簿記3級の模擬試験とは?本番の形式(大問3つ・60分)と解く意味
簿記3級の模擬試験(模試)とは、日商簿記検定3級の本番と同じ形式・同じ制限時間で1回分を通して解く演習のことです。論点別の問題集が「単元ごとの練習」なら、模擬試験は「試験そのものの予行演習」です。狙いは知識の確認ではなく、60分という制限時間の中で、どの大問にどれだけ時間を使えば70点に届くのかを体で覚えることにあります。テキストを一周した直後の人ほど、知識はあるのに時間切れで失点するという落ち方をします。
模擬試験問題は何を指すのか — 「テスト」「模擬テスト」との違い
検索では「模擬試験問題」「模擬テスト」「日商のテスト」といった呼び方が混在しますが、指しているものはほぼ同じで、本番1回分に相当する問題セットです。無料公開されているものは各社のオリジナル予想問題で、日本商工会議所(商工会議所)が作った試験問題そのものではありません。日商簿記3級・3級簿記といった表記の違いも同じ試験を指し、正式には日本商工会議所および各地商工会議所が主催する簿記検定試験の3級です。
- 模擬試験(模試)
- 本番1回分を60分で通す。時間配分と大問の解く順番を作るのが目的。
- 予想問題集
- 市販の書籍で、模試を複数回分収録したもの。解説の詳しさが強み。
- 論点別問題集
- 単元ごとの基礎練習。模試で崩れた論点をここに戻って潰す。
- サンプル問題
- 商工会議所が公開している公式の例題。形式確認用で、分量は1回分に届かない。
いまの簿記3級は「5問構成」ではない — 大問3つ・60分
古い情報を見て「5問構成」で対策しようとする人がいますが、簿記3級が5問構成・制限時間120分だったのは2020年度までです。現行は大問3つ・60分・70点合格で、配点は第1問(仕訳15問)が45点、第2問(勘定記入や補助簿など)が20点、第3問(決算の総合問題)が35点です。したがって模擬試験も大問3つ・60分のものを選ばないと、時間配分の練習になりません。5問構成時代の古い模試や過去問集が手元にある場合は、演習教材としては使えないと割り切ってください。大問ごとの中身は簿記3級の問題の解説で詳しく扱っています。
過去問がないからこそ模擬試験が代替になる
簿記3級には現行制度の公式な過去問が存在しません。統一試験は問題用紙を持ち帰れず、ネット試験は問題非公開のランダム出題だからです。「模擬試験 164」「162」「163」「165」のように回号を指定して検索する人は多いのですが、第162回(2022年11月)・第163回(2023年2月)・第164回(2023年6月)・第165回(2023年11月)のいずれも、問題そのものは公表されていません。ヒットするのは合格率の情報や受験体験記です。入手できない過去問を探す時間は、本番形式の模擬試験を1回解く時間に振り替えたほうが確実にリターンがあります。過去問が非公表になった経緯と代替教材の全体像は日商簿記3級の過去問の解説にまとめました。
無料で受けられる簿記3級の模擬試験 — おすすめ比較表
結論から書くと、簿記3級の模擬試験は無料の範囲だけで直前期に必要な本数を確保できます。会計系スクールや学習サイトが集客のために本格的な模試を無料公開しているためで、有料の予想問題集を何冊も買わなくても、通しの演習量は足ります。無料のものは大きく2種類あり、ブラウザ上でネット試験(CBT)と同じ操作で解ける形式と、PDFをダウンロードして印刷し紙に書いて解く形式です。自分が受ける方式に合わせて選ぶのが最初の分岐点です。
無料の模擬試験サービス比較
主要なものを、形式と向いている人で整理します。提供内容・公開期限・登録要否は各社の都合で変わるため、利用時に公式サイトで最新の案内を確認してください。
| 提供元 | 形式 | 解答・解説 | 向いている人 |
|---|---|---|---|
| CPAラーニング | ネット試験と同じブラウザ形式 | 解説あり(動画解説も) | CBT形式に慣れたい人。無料の講義とセットで使える |
| ネットスクール | ブラウザ形式 | 解答・解説あり | 統一試験・ネット試験どちらの受験者も |
| 資格の大原 | ネット試験を想定した模擬問題 | 解答あり | 大手校の出題感覚を知りたい人 |
| いぬぼき | ネット試験用の予想模試(Web) | 下書用紙つきの解説 | 解き方の手順ごと学びたい初学者 |
| 滝澤ななみ氏の公式サイト | PDF(統一試験・ネット試験対応) | 解答つき | 「みんなが欲しかった!」等の同著者テキスト利用者 |
| 商工会議所のサンプル問題 | 公式PDF | 解答あり | まず公式の出題イメージを確認したい人 |
おすすめの組み合わせ方 — 「CBT形式1本+PDF1本」から始める
無料のものを全部やろうとすると教材を渡り歩くだけで直前期が終わります。おすすめは、受験方式に合った形式のものを1本、違う形式のものを1本という組み合わせです。ネット試験で受けるなら、CBT形式で操作に慣れる無料模試を主軸に置き、通勤中などパソコンが使えない時間はPDFの模擬テストを紙で解いて解き方を固める。統一試験で受けるならその逆で、印刷して手書きするPDFを主軸にし、ネット試験形式のものは「操作を1回体験する」程度に留めます。無料であっても各社の予想問題は完成度が高く、日商の本番と出題範囲・難易度をきちんと合わせて作られています。
無料の模試を使うときの注意点
- 年度版を確認する — 出題区分は数年おきに改定されます。古い年度の模試が残っているサイトもあるため、最新年度の対応かを見てから解きます。
- 会員登録が必要なものがある — メールアドレス登録で無料、というサービスもあります。登録不要でダウンロードできるものと分けて把握しておくと直前期に慌てません。
- 無断転載サイトを避ける — 「無料 ダウンロード」検索では市販問題集を無断転載した違法サイトが混ざります。解答が誤っている実害もあるため、提供元がはっきりしているものだけを使ってください。
- 公開期限がある — 書籍付属のプログラムや期間限定公開の模試は、改訂で利用できなくなることがあります。使うと決めたら早めに着手するのが安全です。
ネット試験(CBT)形式で解く重要性 — webやオンラインで本番画面に慣れる
ネット試験(CBT方式)で受験するなら、模擬試験は最低1〜2回はパソコンの画面で解いてください。理由は単純で、簿記3級のネット試験の詳細を読む">簿記3級のネット試験は「知識を答える速さ」ではなく「画面で解答を組み立てる速さ」が点数を左右するからです。紙なら仕訳を書き並べれば済むところを、本番では勘定科目をプルダウンから選び、金額をテンキーで入力します。この操作を初めて体験するのが本番だと、1問あたり十数秒の遅れが15問分積み上がり、第3問に回す時間が消えます。ネット試験そのものの流れは簿記3級ネット試験の解説で詳しく扱っています。
本番画面と同じ操作で確認しておくこと
webブラウザで解ける模擬試験を使うと、次の4点を事前に潰せます。逆に言えば、この4点の確認ができない模試はCBT対策としては物足りません。
- 勘定科目の選び方 — プルダウンの選択肢は五十音順などで並び、候補は本番も限られています。「現金」と「現金過不足」のように似た科目が並ぶため、目で探す時間を短縮する練習が要ります。
- 金額の入力 — カンマは自動で入るのが一般的で、桁の打ち間違いが最も多い失点源です。入力後に桁を目視確認する癖をここで作ります。
- 行の使い方 — 借方・貸方の行数は余裕をもって用意されており、余った行は空欄のままにします。1行に無理に詰める必要はありません。
- 計算用紙の使い方 — 本番では白紙が配られます。オンラインの模試を解くときも手元に白紙を置き、下書きの書き方まで再現しておくと本番で迷いません。
CBTと日商の統一試験、どちらの模試を選ぶか
cbt形式の模試と紙の模試は、問題の内容自体はほぼ同じです。日商の出題範囲・合格基準は方式によって変わらないため、違いは解答の入力方法だけと考えて構いません。したがって知識を仕上げる段階では形式を問わず解いてよく、直前の2週間だけ受験方式に合わせるのが効率的です。ただし第2問の勘定記入や第3問の財務諸表は、画面上で解答欄が縦に長くスクロールする場合があり、紙とは見え方が変わります。この2つの大問だけはCBT形式で1回通しておくと安心です。
スマホで解ける模試の位置づけ
ブラウザ形式の模試はスマートフォンでも表示できるものがありますが、60分の通し演習をスマホで代替するのは避けてください。本番はパソコンとテンキーであり、画面サイズも操作も違います。スマホは仕訳の反復練習に使い、模試はパソコンで解く。この役割分担がもっとも無駄がありません。
CPAラーニングの無料模試 — cpaの講義とセットで使える
無料でネット試験形式の模擬試験を探すとき、最初に候補に挙がるのがCPAラーニングです。公認会計士講座を運営するCPA会計学院のオンライン学習サービスで、会員登録すれば講義動画・テキスト・模擬試験までを無料で利用できるのが特徴です。cpaの簿記3級向けコンテンツにはネット試験対策の講座があり、本番と同じ画面イメージで解く模擬試験と、その実践解説の動画が用意されています。有料スクールの教材水準のものが無料で使えるため、独学者の直前対策としては費用対効果がとても高い選択肢です。
cpaラーニングのネット模擬試験の中身
cpaラーニングのネット試験形式の模試は、大問3つ・60分という本番の枠組みをそのまま再現しています。解いたあとに正解と得点が確認でき、設問ごとの解説が動画で用意されている点が独学者にとって大きい要素です。文章の解説だけでは「なぜその勘定科目になるのか」が飲み込めない論点、たとえば経過勘定の再振替仕訳や貸倒引当金の差額補充法は、手を動かしながらの説明を見るほうが圧倒的に速く納得できます。ネット試験の操作に不安がある人が、cpaの無料模試で形式に慣れてから市販の予想問題集に進む、という順番は理にかなっています。
cpaラーニングの難易度は本番と比べてどうか
cpaラーニングの模試の難易度は、本番と同等か、やや歯応えのある水準と受け取っておくのが安全です。会計士講座を持つスクールの教材らしく、基礎に忠実で奇問がない一方、第3問の決算整理は項目数が多めに組まれる傾向があります。ここで70点を切っても悲観する必要はなく、時間内に第1問と第3問を取り切る運びを作るための練習台として使うのが正しい向き合い方です。
無料で使うときの手順と注意
- 会員登録(無料)のうえでコースを選び、ネット試験対策の模擬試験を選択します。
- 解く前に白紙と電卓を用意し、60分のタイマーを実際にかけてください。時間を計らない模試は効果が半減します。
- 解説動画は「間違えた設問だけ」見るのが時間効率で勝ります。全部見ると1回の復習に何時間もかかります。
- 提供コースや模試の本数は改訂されることがあります。使う時点の公式サイトの案内で最新の内容を確認してください。
TAC・TAC出版の模擬試験プログラム — パスワードの場所と使い方
市販テキストで学習している人がもっとも身近に使える模試は、TAC出版の書籍に付属する模擬試験プログラムです。タックと表記されることもある資格の学校TACの出版部門が、書籍購入者向けの特典としてネット試験と同じ操作感で解けるプログラムを提供しています。「スッキリわかる」「スッキリうかる本試験予想問題集」「みんなが欲しかった!簿記の教科書」といった主要シリーズが対象で、みんほしという略称で呼ばれるのは後者です。日商簿記3級のテキストを1冊持っているなら、追加費用なしでCBT形式の模試が手に入っている可能性が高いということです。
tacのパスワードはどこにあるのか
模擬試験プログラムの利用には書籍ごとのパスワードが必要です。パスワードはネット上ではなく書籍そのものに印刷されています。TAC出版の読者限定ダウンロードサービスのページから「模擬試験プログラム」を選び、級を選択したうえで、書籍に記載されたパスワードを入力する流れです。掲載位置はシリーズによって異なり、巻頭の案内ページ、特典の説明ページ、袋とじ部分などに置かれています。中古で購入した本ではパスワード部分が使用済みだったり、そもそも改訂で公開が終了していることがあるため、模擬試験プログラムを目的に買うなら新品の最新年度版を選んでください。プログラムの公開期限は改訂版が出る月末までとされており、期限を過ぎると利用できません。
tac出版の模擬試験プログラムでできること
- ネット試験形式の演習
- tacのプログラムは本番のCBT画面を模した操作で解答でき、自動採点まで行えます。tac ネット試験対策として最も手軽な手段です。
- 複数回分の通し演習
- 本試験予想問題集に付属するものは、書籍に収録された予想問題と同じ回数分をプログラムでも解ける構成が一般的です。紙で1回、画面でもう1回という二度使いができます。
- 詳しい解説
- tacの解説は書籍側に収録されており、下書きの書き方や時間配分の指示まで含まれるのが強みです。無料の模試では省かれがちな「解く手順の型」を学べます。
tacの模試は難しい?難易度の受け止め方
「tacの予想問題は難しい」という声は簿記3級でも定番ですが、これは予想問題集が本番より少し難しめに作られているためです。試験直前に自信を折られるのは避けたいところですが、難易度が上振れした回に当たっても合格できる備えとしては合理的な設計です。予想問題集で60点台なら本番では70点台に届くことが多く、逆に予想問題集で70点を安定して超えられるなら仕上がりは十分と判断してよいでしょう。tacの難易度に打ちのめされて演習をやめてしまうのが最悪の選択で、点数ではなく「時間内に第1問と第3問を取り切れたか」を見てください。
無料で試せる範囲と、滝澤ななみ氏の教材
tacの模擬試験プログラム自体は書籍購入者特典であり、書籍なしでtacの模試を無料で解くことはできません。ただしTAC出版のサイトでは解答用紙のダウンロードが無料で公開されており、印刷して繰り返し演習に使えます。また「スッキリわかる」「みんなが欲しかった!」シリーズを執筆していた滝澤ななみ氏(滝沢と表記されることもあります)は、現在は自身の公式サイトで簿記3級の模擬試験をPDFで無料公開しています。統一試験・ネット試験の双方に対応し、問題用紙・答案用紙・解答のセットで登録不要でダウンロードできる形式です。同じ著者のテキストで学んでいる人なら、用語や解き方の作法が揃っているため相性がよい選択になります。
ネットスクール・資格の大原・いぬぼきの無料模試
書籍を買わずに模擬試験を確保したいなら、この3つを押さえておけば直前期の演習量は足ります。いずれも登録や購入をしなくてもブラウザで解ける、または問題と解答が公開されているタイプで、性格がそれぞれ違うため併用が効きます。
ネットスクール — 統一試験・ネット試験の両方に対応
簿記の出版とWeb講座を手がけるネットスクールは、簿記3級の模擬試験をブラウザ上で解ける形で公開しています。本試験と同じ出題範囲・出題形式で複数回分が用意されており、ダウンロードやインストールの手間なく画面上で始められる手軽さが利点です。ネットスクールの解答は解説付きで提示されるため、間違えた設問をその場で潰せます。日本商工会議所が公開した公式サンプル問題に対して、解答と動画解説を無償提供しているのも同社です。公式サンプル問題の答え合わせに困ったらここを見ると覚えておくと役に立ちます。ネットスクールの難易度は本番相当に寄せた素直な水準で、初めての通し演習に向いています。
資格の大原 — 大手校の出題感覚を無料で知る
大原(資格の大原)も、ネット試験をイメージした模擬試験問題や3級の攻略セミナーを無料で公開しています。大手専門学校は毎年の出題を分析して教材を作っているため、「本番で問われる可能性の高い論点」の当たりが良いのが特徴です。大原の模擬問題を解くと、自分がテキストで軽く流していた論点が本番水準ではどう問われるのかが見えます。無料公開分は本数が限られるため、主軸ではなく「別の作り手の問題で穴を見つける」用途に据えるのが正解です。公開状況や申込方法は変わることがあるので、利用時に公式サイトで確認してください。
いぬぼき — 犬のサイトとして知られる初学者向け予想模試
いぬぼきは、犬のキャラクターで簿記を解説する学習サイトで、「犬 簿記」「犬の簿記サイト」として記憶している人も多いはずです。簿記3級のネット試験の詳細を読む">簿記3級のネット試験向け予想模試を無料で公開しており、解説に管理人が実際に書いた下書用紙が載っているのが他にない強みです。第3問の決算整理をどの順番で書き出すか、勘定記入で何をメモしておくかといった、教科書には書かれない手の動かし方が見られます。独学で「解説を読めば理解できるのに、自力で解き始められない」という段階にいる人には、いぬぼきの下書きの再現から入るのが突破口になります。
3つの使い分け
| 提供元 | 主な用途 | 使うタイミング |
|---|---|---|
| ネットスクール | 本番相当の通し演習・公式サンプル問題の解答確認 | テキスト一周後の1本目 |
| 資格の大原 | 出題予想の当たりで穴を発見 | 直前2週間の中盤 |
| いぬぼき | 解き方の手順・下書きの型を学ぶ | 解き始められないと感じたとき |
PDFをダウンロード・印刷して紙で解く方法(商工会議所の公式サンプル問題)
統一試験(ペーパー試験)で受験する人、あるいはパソコンの前に座る時間を確保しにくい人には、pdfをダウンロードして印刷する形式の模擬試験が向いています。紙で解く利点は、下書きと解答欄を同時に見渡せること、そして答案用紙を何度でも刷り直して同じ問題を再演習できることです。統一試験は問題用紙に直接書き込みながら解く試験なので、本番と同じ手の動かし方を再現できるという意味でも紙の演習は欠かせません。
商工会議所の公式サンプル問題をダウンロードする
無料でダウンロードできる素材の出発点は、日本商工会議所が公開している公式のサンプル問題です。2021年度以降の出題の一部が2級・3級について公開されており、商工会議所の検定試験サイトからPDFで入手できます。日商簿記3級の受験生にとって唯一の公式素材であり、出題の文言や答案用紙の様式を正確に確認できるのがここだけの価値です。ただし公開されているのは第1問・第2問といった大問単位の例題で、1回分の通し演習には量が足りません。位置づけは「形式と文言の確認」であり、演習量は各社の模試で補うという整理になります。なお公式サンプル問題の著作権は日本商工会議所にあり、無断転載や営利利用は禁止されています。自分の学習用に印刷して使う範囲で活用してください。
PDFの模試を印刷して使う手順
- 問題用紙・答案用紙・解答の3点セットで揃える — 解答だけ別ファイルになっていることが多いので、印刷前に確認します。答案用紙は複数部刷っておくと再演習が楽になります。
- A4で等倍印刷する — 縮小すると解答欄が本番より小さくなり、金額の書き込み感覚がずれます。
- 解答は伏せて開始する — 印刷した紙をまとめて手元に置くと視界に答えが入ります。解答用紙だけ別の場所に置いてから60分を計り始めてください。
- 白紙と電卓を用意する — 統一試験では問題用紙の余白を計算スペースに使えます。余白の使い方も本番と同じにしておくと当日迷いません。
「無料 pdf ダウンロード」検索の落とし穴
日商簿記3級の模擬試験をpdfで探すとき、「無料 ダウンロード」の検索結果には市販の問題集や実際の試験問題を無断転載したサイトが混ざります。著作権侵害であるだけでなく、解答が誤っている・出題区分が古いという実害があります。信頼できる範囲は、商工会議所の公式サンプル問題、スクールや出版社が自ら公開している素材、著者本人が公開している素材、そして自分が購入した書籍の特典の4つです。この4つの中で選べば、無料でも品質の心配なく演習できます。
模擬試験の難易度 — 本番より難しいのが普通
模試を解いて「難しい」「点が取れない」と感じるのは、ほとんどの場合あなたの実力不足ではなく模擬試験のほうが本番より難しめに作られているためです。作り手の立場で考えると理由は明白で、本番より易しい問題を出して受験生を安心させ、結果として不合格にしてしまう教材は最悪だからです。特に市販の予想問題集は、難易度が上振れした回に当たっても耐えられる水準に寄せて作られています。したがって模試の点数は絶対評価ではなく、傾向を読むための材料として扱ってください。
提供元ごとの難易度の目安
あくまで受験生の体感として語られる相場ですが、選ぶ順番の参考になります。
- 商工会議所の公式サンプル問題
- 本番そのままの水準。ここで手が止まる論点は本番でも確実に失点するため、最優先で潰します。
- ネットスクールの模試
- 本番相当。ネットスクールの難易度は素直で、実力の現状把握に向いています。
- CPAラーニングの模試
- 本番と同等かやや上。cpaラーニングの難易度は基礎に忠実ですが、第3問の決算整理の項目数が多めです。
- TACの予想問題集
- やや難しめ。tacの難易度は「難しい」と評されがちですが、本番の上振れに備える設計です。
「難しすぎる」と感じたときの切り分け
点が取れない原因は3つに分かれ、対処法がまったく違います。模試を解いた直後に、自分がどれなのかを判定してください。
- 時間が足りなかった — 知識ではなく運びの問題です。解く順番を第1問→第3問→第2問に固定し、1問に固執しない練習を重ねます。模試の回数を増やすのが効きます。
- 仕訳を間違えた — 基礎の精度不足です。模試を追加で解くより、論点別の仕訳演習に戻るほうが確実に伸びます。
- 設問の意味がわからなかった — インプット不足です。テキストの該当単元に戻ってから再挑戦してください。この状態で模試を重ねても消耗するだけです。
難易度の高い模試で40点台だったとしても、それが③でなければ十分に立て直せます。模試の役割は点数の確認ではなく、弱点の場所を特定することだと考えると気持ちも切り替えやすくなります。簿記3級全体の難易度感については簿記3級の難易度の解説も参考にしてください。
模擬試験は何点取れれば合格圏?50点・70点の読み方
「模試で何点取れれば受かるのか」への答えは、本番と同じ70点を基準にしつつ、模試では80点前後で安定させておくです。合格基準は100点満点中70点以上で、これは統一試験でもネット試験でも同じです。相対評価ではないため、他の受験者の出来は関係なく、自分が70点を積み上げられれば合格します。それでも模試で80点を目標にするのは、本番では緊張・画面操作・見慣れない問題文で数点は必ず削られるからです。模試ちょうど70点の状態は、実質的にはボーダー未満と考えるのが安全側の判断になります。
点数帯ごとの現在地と次の一手
| 模試の点数 | 現在地 | 次にやること |
|---|---|---|
| 80点以上 | 合格圏。仕上がっている | 間違えた論点だけ潰し、本数を増やさず維持する |
| 70〜79点 | ボーダー。本番で落ちる可能性がある | 第1問の取りこぼしをゼロにする。仕訳の精度が最短で効く |
| 50〜69点 | 基礎はあるが穴がある | 第3問の決算整理を集中演習。模試より論点別演習を優先 |
| 50点未満 | インプットが未完成 | テキストに戻る。模試を重ねる段階ではない |
50点台から70点に乗せる考え方
50点前後で停滞する人の失点は、ほぼ第3問と第2問に集まっています。ここで発想を変えたいのは、満点を狙わず「取れる20点を確実に増やす」という点です。第1問の仕訳15問(45点)を全問正解すれば45点、第3問で部分点を20点拾えば65点、第2問で語句選択など易しい設問を5点拾えば70点に届きます。第3問を完答する必要はなく、当期純利益が合わなくても各行の部分点は積み上がります。第2問の粘りすぎが時間切れを招く典型なので、配点20点の第2問は12〜16点で切り上げる設計が現実的です。第2問の型については簿記3級 第2問の対策にまとめています。
大問ごとの目標点を決めて模試に臨む
漠然と「70点取る」ではなく、大問ごとの目標を決めて模試を解くと復習の焦点が定まります。おすすめの配分は第1問40点/45点・第2問12点/20点・第3問25点/35点=合計77点です。この配分なら第2問が半分でも合格でき、どこが崩れたかも一目で分かります。模試を採点したら、総得点ではなく大問別の得点を記録してください。3回分並べると、自分がいつも落とす大問がはっきり見えてきます。
答え合わせが本番 — 解答・解説の使い方
模擬試験の効果を決めるのは解いている60分ではなく、そのあとの答え合わせです。解いて点数を見ただけの模試は、ほぼ何も残りません。逆に1回分を丁寧に復習すれば、同じ論点での失点は次から消えます。時間配分の目安は、解答60分に対して復習に90分以上。「模試を解く日」ではなく「模試を解いて復習する日」として予定を確保してください。
復習の手順
- 採点は自分でやる — 自動採点のサービスでも、答えを見る前に自己採点の目で解答を追います。どこで判断を誤ったかは自分で辿らないと見えません。
- 間違いを3種類に分類する — ①知らなかった、②勘違いした、③計算・入力ミス。それぞれ対処が違い、①はテキスト、②は仕訳演習、③は見直し手順の改善です。
- 解説を読むのは②と①だけ — 桁の打ち間違いに解説は不要です。解説を読む時間は理解が欠けている箇所に集中させます。
- 間違えた論点を1行メモにする — 「経過勘定の再振替を忘れた」のように短く書き溜め、本番前日に読み返すノートにします。
- 数日後に同じ模試を再演習する — 答えを覚えているから意味がない、というのは誤解です。手順が身についたかの確認になり、しかも短時間で終わります。
解説が薄い模試は復習に向かない
無料の模試の中には、答え(正解)だけが示され、解説が付いていないものもあります。解答のみの模試は、実力が仕上がった人の腕試しには使えますが、伸ばす段階の教材としては不足します。特に第3問は、正解の金額だけ見ても「どの決算整理を落としたのか」が辿れません。学習の途中段階では、cpaラーニングの解説や動画、tacの書籍解説、いぬぼきの下書き付き解説のように、解答に至る過程が示されている模試を選んでください。公式サンプル問題のように解説が付かない素材は、ネットスクールが公開している解説と組み合わせると復習まで完結します。
模擬試験は何回分やるべき?直前期のスケジュール
「模試は何回分やればいいか」への答えは、直前2週間で3〜5回分です。これより少ないと時間配分が固まらず、これより多いと復習が追いつかずに解くだけの作業になります。無料の模試とテキスト付属の模擬試験プログラムを合わせれば、この本数は費用をかけずに確保できます。重要なのは回数そのものではなく、1回ごとに「大問別の得点を記録し、崩れた論点を潰す」というサイクルを回した回数です。復習せずに5回解くより、丁寧に復習した3回のほうが本番の点数は高くなります。
2週間の直前スケジュール例
| 時期 | やること | 形式 |
|---|---|---|
| 14〜12日前 | 1回目の模試。現在地の把握と大問別の得点記録 | 受験方式に合わせた形式 |
| 11〜8日前 | 崩れた論点の集中演習(第3問の決算整理・第2問の勘定記入) | 論点別問題集・仕訳演習 |
| 7〜5日前 | 2回目・3回目の模試。別の作り手の問題で穴を探す | 別提供元の模試 |
| 4〜2日前 | 1回目の模試を再演習+間違いメモの読み返し | 同じ模試の再演習 |
| 前日 | 新しい問題に手を出さない。仕訳の反復と持ち物確認 | 短時間の仕訳演習のみ |
模試を始めるタイミングを間違えない
よくある失敗は、テキストが半分しか終わっていない段階で模試に手を出し、点数に打ちのめされて学習が止まることです。模試は「全範囲のインプットが一周終わってから」が原則です。第3問の決算整理が未習の状態で通し演習をしても、測れるのは未習範囲の広さだけで、時間配分の練習にもなりません。まずテキストを一周し、仕訳が一定の速さで書けるようになってから模試に入ってください。
ネット試験なら「受験日を決めてから逆算する」
ネット試験は随時受験できるため、日程を決めないまま学習が延びる人が少なくありません。先に受験日を予約し、その2週間前から模試を入れる形で逆算するとスケジュールが自然に締まります。不合格でも短い間隔で再受験できる方式なので、完璧に仕上がるまで待つ必要はありません。試験日程や申し込みの詳細は簿記3級の試験日の解説で確認してください。
模試の前後にやる演習 — 仕訳問題・問題集・アプリ
模擬試験は「実力を測る道具」であって、実力を作る道具ではありません。点数を押し上げるのは模試の前後にやる日々の演習で、その中心は仕訳問題です。簿記3級は第1問の仕訳15問だけで45点、決算整理も結局は仕訳の集まりなので、実質的には配点の8割以上が仕訳の精度で決まります。模試で崩れたときに戻る場所も、ほぼ例外なく仕訳です。
仕訳問題の反復が最短ルート
日商簿記3級の仕訳の詳細を読む">簿記3級の仕訳問題は、出題される取引のパターンがほぼ決まっています。現金過不足、三分法の商品売買、手形と電子記録債権、固定資産の取得と売却、貸倒れの処理、給料と預り金、税金、資本と剰余金。この範囲の取引を見た瞬間に借方・貸方が浮かぶ状態になれば、第1問は40点以上で安定します。1問あたり30秒を目標に、量をこなして反射にするのが正攻法です。よく出るパターンの一覧と覚え方は簿記3級の仕訳問題の解説にまとめています。
問題集は「論点別」と「予想問題」を役割で分ける
- 論点別問題集(トレーニング)
- 単元ごとの基礎練習。模試で崩れた論点をここで潰します。日商簿記3級の問題の詳細を読む">簿記3級の問題集はどの出版社のものでも大差なく、最新年度版で解説が詳しいものを1冊選べば十分です。
- 本試験形式の予想問題集
- 模試の本体。書籍を買うならこちらで、模擬試験プログラムが付くものを選ぶとCBT対策も同時に済みます。
- テキスト(教科書)
- インプットの出発点。模試で「設問の意味が分からない」ときに戻る場所です。
アプリ・スマホは仕訳の反復に使う
模試をスマホで代替するのは避けるべきですが、仕訳の反復練習はアプリのほうが圧倒的に続きます。書籍だと1問解くのに問題集とノートと筆記具を広げる必要があり、通勤中や待ち時間には手が出ません。スマホのアプリなら1問30秒で回せるので、1日10分でも週に70問以上積み上がります。模試で見つけた弱点論点をアプリで毎日潰し、次の模試で改善を確認する。このループが直前期でもっとも点数が動く運用です。
まとめ — 無料の模擬試験で本番形式に慣れ、仕訳の精度で70点を取りにいく
簿記3級の模擬試験は、無料で使える範囲だけで直前期に必要な本数(3〜5回分)を確保できます。ネット試験(CBT)で受けるならCPAラーニングやネットスクールのブラウザ形式の模試で本番の操作に慣れ、統一試験で受けるなら滝澤ななみ氏の公式サイトや商工会議所の公式サンプル問題をPDFでダウンロードして印刷し、紙で解く。市販テキストを持っているなら、TAC出版の模擬試験プログラムのパスワードが書籍に載っていないか先に確認してください。現行制度の過去問は存在せず、第164回のように回号で検索しても問題は入手できないため、本番形式の模試と予想問題集が過去問の代わりの中心になります。
模試の点数は本番と同じ70点が基準、模試では80点前後で安定が目安です。難易度は本番より上振れて作られているのが普通なので、点数そのものに落ち込む必要はありません。見るべきは大問別の得点と、崩れた論点の名前です。そして立て直す場所は、ほぼ毎回、仕訳に行き着きます。
その仕訳の反復こそ、毎日の短い時間で積み上げられる部分です。当アプリの仕訳ドリルは、本番のネット試験と同じ勘定科目を選んで金額を入力する形式で出題し、間違えた問題は復習キューに自動で入って忘れる前に戻ってきます。模試で見つけた弱点をその日から潰していけば、次の1回で確かな手応えが返ってくるはずです。
