科目一覧 — 資産・負債・純資産

要素主な勘定科目
資産現金、小口現金、当座預金、普通預金、定期預金、受取手形、電子記録債権、売掛金、クレジット売掛金、繰越商品、貯蔵品、貸付金、手形貸付金、従業員貸付金、立替金、従業員立替金、前払金、仮払金、未収入金、受取商品券、差入保証金、仮払消費税、仮払法人税等、前払費用、未収収益、建物、備品、車両運搬具、土地
負債買掛金、支払手形、電子記録債務、借入金、手形借入金、当座借越、未払金、前受金、仮受金、預り金、所得税預り金、社会保険料預り金、仮受消費税、未払消費税、未払法人税等、未払費用、前受収益
純資産資本金、利益準備金、繰越利益剰余金

資産の勘定科目は「現金・預金 → 回収する権利 → 前払い系 → 長く使うモノ」の順に並べると頭に入りやすくなります。負債はその裏返しで「支払う義務」。判断に迷ったら、その項目が最終的に会社にお金をもたらすのか、会社からお金が出ていくのかを考えてください。

損益計算書の勘定科目一覧 — 収益・費用

要素主な勘定科目
収益売上、受取手数料、受取利息、受取家賃、受取地代、貸倒引当金戻入、償却債権取立益、固定資産売却益、雑益
費用仕入、発送費、給料、法定福利費、広告宣伝費、支払手数料、支払利息、旅費交通費、通信費、消耗品費、水道光熱費、支払家賃、支払地代、保険料、租税公課、貸倒引当金繰入、貸倒損失、減価償却費、修繕費、固定資産売却損、雑損、法人税・住民税及び事業税

収益と費用の科目には「受取〜」「支払〜」という接頭辞が付くものが多く、これが強力な目印になります。受取家賃は収益で貸方がホーム、支払家賃は費用で借方がホーム。同じ「家賃」でも立場が逆なだけです。ただし例外もあり、受取商品券は収益ではなく資産(あとで換金できる権利)なので、名前だけで機械的に判断しないよう注意してください。

科目名の暗記より、分類の即答を優先する

勘定科目の種類は3級だけでも70前後あり、一覧を眺めると気が遠くなるかもしれません。ただし試験では使える科目が選択肢として指定されるため、科目名を一字一句そらで書ける必要はありません。求められているのは、提示された科目を見た瞬間に「これは資産」「これは費用」と分類できることです。

一覧表の使い方としては、上から順に読んで「増えたらどちら側か」を口に出して答えていく方法が効率的です。詰まった科目だけに印を付け、その科目が登場する取引を1つ思い浮かべられるかまで確認します。なお、資産と費用の区別が曖昧になりやすいのは前払金・前払費用・差入保証金あたり、負債では預り金と仮受金です。この5つを説明できれば、分類で落とす問題はほぼなくなります。

よく出る仕訳パターン一覧① 商品売買・現金・預金

第1問でよく出る問題は、取引のパターンとしては驚くほど限られています。ここからは頻出パターンを分野別の例題で確認していきます(例題はすべて本記事のオリジナルです)。まず取引文だけを読んで借方・貸方が浮かぶかを試し、答え合わせのつもりで表を見てください。

商品売買の仕訳 — 仕入・売上・返品・商品券・発送費

取引の例借方貸方
商品200,000円を仕入れ、代金は掛けとした仕入 200,000買掛金 200,000
商品を300,000円で売り上げ、代金は掛けとした売掛金 300,000売上 300,000
掛けで仕入れた商品のうち20,000円を品違いで返品した買掛金 20,000仕入 20,000
商品150,000円を売り上げ、代金は自治体発行の商品券で受け取った受取商品券 150,000売上 150,000
売り上げた商品の発送費5,000円(当社負担)を現金で支払った発送費 5,000現金 5,000

返品の仕訳は、元の仕訳を逆に書くだけです。仕入時に「仕入/買掛金」と書いたなら、返品では「買掛金/仕入」。この対称性を理解しておけば、売上の返品も自動的に「売上/売掛金」と出てきます。発送費は誰が負担するかで扱いが変わり、当社負担なら費用の発送費、先方負担で立て替えたなら立替金または売掛金に含める処理になります。取引文の「当社負担」「先方負担」という一言が答えを分けるので、読み飛ばさないでください。

現金・預金の仕訳 — 小切手・当座借越・小口現金

取引の例借方貸方
売掛金100,000円の回収として、得意先振出の小切手を受け取った現金 100,000売掛金 100,000
買掛金80,000円の支払いのため、小切手を振り出した買掛金 80,000当座預金 80,000
受け取っていた小切手50,000円を当座預金に預け入れた当座預金 50,000現金 50,000
小口現金係に小口現金10,000円を小切手で補給した小口現金 10,000当座預金 10,000

小切手はほぼ毎回出る頻出テーマで、しかも受験者が最もつまずくところです。原則は他人が振り出した小切手を受け取ったら「現金」、自分が振り出したら「当座預金」の減少。他人振出の小切手はいつでも銀行に持ち込んで現金化できるため、簿記では現金と同じ扱いをします。自己振出の小切手が回り回って戻ってきた場合だけは例外で、当座預金の増加として処理します。

当座預金の残高を超えて小切手を振り出すと、当座預金が貸方残高(マイナス)になります。期中はそのまま当座預金で処理しておき、決算日に残っているマイナス分を当座借越(負債)へ振り替えるのが3級の扱いです。小口現金は、日々の細かい支払い用に係へ前渡ししておくお金のことで、使った分をあとから補給する定額資金前渡法(インプレスト・システム)の形で出題されます。

よく出る仕訳パターン一覧② 給料・経費・固定資産・税金

商品売買と現金預金に次いで出題が多いのが、給料や経費の支払い、固定資産の購入、税金まわりの取引です。これらは科目の名前がやや長く、初見では身構えてしまいますが、パターンの数自体は限られています。

給料と経費の仕訳 — 源泉徴収・収入印紙・振込手数料

取引の例借方貸方
給料300,000円から所得税10,000円を源泉徴収し、残額を普通預金から支払った給料 300,000所得税預り金 10,000 / 普通預金 290,000
預かっていた所得税10,000円を現金で納付した所得税預り金 10,000現金 10,000
領収書に貼る収入印紙4,000円を現金で購入した租税公課 4,000現金 4,000
売掛金100,000円が振込手数料440円を差し引かれて入金された普通預金 99,560 / 支払手数料 440売掛金 100,000

給料(給与と表記されることもあります)の仕訳は、預り金との組み合わせで出るのが定番です。押さえるべき構図は支給総額の全額が費用の給料、天引きした分は会社が預かっているだけなので負債という点。手取り額を給料として計上してしまうのが典型的な誤りです。収入印紙は購入時に租税公課(費用)で処理し、決算日に未使用分が残っていれば貯蔵品(資産)へ振り替えます。この処理は収入印紙の勘定科目の記事で詳しく解説しています。

固定資産と資本金の仕訳 — 土地・備品・株式の発行

取引の例借方貸方
土地1,000,000円を購入し、整地費用50,000円とともに普通預金から支払った土地 1,050,000普通預金 1,050,000
備品120,000円を購入し、代金は月末払いとした備品 120,000未払金 120,000
備品を帳簿価額どおり60,000円で売却し、代金は月末に受け取ることにした未収入金 60,000備品 60,000
会社の設立にあたり株式を発行し、払込金500,000円が普通預金に入金された普通預金 500,000資本金 500,000

固定資産で必ず問われるのが、購入にかかった付随費用の扱いです。整地費用・仲介手数料・据付費・引取運賃などは費用にせず、取得原価に含めて資産として計上します。「支払手数料で処理してしまう」誤答が非常に多いポイントです。また、本業の商品ではないもの(備品や土地)を売った代金の未回収分は、売掛金ではなく未収入金を使います。未収入金は旧称の未収金と表記されることもありますが、現在の試験では未収入金が正式な科目名です。

税金と利息の仕訳 — 消費税・法人税・受取利息

取引の例借方貸方
商品110,000円(うち消費税10,000円)を仕入れ、代金は掛けとした仕入 100,000 / 仮払消費税 10,000買掛金 110,000
法人税等の中間申告を行い、200,000円を普通預金から納付した仮払法人税等 200,000普通預金 200,000
貸付金の利息2,000円を現金で受け取った現金 2,000受取利息 2,000
借入金の利息3,000円が普通預金から引き落とされた支払利息 3,000普通預金 3,000

消費税は税抜方式が前提で、支払った分は仮払消費税(資産)、預かった分は仮受消費税(負債)として本体価格と切り離します。決算で両者を相殺し、差額を未払消費税として計上する流れです。法人税等も同じ構造で、中間申告で納めた分が仮払法人税等、決算で確定した年税額との差額が未払法人税等になります。利息は受け取れば収益の受取利息、支払えば費用の支払利息と、対になって覚えるのが効率的です。

決算整理仕訳 — 精算表・売上原価・貸倒引当金・経過勘定

決算とは、期末に帳簿を整理して財務諸表を作る手続きのことです。第3問で出る精算表や決算書の作成問題は難しそうに見えますが、実体は決算整理仕訳を切って集計するだけ。しかも3級で問われる決算整理仕訳の型は数種類しかありません。ここを押さえると、第1問の後半に混ざる決算関連の仕訳と第3問を同時に攻略できます。

売上原価の算定 — 繰越商品と期末商品棚卸高

三分法では、期中の仕入勘定は「その期に仕入れた金額」の合計にすぎず、売れた分の原価(売上原価)とは一致しません。そこで決算で期首と期末の在庫を調整します。期首商品棚卸高が50,000円、期末商品棚卸高が70,000円なら仕訳は次の2本です。

  • (借方)仕入 50,000 /(貸方)繰越商品 50,000 — 期首の在庫を仕入へ振り替える
  • (借方)繰越商品 70,000 /(貸方)仕入 70,000 — 期末の在庫を仕入から除く

「しーくり・くりしー」の語呂で知られる、決算の最頻出仕訳です。この2本を切ったあとの仕入勘定の残高がそのまま売上原価を表し、繰越商品勘定の残高が貸借対照表に載る期末の商品になります。第1問で「決算にあたり売上原価を算定する」と書かれていたら、この2行を書けば正解です。

貸倒引当金と減価償却 — 貸倒損失との使い分け

売掛金や受取手形の期末残高には、将来回収できなくなる分をあらかじめ見積もって貸倒引当金を設定します。売掛金残高400,000円に2%を設定し、決算整理前の貸倒引当金残高が3,000円あるなら、差額の5,000円だけを繰り入れて「(借方)貸倒引当金繰入 5,000 /(貸方)貸倒引当金 5,000」(差額補充法)。設定額の8,000円をそのまま繰り入れるのが典型的な誤りです。

実際に貸し倒れたときの処理は、その債権がいつ発生したかで分かれます。前期以前に発生した売掛金なら貸倒引当金を取り崩し、引当金が足りない分と当期に発生した売掛金は貸倒損失(費用)で処理します。建物や備品の価値の目減りを費用にする減価償却費も決算整理の定番で、計算方法や記帳方法は減価償却とはの記事にまとめています。

経過勘定 — 未払給料・前払家賃など4つの型

当期に発生しているのにまだ支払っていない費用は、決算で未払計上します。3月分の給料を翌月払いにしているなら「(借方)給料 /(貸方)未払給料」。逆に先に払ってある家賃のうち翌期分は、前払家賃(資産)へ振り替えて当期の費用から除きます。未払費用・前払費用・未収収益・前受収益の4パターンで1セットの論点で、費用・収益を当期の分だけに切り揃えるという発想は共通です。翌期首にはこれを逆仕訳で戻す再振替仕訳も出題されます。

損益振替 — 当期純利益は繰越利益剰余金へ

決算の締めくくりでは、すべての収益と費用の残高を損益勘定へ振り替えます。損益勘定の貸方に収益、借方に費用が集まり、その差額が当期純利益です。算出された当期純利益は「(借方)損益 /(貸方)繰越利益剰余金」の仕訳で純資産へ振り替えられ、ここで帳簿が一巡します。損益勘定への振替と繰越利益剰余金勘定の記入は第2問の勘定記入でも問われる重要論点です。

これらの決算整理仕訳を一枚の表にまとめて決算書へつなぐのが精算表です。精算表の修正記入欄は決算整理仕訳を横に並べたものなので、仕訳が書ければ埋められます。書き方の手順は簿記3級の精算表、決算論点の全体像は簿記3級の決算の記事で解説しています。

仕訳帳への記入と転記 — 帳簿・伝票・仕訳日計表

仕訳は切って終わりではありません。帳簿に記録され、勘定ごとに集計され、最後に決算書になります。この一連の流れは第2問の頻出テーマであり、仕訳と転記をセットで理解しているかどうかで得点が変わります。

取引から財務諸表までの帳簿一巡の流れ取引が発生する仕訳帳に仕訳を記入総勘定元帳へ転記試算表で貸借を確認精算表・財務諸表
仕訳は帳簿一巡の入口。取引を仕訳帳に記入し、総勘定元帳へ転記して集計する

仕訳帳の書き方 — 複式簿記の主要簿

仕訳帳は、すべての取引の仕訳を日付順に記録する主要簿です。複式簿記の仕訳帳には、日付・摘要(勘定科目と小書き)・元丁(転記先の総勘定元帳のページ番号)・借方金額・貸方金額を記入します。摘要欄では借方の科目を上の行の左寄りに、貸方の科目を下の行の右寄りに書き、科目名を丸カッコで囲むのが伝統的な書式です。1つの取引で借方または貸方が2科目以上になるときは「諸口」と書いてから各科目を並べます。

実務では会計ソフトが仕訳帳を自動生成するため手書きすることはほとんどありませんが、試験ではこの記入ルールと次の転記がセットで問われます。手を動かして練習したい場合は、仕訳帳のテンプレートを配布しているサイトからダウンロードして印刷するか、ノートに5列の罫線を引けば十分です。

仕訳と転記 — 総勘定元帳への写し方

仕訳帳に記入した仕訳は、勘定科目ごとの記録である総勘定元帳の各勘定口座へ転記します。転記のルールは単純で、仕訳の借方に書いた科目はその勘定の借方へ、貸方に書いた科目はその勘定の貸方へ、日付・相手科目名・金額を写すだけです。相手科目が2つ以上あるときは、ここでも「諸口」と書きます。

第2問では現金勘定・売掛金勘定・繰越利益剰余金勘定などへの記入という形で出題され、空欄になっている日付や相手科目を推理させる問題が定番です。転記の方向を逆にすると勘定残高がまるごと狂うため、練習の段階から「借方は借方へ、貸方は貸方へ」を声に出して確認する癖をつけておくと安全です。

伝票と仕訳日計表 — 3伝票制の集計

実務では仕訳帳の代わりに伝票を使う会社もあります。試験範囲では、入金伝票・出金伝票・振替伝票の3種類の票に取引を起票する3伝票制が問われます。現金が入れば入金伝票、出れば出金伝票、現金が動かない取引は振替伝票、という振り分けです。一部現金取引をどう分解するかが出題のヤマになります。

1日分の伝票を勘定科目別に集計した表が仕訳日計表で、ここから総勘定元帳へまとめて転記します(個々の伝票から転記する手間を省く仕組みです)。「仕訳日計表は出ないのでは」と言われることもありますが、伝票会計は現在も第2問の出題候補に含まれる論点です。頻度は高くないので優先度は下げてよいものの、集計表の形と転記の流れだけは一度確認しておくと安心です。

仕訳の覚え方とコツ — 暗記に頼らない3つの考え方

「仕訳が覚えられない」「解説を読めばわかるのに自力ではできない」という悩みは、勉強のやり方を少し変えるだけで解消することがほとんどです。日商簿記3級の仕訳のコツは、取引ごとの答えを暗記するのではなく、判断の型を1つ持つこと。ここでは覚え方の核心を3つに絞って紹介します。

コツ1 — ホームポジションの型ひとつで判断する

仕訳の覚え方の基本は、「資産と費用は借方がホーム、負債・純資産・収益は貸方がホーム。増えたらホーム側、減ったら反対側」という1つのルールに集約されます。「現金が増えたから借方」「買掛金が減ったから借方」というふうに、科目 → 要素 → 増減の順で機械的に判断していく考え方です。

取引パターンを1つずつ暗記する方法と比べると、覚える量は圧倒的に少なくなります。3級の頻出パターンは100種類前後ありますが、要素は5つしかありません。しかも型で判断できるようになれば、テキストに載っていない初見の取引文にも同じ手順で対応できます。暗記は、この型で処理しきれない例外(受取商品券は資産、貯蔵品への振替など)だけに使うのが正しい配分です。

コツ2 — わからないときは科目の分類まで戻る

仕訳ができない原因の大半は、仕訳そのものではなく勘定科目の要素分類が曖昧なことにあります。答えを見て「なるほど」と思ったら、そこで終わらずに「どの科目の分類を間違えたのか」まで言語化してください。前払金を費用だと思っていたのか、預り金を資産だと思っていたのか。原因が科目の分類に着地したなら、対策は仕訳の練習ではなく科目一覧の読み直しです。

間違えた科目は1冊のノートに集めておくと復習が速くなります。ページを分けず、「科目名・要素・その科目が増える取引の例」の3点だけを1行で書き足していく形式が続けやすい方法です。試験直前に見返すのはこのノートだけで足ります。

コツ3 — 完璧を目指さず、翌日にもう一度解く

1問に10分悩んで自力で正解にたどり着くより、3分考えて解説を読み、翌日にもう一度同じ問題を解くほうが定着します。仕訳は理解する対象というより、反応速度を上げる対象だからです。1周目から完璧を目指すと、進みが遅くなって全体像が見えないまま挫折しやすくなります。

おすすめの進め方は、まず簡単なパターン(商品売買・現金預金)だけを一気に回して自信をつけ、そのあとで決算整理や税金といった重い論点に入る順序です。学習時間全体の配分やスケジュールの立て方は簿記3級の勉強時間の記事が参考になります。

間違えやすい仕訳とひっかけ問題 — 難しい問題の攻略法

本試験には、受験者が混同しやすい取引をあえて突いてくるひっかけ問題が毎回いくつか混ざります。裏を返せば、間違えやすいポイントを先回りして潰しておけば、難しい問題に見えるものの多くは普通の問題に変わります。

ひっかけの定番 — 似た科目の使い分け

ひっかけどころ正しい判断
小切手を受け取った他人振出なら現金。当座預金にしない(自己振出が戻ったときだけ当座預金)
掛け代金の科目本業の商品なら売掛金買掛金、それ以外の売買は未収入金・未払金
固定資産の付随費用整地費用・仲介手数料・据付費は費用にせず取得原価に含める
給料の金額費用に計上するのは天引き前の支給総額。手取り額ではない
貸倒引当金の繰入額差額補充法では設定額から既存残高を引いた差額だけを繰り入れる
貸し倒れた債権前期以前の分は貸倒引当金を取り崩し、当期発生分は貸倒損失
発送費の負担者当社負担なら費用、先方負担の立替えなら立替金または売掛金に含める

この7つはいずれも「取引文の一言で結論が変わる」タイプです。問題文を読むときは、金額よりも先に誰が振り出したか・誰が負担するか・いつ発生した債権かという修飾語に印を付ける癖をつけてください。ひっかけは知識で防ぐものではなく、読み方で防ぐものです。

仕訳訂正の問題 — 逆仕訳と正しい仕訳の2段で考える

誤った仕訳を訂正する問題は、多くの受験者が難しいと感じる形式です。しかし手順は決まっています。まず誤った仕訳を打ち消す逆仕訳を書き、その上に正しい仕訳を重ねて、同じ科目どうしを相殺するだけです。

たとえば備品120,000円を掛けで購入したのに「(借方)消耗品費 120,000 /(貸方)買掛金 120,000」と記帳していた場合、逆仕訳は「(借方)買掛金 120,000 /(貸方)消耗品費 120,000」、正しい仕訳は「(借方)備品 120,000 /(貸方)未払金 120,000」。両者を合算して買掛金と消耗品費を消すと、答えは「(借方)備品 120,000・買掛金 120,000 /(貸方)消耗品費 120,000・未払金 120,000」となります。頭の中で一気に答えを出そうとせず、必ず2段に分けて書き出すのが事故を防ぐコツです。

難問は捨てても合格できる — 本試験レベルとの向き合い方

第1問15問のうち、明らかに難問と呼べるものは多くても1〜2問です。1問3点なので、2問落としても39点が残ります。本試験レベルの問題演習で解けないものに出会ったとき、深追いして時間を溶かすのは得策ではありません。60分という試験時間のなかでは、難しい問題1問より、確実に取れる問題の見直し1回のほうが価値があります

本番では、20秒考えて糸口が見えない問題はいったん飛ばし、第3問まで一通り解いてから戻るのが定石です。試験全体の難しさの実感や、どこまで解ければ合格圏なのかは簿記3級の難易度の記事で数字とともに解説しています。

仕訳問題の練習方法 — 無料アプリ・1問1答・100問トレーニング

仕訳は知識というより運動に近く、読んで理解しただけでは本番で手が動きません。対策の中心は、毎日のトレーニングとして仕訳練習問題を解き続けることです。ここでは練習量の目安と、無料でできる練習方法をまとめます。

どれだけ解けばいい? — 100問を3周する300問が目安

目安は、頻出パターン約100問(仕訳100本ノックのような仕訳集でも構いません)を3周する合計300問です。1日30〜50問を15〜30分でこなせば、2〜3週間で仕訳が反射になります。まとまった時間が取れない日でも、スキマ時間に5問だけ解いてゼロの日を作らないほうが、週末にまとめて100問解くより効果があります。

周回目的解き方
1周目型を知る3分考えて分からなければ解説を読む。正答率は気にしない
2周目穴を特定する間違えた問題に印。原因が科目の分類なら一覧へ戻る
3周目速度を上げる1問30秒を目標に。印の付いた問題だけを繰り返す

基礎パターンが8割解けるようになったら、本試験と同じ長さの問題文(取引の背景が長く、複数の科目が絡むもの)に移行します。論点別に演習を積みたい場合は簿記3級の練習問題の記事にまとめた教材が使えます。

無料の仕訳練習アプリ・サイトの選び方

仕訳練習アプリのおすすめを探すときは、次の3条件で絞ると失敗しません。

  • 無料で解ける問題数が十分にあること(有料版でしか仕訳問題が解けないアプリは日々の反復に向かない)
  • ランダム出題や1問1答の形式で、短時間から始められること
  • 本試験と同じ「勘定科目を選択肢から選び、金額を入力する」形式であること

3つ目を満たすものは意外と少なく、クイズ形式の4択アプリだけで練習していると、本番で科目を自分で選ぶ段になって手が止まります。アプリの比較や選び方の詳細は簿記3級のアプリおすすめの記事で扱っています。

Love.Accountants の仕訳ドリルで1問1答トレーニング

当サイトの仕訳ドリルは、日商簿記3級の頻出パターンを収録した仕訳問題を無料で解けるサービスです。本試験と同じく勘定科目を選択肢から選んで金額を入力する形式で、1問ずつ即座に正誤と解説が出ます。インストール不要で、Web ブラウザからそのまま使えるのが特徴です。

間違えた問題は自動で復習キューに入り、忘れた頃にランダムで再出題されます。仕訳テスト代わりの腕試しにも、通勤中の1問1答トレーニングにも使えるので、まずは今日の1問から始めてみてください。なお「仕分け」と書かれることもありますが、簿記の正しい表記は「仕訳」です。無料の検索でどちらを使っても同じ内容にたどり着けます。

教材の選び方 — 仕訳問題集・本・PDF・動画・過去問

アプリでの反復と並行して、体系的に学べる教材を1つ持っておくと理解が安定します。ここでは仕訳問題集や本、無料の動画、そして仕上げに使う過去問・模擬問題の位置づけを整理します。

市販の仕訳問題集・本は1冊を繰り返す

紙の本でじっくり取り組みたい人には、TAC出版の「スッキリわかる」シリーズのような、テキストと問題が一体になった定番書が向いています。TAC のほかにも各社から仕訳問題集が出ていますが、選ぶ基準は網羅性ではなく解説の詳しさです。答えだけが載っている問題集は、間違えた原因を自分で特定できる人にしか使えません。

そして原則は1冊を繰り返すこと。何冊も買い足すと、同じ論点を別の言い回しで読み直すだけの時間が増えます。出版社が読者向けに仕訳練習用のアプリやWebサービスを用意していることもあるので、購入前に各社の公式サイトで最新の提供状況を確認しておくと、紙とスマホの両方で同じ問題を回せて効率的です。

無料の動画と聞き流しはインプット専用と割り切る

費用をかけずに理屈から理解したいなら、YouTube の講義動画が有力な選択肢です。簿記3級の解説では、ふくしままさゆき氏の動画が「なぜその仕訳になるのか」を掘り下げる点で定評があります。通勤中の聞き流しはインプットの補助として有効ですが、聞き流しだけでは手が動くようになりません。動画で理解した論点は、その日のうちに数問でも自分の手で解いてください。

このほか、仕訳問題や仕訳帳のフォーマットをPDFで配布しているサイトもあります。印刷して書き込む練習をしたい人、画面で解くより紙のほうが集中できる人は活用するとよいでしょう。ダウンロードした教材を使うときも、解説が付いているかどうかは必ず確認してください。

仕上げは過去問と模擬問題で本番形式に慣れる

基礎固めが済んだら、本番形式の演習に進みます。ネット試験化以降、日商簿記の過去問はそのまま公開されない運用になっているため、実質的な代替は商工会議所が公開している公式サンプル問題(PDF)と、市販の予想問題集・模擬問題です。時間を計って解き、第1問を10分前後で抜けられるかを確認しましょう。

過去問がない試験にどう備えるかは簿記3級の過去問の記事、公式のサンプル問題と解答の入手先は簿記3級のサンプル問題と解答の記事で詳しく解説しています。

簿記2級の仕訳との違い — 3級の仕訳力がそのまま土台になる

3級の仕訳が固まってくると、次に気になるのが2級との差です。結論から言えば、仕訳の考え方そのものは2級でも変わりません。5要素とホームポジションのルールはそのまま通用し、新しく覚えるのは扱う取引の種類と科目だけです。

出題形式の違い — 2級の第1問は5問で20点

簿記2級の第1問も仕訳問題ですが、3級の15問×3点=45点に対し、2級は5問×4点=20点です。問題数が3分の1になるぶん1問の重みが増し、試験全体に占める割合は下がります。試験時間も3級の60分に対して2級は90分で、商業簿記が第1問〜第3問で60点、工業簿記が第4問・第5問で40点という構成です。

項目簿記3級簿記2級
第1問(仕訳)15問・45点5問・20点
試験時間60分90分
出題分野商業簿記のみ商業簿記+工業簿記

増えるのは論点、変わらないのはルール

2級では商業簿記の範囲が広がり、連結会計・リース取引・外貨建取引・税効果会計・有価証券といった論点が加わります。さらに工業簿記という新しい分野が丸ごと増えます。ただし、そこで書く仕訳も「材料が増えたから借方」「製品が減ったから貸方」と、判断の手順は3級とまったく同じです。

2級の学習者がつまずく原因の多くは、新論点の難しさそのものではなく、3級レベルの仕訳が反射になっていないことにあります。連結修正仕訳のような重い論点では、基本の仕訳を考える余力を残しておかないと処理が追いつきません。3級の仕訳を「考えれば解ける」から「見た瞬間に手が動く」水準まで引き上げることが、そのまま2級への最短ルートになります。必要な学習量の見通しは簿記2級の勉強時間、級ごとの範囲の差は簿記3級と2級の違いの記事にまとめています。

まとめ — 簿記3級の仕訳は型の反復で最大の得点源になる

最後に、この記事の要点を整理します。

  • 仕訳とは、取引を借方と貸方の2面に分けて記録する複式簿記の基本作業。借方合計と貸方合計は必ず一致する
  • 試験では第1問に仕訳が15問・配点45点。全体の45%を占め、仕訳の出来がそのまま合否を決める
  • 勘定科目は資産・負債・純資産・収益・費用の5要素に分類し、「増えたらホーム側、減ったら反対側」の型で判断する
  • 頻出パターンは商品売買・現金預金・給料経費・固定資産と税金・決算整理に大別され、数は限られている
  • ひっかけは知識ではなく読み方で防ぐ。誰が振り出したか、誰が負担するか、いつ発生した債権かに印を付ける
  • 練習量の目安は100問×3周の300問。1日30〜50問の反復で、2〜3週間で仕訳は反射になる

仕訳の理屈がつかめたら、あとは手を動かす段階です。Love.Accountants の仕訳ドリルは、本試験と同じ「勘定科目を選んで金額を入力する」形式の仕訳問題を無料で解き放題。間違えた問題は自動で復習に回るので、今日の1問目としてさっそく腕試ししてみてください。