簿記3級の問題構成 — 何問出る?配点・試験時間・合格ラインをまず押さえる
簿記3級の問題対策は、「どんな問題が、いくつ出て、何点なのか」を先に知ることから始まります。試験時間60分に対して解くべき分量は決まっており、この問題構成を知らないまま演習に入ると、時間配分でつまずきます。まずは全体像から確認してください。
大問3つ・100点満点・70点で合格
日商簿記3級の問題は大問3つ・100点満点で構成され、70点以上で合格です。合格に必要な割合は7割で、上位何%という相対評価ではありません。何問出るのかと言えば、第1問だけが仕訳15問という独立した小問の集まりで、第2問と第3問は大問1つの中に設問がぶら下がる形です。点数の内訳は次のとおりです。
| 大問 | 出題内容 | 問題数 | 配点 |
|---|---|---|---|
| 第1問 | 仕訳問題 | 15問(各3点) | 45点 |
| 第2問 | 帳簿・勘定記入・補助簿の選択・語句記入など | 大問1つ(通常(1)(2)の2設問) | 20点 |
| 第3問 | 決算に関する総合問題 | 大問1つ | 35点 |
この配点の内訳を数字で見ると、第1問と第3問だけで80点を占めることがわかります。つまり第2問を落としても、第1問と第3問で確実に得点できれば合格圏に届くという構造です。どこに時間を使うべきかは、この表がそのまま答えになっています。配点箇所の細かい話や部分点の考え方は簿記3級の配点を解説した記事にまとめています。
解答の形式は「勘定科目の選択+金額入力」
解答の形式は、勘定科目をあらかじめ与えられた選択肢から選び、金額を数字で書く(入力する)方式が中心です。長い文章を書かせる記述問題はありません。統一試験(ペーパー試験)では問題用紙と答案用紙が別々に配られ、勘定科目はア・イ・ウといった記号で選択します。問題用紙への書き込みは自由なので、下書きは問題用紙の余白を使えます。一方ネット試験では画面上のプルダウンから勘定科目を選び、金額はテンキーで入力し、下書きは貸与される計算用紙に書きます。
解答形式が選択式であることは、有利にも不利にも働きます。科目名を思い出せなくても選択肢を見れば済む反面、似た名前の科目が並んでいると迷いが生まれるためです。金額の桁を打ち間違えればそこは0点なので、選択と入力の正確さが、そのまま得点になると考えてください。
「問題2」「大門3」などの呼び方のゆれと、2021年度の問題改訂
第2問・第3問は、検索では「問題2」「問題3」「問2」「問3」「3問目」、さらには「大門2」「大門3」と表記されることもありますが、すべて同じものを指します。読み方の違いに惑わされる必要はありません。
もう一点、教材選びに直結する重要な変更があります。現在の問題数・試験時間は2021年度の問題改訂によるもので、それ以前は試験時間120分・大問5問という構成でした。「簿記3級は5問出る」と書かれた情報を見かけたら、それは旧形式の説明です。この問題数の変更にともなって1問あたりの重さや時間配分の感覚も変わっているため、演習に使う教材は必ず現行構成に対応した最新版を選んでください。
出題範囲と最近の傾向 — 2026年度は据え置き、2027年度に大きな変更
どんな問題が出るかは出題区分表という公式の文書で決まっています。同じ3級でも年度によって扱う内容が変わるため、教材を買う前に「今の範囲はどうなっているのか」を確認しておく価値があります。
2026年度の出題区分表は前年と同じ
2026年度中に実施される試験には、2021年度に改定された2022年度適用の出題区分表がそのまま使われます。つまり2026年度の出題範囲は前年度と同じで、変更はありません。いま書店に並んでいる最新年度版の教材を買えば、そのまま本番の内容に対応できます。
2027年4月からは問題の中身が変わる
一方、2027年4月1日以降に実施される試験からは新しい出題区分表(暫定版が公表済み)が適用され、3級で扱う論点の種類が入れ替わります。紙の手形・小切手が実務で廃止されたことと、新しいリース会計基準への対応が背景です。公表されている主な変更は次のとおりです。
| 方向 | 対象の論点 | 内容 |
|---|---|---|
| 3級から削除 | 手形、債権の譲渡 | 約束手形・受取手形記入帳などの出題がなくなる見込み |
| 2級から3級へ | 売上原価対立法 | 販売のつど売上原価勘定へ振り替える方法 |
| 2級から3級へ | 固定資産の除却・廃棄 | 使わなくなった固定資産の処理 |
| 2級から3級へ | 減価償却の定率法 | 仕組みの理解を目的とした簡易な出題にとどまる |
| 表現の整理 | 現金預金・クレジット売掛金など | 普通預金の明記、電子記録債権債務の位置づけ変更、キャッシュレス決済の追記 |
2026年度中に受験するなら現行の教材で問題ありませんが、学習が2027年度にまたがりそうな人は、手形に時間をかけすぎない、定率法にも軽く触れておく、といった調整が効いてきます。暫定版は今後変わる可能性があるため、受験の直前には商工会議所の公式サイトで最新情報を確認してください。
近年の出題傾向 — 難問は減り、帳簿と勘定記入が増えた
範囲そのものは変わらなくても、よく出る論点の重みは動きます。2021年度の改訂後に定着してきた傾向は次のとおりです。
- 極端に難しい問題は減り、基本レベルの問題が中心になった。合否は難問ではなく標準問題の取りこぼしで決まる。
- 第1問で扱う取引の幅が広がり、以前は第2問で問われていた伝票の起票が第1問で出ることもある。
- 第2問は語句記入(理論)の比重が下がり、補助簿の選択や勘定記入といった手を動かす問題が増えた。
- 第3問は精算表・財務諸表・決算整理後残高試算表の3形式が順番に出ており、どれかに偏っていない。
この傾向を踏まえると、頻出のテーマを繰り返し解いて出やすい型を体に入れるのが、いちばん素直な対策になります。大問ごとの問題パターンはある程度固定されているので、問題パターンを一巡しておけば初見の不安はかなり小さくなります。公式サンプル問題を初見で解くと難しいと感じる人が多いのですが、本番には落ち着いて処理すれば取れる簡単な設問も相当数含まれています。難易度そのものの評価は簿記3級の難易度の記事で詳しく扱っています。
すべての問題の土台 — 複式簿記の5要素と貸借のルール
大問別の対策に入る前に、どの問題にも共通する土台を確認します。ここが曖昧なまま演習量を増やしても、解けた問題と解けない問題の理由が説明できず、伸びが止まります。逆にこの土台さえあれば、初見の問題文でも手が動きます。
すべての問題は5つの要素でできている
簿記3級で学ぶのは、1つの取引を原因と結果の2つの側面から記録する複式簿記です。単式簿記が現金の増減だけを追うのに対し、複式簿記は「何が増えて、その代わりに何が減った(または何が生じた)のか」を必ずセットで記録します。そして登場するすべての勘定科目は、資産・負債・純資産・収益・費用という5つの要素のどれかに属します。この分類が頭に入っていれば、科目の増減をどちら側に書くかが自動的に決まります。
| 要素 | 代表的な勘定科目 | 増えたときに書く側 |
|---|---|---|
| 資産 | 現金・普通預金・売掛金・繰越商品・備品・建物 | 借方(左) |
| 負債 | 買掛金・借入金・未払金・前受金 | 貸方(右) |
| 純資産 | 資本金・繰越利益剰余金 | 貸方(右) |
| 収益 | 売上・受取利息・受取手数料 | 貸方(右) |
| 費用 | 仕入・給料・支払家賃・保険料・水道光熱費 | 借方(左) |
減ったときは増えたときの反対側に書く、というだけの話です。5要素と、それぞれのホームポジションが左右どちらか。この2点が身につけば、基礎の暗記は半分終わったようなものです。逆にここが固まらないまま問題数を増やしても、基礎の穴が残ったままなので伸びません。簿記の考え方そのものから確認したい人は複式簿記の解説記事を先に読むと理解が速くなります。
借方と貸方は必ず一致する
仕訳では借方の合計と貸方の合計が必ず一致します(貸借平均の原理)。たとえば「現金100,000円を借り入れた」なら、借方に現金100,000、貸方に借入金100,000。現金という資産が増え、同時に借入金という負債も増えた、という2つの側面をひとつの仕訳で表しています。
この一致は仕訳だけの話ではありません。仕訳を集計した試算表でも、決算で作る精算表や貸借対照表でも、左右の合計は最後まで一致し続けます。解いている途中で貸借が合わないなら、科目か金額のどこかを必ず取り違えています。これは検算の道具としても優秀で、特に第3問の総合問題では、合わないことが自分でミスに気づける唯一のサインになります。
問題文の読み方 — 指定条件を先に拾う
簿記の問題文は短い日本語ですが、条件がさらりと1行に埋め込まれています。「代金は掛けとした」「月割で計算する」「差額補充法による」「決算日は3月31日」といった一文が、そのまま解答を左右します。演習のときは、問題文を読みながら金額と条件に印をつける癖をつけてください。計算そのものは合っているのに条件を読み落として不正解、という失点は、慣れれば確実に減らせる種類のミスです。
第1問の問題 — 仕訳15問・45点で出る取引の型と問題例
第1問は仕訳15問、1問3点で合計45点。単一の大問としては最大の配点で、ここの出来が合否を大きく左右します。しかも出題される取引の型は決まっているため、努力が最も素直に点数に変わるパートでもあります。
まずは問題例で解答の形を確認する
実際の出題は、短い取引文を読んで借方・貸方の勘定科目と金額を答えるだけの形です。例題として3つ挙げます。
- 例1:商品50,000円を仕入れ、代金は掛けとした
- (借方)仕入 50,000 /(貸方)買掛金 50,000。三分法では商品の仕入は費用の「仕入」で処理し、後払いは負債の「買掛金」になります。
- 例2:商品80,000円を売り上げ、代金は現金で受け取った。なお、発送費2,000円を現金で支払った
- (借方)現金 80,000 /(貸方)売上 80,000、および(借方)発送費 2,000 /(貸方)現金 2,000。当社負担の諸掛りは発送費という費用で別に計上します。
- 例3:借入金300,000円を利息3,000円とともに現金で返済した
- (借方)借入金 300,000・支払利息 3,000 /(貸方)現金 303,000。負債の減少は借方、利息は費用です。1つの仕訳に科目が3つ以上並ぶこともあります。
このように、答えるのは科目と金額だけ。文章による説明は求められません。だからこそ取引文を読んだ瞬間に科目が浮かぶかどうかがすべてで、そこに至る道は反復しかありません。
出る取引の型を分野ごとに押さえる
第1問は範囲全体から満遍なく出ます。どの分野からも出ると考えて、次の型を一通り経験しておいてください。
- 現金・預金:現金過不足、当座預金と当座借越、小口現金の補給、普通預金間の振替。
- 商品売買:三分法による仕入と売上、掛け取引、返品、仕入諸掛り・発送費、クレジット売掛金(信販会社への手数料は支払手数料)。
- 債権債務:約束手形の振出と受取、電子記録債権・電子記録債務、貸付金・借入金と利息、前払金・前受金、立替金・預り金、手形貸付金。
- 固定資産:取得時の付随費用の扱い、固定資産売却(帳簿価額との差額を売却損益で処理)、決算時の減価償却。
- その他:貸倒れの処理と償却債権取立益、給料と源泉所得税の預り、法人税等の中間納付、消費税の税抜処理、繰越利益剰余金の配当と利益準備金、伝票からの起票。
対策は毎日の仕訳練習に尽きる
第1問の攻略法は、毎日の仕訳練習の反復です。1日10〜20問を試験日まで続けると、勘定科目が5要素のどれかを考えずに手が動くようになります。おすすめは一問一答形式で回すやり方で、まとまった時間を取らなくても通勤や休憩の数分で進められます。日商簿記3級向けの仕訳練習は無料の素材も豊富なので、机に向かえない日でも途切れさせずに済みます。
なお表記について。検索では「仕分け」「仕分」と書かれることが非常に多いのですが、簿記の正しい表記は「仕訳」です。教材や問題集を探すときは「仕訳」で調べたほうが目的の資料に早く届きます。取引パターン別の覚え方は簿記3級の仕訳問題を攻略する記事にまとめました。
第2問の問題 — 帳簿・勘定記入・伝票(20点)
第2問は配点20点ながら、出題パターンの幅が3つの大問で最も広いところです。通常は(1)(2)の2設問に分かれ、それぞれ別のテーマから出ます。何が出るか読みにくいため後回しにされがちですが、型を知っていれば拾える設問も多く、合否の分かれ目になりやすい大問です。
補助簿の記入と補助簿の選択
総勘定元帳を補う帳簿を補助簿と呼び、その記入や選択が第2問の主役です。出題される帳票は次のとおりです。
- 小口現金出納帳:定額資金前渡制度のもとで、小口現金の支払いを費目別に記入し、週末や月末に補給する流れを問う。
- 仕入帳・売上帳:取引の明細を発生順に記入し、返品を赤字で控除して純仕入高・純売上高を求める。
- 商品有高帳:受入・払出・残高を数量と単価で管理する。頻出。
- 売掛金元帳・買掛金元帳:得意先・仕入先ごとの残高を追う。
- 受取手形記入帳・支払手形記入帳:手形の振出から決済までの経過を記録する。
- 固定資産台帳:取得日・取得原価・減価償却累計額・期末帳簿価額を管理する。減価償却とセットで問われる。
補助簿の選択は、取引を1つ示して「どの補助簿に記入されるか」を答えさせる定番の問題です。ポイントは、1つの取引が複数の補助簿に同時に記入されること。たとえば「商品を掛けで仕入れ、引取運賃を現金で支払った」なら、仕入帳・商品有高帳・買掛金元帳・現金出納帳のすべてに関係します。取引を仕訳に直してから、登場した科目ごとに対応する帳簿を拾うと漏れません。
商品有高帳は先入先出法と移動平均法をセットで
商品有高帳では払出単価の決め方が指定されます。先入先出法は古く仕入れたものから先に払い出したとみなす方法で、単価の異なる在庫を行を分けて管理します。移動平均法は仕入のつど平均単価を計算し直す方法です。どちらが指定されても手が止まらないよう、両方の記入手順を練習しておいてください。売上原価や売上総利益まで問われることもあり、その場合は払出欄の金額合計が売上原価になります。
勘定記入・転記・帳簿の締め切り
仕訳を総勘定元帳の各勘定へ書き移す転記も第2問の柱です。出題のされ方は、期中取引から勘定の残高を求めさせるもの、空欄になった勘定の( )を埋めさせるもの、決算整理と決算振替を経て帳簿の締め切りまでを問うもの、と段階的です。
帳簿記入の問題で戸惑いやすいのが、決算振替で収益・費用を損益勘定に集め、その差額(当期純利益)を繰越利益剰余金へ振り替えるという流れです。損益の集計が終わったら資産・負債・純資産の各勘定を「次期繰越」で締め、翌期首に「前期繰越」として開く(英米式決算法)。この一連の動きを一度自分の手で通しておくと、勘定記入の問題が急に読みやすくなります。
伝票会計(三伝票制)と語句記入
三伝票制では、入金伝票・出金伝票・振替伝票の3種類に取引を起票します。難所は一部現金取引で、たとえば「商品を仕入れ、一部を現金で支払い残りは掛け」という取引をどう分解するかで起票が2通りに分かれます。どちらの方法でも、同じ取引を2回記録してしまう二重仕訳が起きないように集計する点が問われます。
もう1つ、簿記の用語や説明文の空欄を選択肢から埋める語句記入、いわゆる理論問題もあります。近年は出題頻度が下がっていますが、出れば知識だけで短時間に得点できる取りどころです。理論問題は計算が不要なぶん、覚えているかどうかだけで差がつきます。第2問は満点を狙う大問ではありません。20点中12〜16点を安定して拾う意識で十分です。設問別の解き方は簿記3級 第2問の対策ガイドで詳しく解説しています。
第3問の問題 — 決算の総合問題(35点)は3つの形式で出る
第3問は決算に関する総合問題で、配点は35点。第1問に次ぐ大きさで、1つの資料から複数の解答欄を埋めていく形式のため、前半でつまずくと後半まで連鎖します。逆に手順が固まれば、毎回同じ流れで解けるようになります。
出る形式は3つ — 精算表・財務諸表・決算整理後残高試算表
第3問で問われる完成物は次の3つのいずれかです。どれが出るかは事前にわかりません。
- 精算表の作成:残高試算表欄から修正記入欄を経て、損益計算書欄・貸借対照表欄までを横に埋めていく8桁精算表。「精算書」と書かれることもありますが、正式には精算表です。
- 損益計算書と貸借対照表(財務諸表)の作成:決算整理後の金額を、報告用の様式に並べ替えて記入する。表示科目名が勘定科目と違う点(繰越商品→商品、貸倒引当金の控除表示など)が要注意。
- 決算整理後残高試算表の作成:決算整理を反映した後の各勘定残高を一覧にする。
「ネット試験では精算表が出ない」といった噂を見かけますが、出題範囲は統一試験と同一で、どの形式も出題され得ます。ヤマを張らず3形式すべてに触れておくのが安全です。形式ごとの書き方は簿記3級の精算表を攻略する記事が詳しいので、精算表が苦手ならそちらを先に読んでください。
得点の土台は決算整理仕訳
3形式のどれが出ても、必要な作業は同じです。決算整理仕訳(決算仕訳)を正しく切り、それを集計して指定の様式に写す。つまり決算整理さえ切れれば、形式が変わっても解けるということです。頻出の決算整理は次のとおりです。
| 決算整理 | 処理の要点 | つまずきどころ |
|---|---|---|
| 売上原価の算定 | 仕入勘定で「期首商品+当期仕入−期末商品」を計算する | 繰越商品と仕入の振替方向を逆にする |
| 貸倒引当金の設定 | 差額補充法で、設定額と残高の差額だけを繰り入れる | 設定額を全額繰り入れてしまう |
| 減価償却 | 定額法で「(取得原価−残存価額)÷耐用年数」 | 期中に取得した資産の月割計算を忘れる |
| 経過勘定 | 前払費用・前受収益・未払費用・未収収益で期間を調整する | 調整の方向と月数の数え間違い |
| 現金過不足の整理 | 原因が判明した分を該当科目へ、残りは雑損・雑益へ | 雑損と雑益の左右を取り違える |
| 当座借越の振替 | 当座預金の貸方残高を当座借越(借入金)へ振り替える | 決算時にだけ必要な処理を忘れる |
| 法人税等の計上 | 中間納付分(仮払法人税等)を差し引いて未払法人税等を計上 | 仮払分を無視して全額を未払いにする |
経過勘定は特に問われ方が多彩です。保険料を1年分まとめて支払っていれば次期分を前払保険料として資産に振り替え、家賃を後払いにしているなら当期分を未払家賃として負債に計上します。「いつ払ったか」ではなく「どの期間のものか」で判断するのが原則です。
総合問題の解く手順を固定する
第3問は空欄ごとに配点があるため、全部を完成させられなくても、正しく埋めた欄の分だけ部分点が積み上がります。ここで効くのが手順の固定です。
- 決算整理事項を上から順に読み、計算用紙に仕訳をすべて書き出す。
- 試算表の金額に仕訳を反映し、科目ごとの決算整理後の金額を確定させる。
- 確定した金額を解答欄の様式に転記する。
- 最後に貸借の合計が一致するかを確認する。
途中で1つ詰まっても、その科目だけ飛ばして次に進めば残りの点は取れます。時間内に全部埋まらない前提で、取れるところから確実に埋める。これが35点を最大化する現実的な戦い方です。決算全体の流れは簿記3級の決算を攻略する記事で通して確認できます。
論点別の問題一覧 — よく検索される論点はどの大問で出るか
「訂正仕訳の問題だけ解きたい」「固定資産売却がわからない」というように、特定の論点で問題を探す人は多いはずです。ここでは検索されることの多い論点を一覧にして、主に出る大問と処理の要点をまとめました。苦手な論点から先に潰したいときの索引として使ってください。
| 論点 | 主に出る大問 | 処理の要点 |
|---|---|---|
| 訂正仕訳 | 第1問・第2問 | 誤った仕訳を打ち消す逆仕訳と、正しい仕訳の2本に分けて考える |
| 三分法 | 第1問・第3問 | 仕入・売上・繰越商品の3科目で商品売買を処理する。3級の標準 |
| クレジット売掛金 | 第1問 | 信販会社への手数料を支払手数料として売上時に計上する |
| 手形 | 第1問・第2問 | 約束手形の振出は支払手形、受取は受取手形。2027年度から範囲外の予定 |
| 当座借越 | 第1問・第3問 | 当座預金の貸方残高を、決算時に当座借越(借入金)へ振り替える |
| 小口現金 | 第1問・第2問 | 定額資金前渡制度。補給によって小口現金が定額に戻る |
| 固定資産売却 | 第1問 | 帳簿価額と売却価額の差額を固定資産売却損(益)で処理する |
| 有形固定資産の取得 | 第1問 | 引取運賃・据付費などの付随費用は取得原価に含める |
| 償却債権取立益 | 第1問 | 前期以前に貸倒処理した債権を回収したら、収益として計上する |
| 貸倒引当金 | 第1問・第3問 | 差額補充法が基本。当期発生の売掛金の貸倒れは貸倒損失 |
| 経過勘定・前払費用 | 第1問・第3問 | 前払保険料など、次期分を月割で資産・負債へ振り替える |
| 利息 | 第1問・第3問 | 貸付金・借入金の利息は日数または月数で按分する |
| 法人税等 | 第1問・第3問 | 中間納付は仮払法人税等、決算で未払法人税等を計上 |
| 繰越利益剰余金 | 第1問 | 配当金と利益準備金の積み立てをセットで仕訳する |
| 損益勘定 | 第2問 | 決算振替で収益・費用を集め、差額を繰越利益剰余金へ |
| 先入先出法 | 第2問 | 商品有高帳で、古い在庫から先に払い出したとみなす |
| 試算表 | 第2問・第3問 | 合計・残高・合計残高の3種類。決算整理後残高試算表は第3問 |
探しても見つからない論点は範囲外の可能性がある
論点別に問題を探していて見つからないときは、そもそも3級の範囲外という可能性を疑ってください。代表例が有価証券です。株式や社債の売買、受取配当金、有価証券利息といった論点は2019年度の改定で2級へ移っており、現行の簿記3級では出題されません。古い問題集や更新の止まったサイトには「3級の問題」として残っていることがあるため、そこに時間を使わないよう注意が必要です。
同じ理由で、本支店会計・製造業の原価計算・連結会計なども3級には出ません。何が範囲内かで迷ったら、商工会議所が公開している出題区分表を見るのが最も確実です。3級と2級の守備範囲の違いは簿記3級と2級の違いを解説した記事で整理しています。
統一試験とネット試験で問題は違うのか
web上で受けられるオンライン形式の試験がある、と聞いて中身が別物だと考える人がいますが、そうではありません。結論から書くと、出題範囲・レベル・問題構成・配点・合格基準はすべて同じです。ネット試験の配点も第1問45点・第2問20点・第3問35点で、統一試験と1点の違いもありません。違うのは解答の手段と受験の環境だけです。
| 比較項目 | 統一試験(ペーパー) | ネット試験(CBT方式) |
|---|---|---|
| 出題範囲・配点 | 共通(出題区分表は1つ) | |
| 試験時間・合格基準 | 60分・70点以上で合格 | |
| 解答方法 | 問題用紙を見て答案用紙に記号と数字を手書き | 画面のプルダウンで科目を選び、金額はテンキー入力 |
| 下書き | 問題用紙への書き込みが自由 | 貸与される計算用紙に書く(持ち込み・持ち帰り不可) |
| 実施 | 年3回(6月・11月・2月の日曜) | テストセンターでほぼ毎日 |
| 問題の中身 | 回ごとに全員同じ | 受験者ごとにランダムで組まれる |
| 結果 | 後日発表 | 終了直後に自動採点され即日判明 |
ネット試験の問題はランダムに組まれる
ネット試験は問題がランダム出題で、同じ日に隣の席で受けている人とも、自分が再受験したときとも問題は変わります。「ネット試験になると問題が変わるのか」と不安に思う必要はありません。組み合わせが変わるだけで、頻出テーマも難易度の水準も統一試験と共通だからです。ランダムであることは、同じ問題を二度解けない代わりに、日程を選べて何度でも挑戦できるという利点と表裏一体です。
追加で必要なのは画面操作への慣れだけ
ネット試験のために上乗せすべき対策は、実質的に操作の慣れだけです。プルダウンから科目を探す時間、テンキーでの金額入力、画面と計算用紙を行き来する視線の動き。この3つは紙で練習していると経験できないため、本番前に一度はweb形式の模擬プログラムで通し演習しておくことを強くすすめます。特に第3問の練習をネット試験の形式で一度やっておくと、当日の時間感覚が大きく変わります。
会場は全国のテストセンターで、自宅受験はできません。申し込み手順や当日の流れは簿記3級ネット試験の完全ガイドにまとめています。
無料で解ける練習問題 — 公式サンプル・サイト・アプリ
問題演習に必ずしもお金は要りません。無料で手に入る素材だけでも、かなりの量の練習ができます。ここでは入手先を性質ごとに整理します。
まず解くべきは商工会議所の公式サンプル問題
日本商工会議所は、実際の試験で出題された問題をもとにしたサンプル問題を公式サイトで公開しています。2026年7月時点でサンプル1からサンプル5までの5セットがあり、各セットは第1問・第2問(1)・第2問(2)・第3問という本試験と同じ構成です。1セットが本試験1回分に相当するので、5セットで5回分の演習量になります。
配布されているのは問題pdfと答案用紙pdfの2点で、ダウンロードして印刷すれば紙で解けます。日商の公式素材でありながら無料という点で、これに勝る練習問題はありません。ただし公式の解答は付いていません。答え合わせは、TACやネットスクールといった資格スクールが同じサンプル問題向けに無料公開している解答解説を使ってください。入手手順とセットの中身は簿記3級のサンプル問題と解答の記事で詳しく扱っています。
無料の練習サイト・学習サイト
オンラインで問題を解けるサイトも充実しています。代表的なものを挙げると、CPAラーニングは講義動画とテキスト・問題を無料で公開しており、いぬぼきは論点別の解説と練習問題を解説付きで読めます。YouTubeではふくしままさゆきさんの講義シリーズが定番で、テキストを読むのが苦手な人の入口になっています。日商簿記3級を対象にした無料の練習サイトは複数あるので、解説の書き方が自分に合うものを1つ選んで軸にするのが効率的です。
ひとつ注意点があります。本試験の問題や市販問題集を無断で転載しているサイトが検索結果に混ざることがありますが、こうした素材は使わないでください。内容が古いまま放置されていることも多く、実害という意味でも避けるのが賢明です。
アプリとスマホでのスキマ時間演習
仕訳のような反復が効く分野は、スマホのアプリが向いています。無料のアプリでも一問一答形式で数百問を回せるものがあり、電車の中や寝る前の5分といったスキマ時間を演習に変えられます。紙の問題集を開くには短すぎる時間でも、アプリなら3問は解けます。紙は総合問題、アプリは仕訳、という分担にすると学習時間の密度が上がります。アプリの選び方は簿記3級のアプリおすすめの記事で比較しました。
エクセルで自作するより、素材を使うほうが速い
精算表や試算表の様式をエクセルで再現して練習する人もいます。表計算に慣れている人には作る過程が理解の助けになる面はありますが、本番は手書きか画面入力です。エクセルは自動で合計が合ってしまうため、計算ミスに気づく訓練にならないという弱点もあります。無料の答案用紙が公開されている以上、自作に時間を使うより既成の素材を印刷して解くほうが実戦的です。無料素材だけで合格を目指す組み立ては無料で過去問演習を進める記事にまとめました。
過去問と回号 —「第158回の問題」を探している人へ
「簿記3級 158回 問題 ダウンロード」「167回 問題」のように、特定の回の問題を探している人はとても多いのですが、先に結論を書きます。現行制度の本試験問題は公表されておらず、どの回のものも入手できません。ネット試験の導入にあわせて統一試験でも問題用紙が回収されるようになったためで、市販の過去問題集も第156回以前のものしか存在しません。
回号と実施時期の対応表
とはいえ、自分が調べている回がいつの試験なのかは知っておいて損がありません。現行形式になった第157回以降の対応は次のとおりです。
| 回号 | 実施時期 | 回号 | 実施時期 |
|---|---|---|---|
| 第157回 | 2021年2月 | 第166回 | 2024年2月 |
| 第158回 | 2021年6月 | 第167回 | 2024年6月 |
| 第159回 | 2021年11月 | 第168回 | 2024年11月 |
| 第160回 | 2022年2月 | 第169回 | 2025年2月 |
| 第161回 | 2022年6月 | 第170回 | 2025年6月 |
| 第162回 | 2022年11月 | 第171回 | 2025年11月 |
| 第163回 | 2023年2月 | 第172回 | 2026年2月 |
| 第164回 | 2023年6月 | 第173回 | 2026年6月 |
| 第165回 | 2023年11月 | 第174回 | 2026年11月(予定) |
日商の第157回から第174回まで、いずれも問題は非公表です。「157回 ダウンロード」で検索して出てくるファイルがあるとすれば、それは予備校が試験後に作成した再現問題か、無断転載のどちらかだと考えてください。
過去問の代わりになるもの
過去問が手に入らないなら、代わりを用意するしかありません。実質的な代替は3つです。第一に公式サンプル問題の5セット。実際に出題された問題がもとになっており、最も本番に近い素材です。第二に市販の予想問題集で、各社が直近の傾向を分析して作った第◯回相当の想定問題が4〜6回分収録されています。第三にネット試験形式の模擬プログラムで、本番と同じ画面で通し演習ができます。
過去問が公表されない事情と、この3つの使い分けは簿記3級の過去問の記事で詳しく整理しています。過去問が無いことは全受験者に共通の条件なので、不利にはなりません。
「全商」「英語」— 別物の検定と紛らわしい検索に注意
問題を探しているうちに、目的と違う検定の資料にたどり着いてしまうことがあります。よくある2つの取り違えをここで整理しておきます。
全商簿記は日商簿記とは別の検定
この記事が扱っているのは、日本商工会議所および各地商工会議所が主催する日商簿記検定です。これに対して全商簿記実務検定は全国商業高等学校協会が主催するもので、主に商業高校の生徒が受験します。区別のために「日商の3級簿記」という言い方をすることもあります。両者は主催団体・出題範囲・問題の形式がいずれも異なる別の試験です。
全商簿記は過去問題が協会サイトで無料公開されているため、「無料で過去問が手に入る」という情報にたどり着きやすいのですが、日商簿記3級の対策としては代用できません。全商の問題を解いても日商の出題形式には慣れないため、日商を受けるなら日商向けの素材を使ってください。なお日商簿記の3級・2級と全商簿記の級位は対応しておらず、難易度も単純比較はできません。就職や進学で評価されるのは一般に日商です。目指す級と資格の位置づけは簿記とは何かを解説した記事で確認できます。
英語の問題は出ない
「簿記3級の問題に英語は出るのか」という疑問もときどき見かけますが、日商簿記3級はすべて日本語で出題されます。問題文も勘定科目の選択肢も日本語です。英文会計を扱うのはBATIC(国際会計検定)など別の資格で、簿記検定の学習に英語力は要りません。
ただし、簿記で学ぶ勘定科目にはそれぞれ対応する英語表現があり(売掛金=accounts receivable、買掛金=accounts payable など)、将来的に外資系企業や海外取引に関わる場合には知識が生きます。3級の受験対策としては不要なので、合格後の楽しみとして取っておけば十分です。
市販の問題集の選び方 — 基準・定番シリーズ・購入先
無料素材だけでも学習は進められますが、演習量をまとめて確保するなら市販の問題集が効率的です。おすすめランキングを何本も見比べるより、基準を決めて1冊選ぶほうが早く前に進めます。
選ぶ基準は3つだけ
問題集に必要な条件は、突き詰めると次の3点です。
- 1. 必ず最新年度版であること
- 出題区分の改定に対応していない古い版は、範囲外の論点が混ざっていたり、逆に必要な論点が抜けていたりします。特に2027年度の改定をまたぐ時期は要注意です。
- 2. 解説付きで、その問題解説が詳しいこと
- 解答だけが載っている薄い問題集は、独学では使いにくい。なぜその科目を使うのかまで書かれた解説付きのものを選んでください。答え付き・答えのみの構成かどうかは、購入前に必ず中身を確認します。
- 3. 自分の受験方式に合った模擬が付くこと
- 統一試験なら紙の模試、ネット試験ならweb形式の模擬試験プログラム。方式に合った演習が付属していると、別途用意する手間が省けます。
「どの問題集が公式なのか」という質問を知恵袋などでよく見かけますが、商工会議所が指定する公式問題集というものは存在しません。定番シリーズであれば必要な内容は押さえられており、中身に決定的な差はないと考えて大丈夫です。
教材の種類と役割の分担
問題集にはいくつか種類があり、役割が違います。買うべきものを絞るために整理しておきます。
| 種類 | 役割 | 使うタイミング |
|---|---|---|
| テキスト | 論点の説明を読んで理解する | 学習の最初。1周する |
| 論点別問題集 | 単元ごとに基本問題を解く | テキストと並行 |
| 予想問題集(本試験問題集) | 本試験形式の総合問題・想定問題を通しで解く | 仕上げ。直前1〜2週間 |
| 模擬・模試プログラム | ネット試験と同じ画面で通し演習 | ネット試験の受験前 |
| 仕訳アプリ | 仕訳を反復する | 学習期間を通じて毎日 |
テキストと予想模試がセットになった構成の本を選べば、最低限必要なものは1冊で揃います。予算を抑えたいなら、テキスト+予想問題集の2冊にアプリを足す組み合わせが現実的です。
定番シリーズと購入先
日商簿記3級向けの売れ筋は、TAC出版の「スッキリわかる」シリーズと「みんなが欲しかった!」シリーズ(通称みんほし)、LECの「光速マスターNEO」シリーズあたりです。スッキリわかるはストーリー仕立てで初学者向け、みんほしはフルカラーで図解が多い、といった性格の違いはありますが、どれを選んでも合格には届きます。TAC(タック)・資格の大原・ネットスクールといった資格スクールは、問題集に加えてネット試験模擬のプログラムも提供しています。資格の大原のネット試験模擬のように、本番と同じCBT画面を再現したものを無料で試せるサービスもあるので、方式に不安があるなら一度触っておくと安心です。
購入は書店のほか、Amazon(アマゾン)や楽天などの通販が手軽です。フリマアプリのメルカリで中古を探す人もいますが、旧版だったり書き込みがあったりするリスクがあり、最新版であることが条件の教材とは相性が良くありません。数百円の節約のために範囲の古い本を掴むのは割に合わないので、問題集は新品を推奨します。薄い問題集で済ませたいという場合も、薄さで選ぶより「仕訳はアプリ、紙は総合問題の模試に集中」という使い方の工夫で解決するほうが結果は出ます。
間違えやすい問題・ひっかけ問題への対策
簿記3級には、多くの受験者が同じ場所でつまずく型があります。作問側が意図的に仕掛けているというより、理解が浅いと必ずそこで転ぶ構造になっている、という意味でのひっかけ問題です。あらかじめ知っておくだけで失点はかなり防げます。
頻出のミス6つ
- 貸借の逆:借方と貸方を反対に書く。最も初歩的で、最後まで起こり続けるミス。5要素のホームポジションが曖昧なのが原因です。
- 売上原価の振替方向:三分法の決算整理で、繰越商品と仕入のどちらからどちらへ振り替えるかを取り違える。期首分は仕入へ、期末分は繰越商品へ、と唱えて覚えます。
- 貸倒引当金の全額計上:差額補充法の指定があるのに、設定額をそのまま繰り入れてしまう。すでにある残高を引くのを忘れないこと。
- 減価償却の月割忘れ:期中に取得した固定資産を、1年分まるごと償却してしまう。取得日が問題文に書かれていたら月割を疑ってください。
- 経過勘定の期ずれ:前払・未払・前受・未収の調整方向と月数を間違える。「当期のものか、次期のものか」で判断します。
- 指定条件の読み飛ばし:「月割で」「差額補充法により」「税抜方式による」といった一文の見落とし。計算力ではなく読み方の問題です。
紛らわしい勘定科目の選び間違い
解答が選択式である以上、似た名前の科目が並んでいれば取り違えが起こります。特に混同されやすい組み合わせは、言葉で違いを説明できるレベルまで整理しておいてください。
| 紛らわしい組み合わせ | 見分け方 |
|---|---|
| 未払金 と 未払費用 | 備品など単発の購入代金の未払いが未払金。家賃や利息など継続的なサービスの未払いが未払費用 |
| 前払金 と 前払費用 | 商品仕入の手付金が前払金。保険料など期間サービスの前払いが前払費用 |
| 立替金 と 預り金 | こちらが立て替えて後で受け取るのが立替金(資産)。預かって後で納めるのが預り金(負債) |
| 貸倒損失 と 貸倒引当金繰入 | 当期に発生した債権の貸倒れは貸倒損失。前期以前の債権は引当金を取り崩す |
| 支払手数料 と 支払利息 | サービスへの対価が手数料。お金を借りた対価が利息 |
| 雑損 と 雑益 | 現金過不足の原因が不明のまま、不足なら雑損(費用)、超過なら雑益(収益) |
間違えた問題は、正解を確認して終わりにせず「なぜその科目を選んでしまったのか」まで言語化してください。原因が「科目の意味を知らなかった」なのか「条件を読み落とした」なのかで、次に取るべき対策がまったく違います。この振り返りをやるかどうかが、同じ演習量でも伸びに差がつく分かれ目です。
演習の進め方 — 解き方・復習・演習量の目安
素材が揃っても、順番と量を間違えると効率は落ちます。最後に、演習をどう組み立てるかを具体的に示します。
順番はテキスト1周 → 大問別 → 通し演習
本格的な演習に入るのは、テキストで全範囲を一通り読んだ後が効率的です。全体像がないまま問題を解いても、解説の意味がわからず時間だけが過ぎます。その後は次の順で進めます。
- 第1問(仕訳)を大問別に固める。配点が最大で、かつ他の大問の土台にもなるため最優先です。
- 第3問(決算)に進む。決算整理仕訳を切る練習から始め、精算表・財務諸表・決算整理後残高試算表の3形式を最低1回ずつ通します。
- 第2問を広げる。補助簿・勘定記入・伝票のテーマ別に、出やすい型を一巡します。
- 60分を計って通し演習。本試験形式で3回分ほど解き、時間配分の感覚を体に入れます。
本試験での時間の配分は、第1問に15〜20分、第3問に25〜30分、第2問に10〜15分が目安です。解く順番も第1問→第3問→第2問がおすすめで、配点の大きいところを頭が疲れないうちに終わらせる考え方です。通し演習で自分なりの問題配分が固まれば、当日の焦りは大きく減ります。
復習に時間を使う — 新しい問題を追い続けない
やりがちな失敗が、問題解きまくること自体を目的にしてしまうことです。新しい問題ばかりに手を出すと、間違えた論点が放置されたまま演習量だけが増えていきます。演習の目的は「二度と間違えない状態を作ること」なので、同じ問題を2回、3回と解き直すほうが得点は伸びます。
復習の型としては、間違えた問題に印をつけておき、翌日にもう一度、1週間後にもう一度解く。3回連続で正解できたらその問題は卒業。この回し方なら、自分の弱点だけに時間を集中できます。解説を読んで納得した状態と、何も見ずに解ける状態はまったく別物なので、必ず手を動かして確認してください。
演習量の目安
どれくらい解けばいいのかの目安を示します。仕訳は毎日10〜20問を試験日まで継続、決算の総合問題は週2〜3問、仕上げの模試は3回分。この量をこなせば、初見の問題でも手が止まらなくなります。学習期間全体でどれくらいの時間が必要かは簿記3級の勉強時間の記事で試算しています。
最後に、当日の解き方について。簡単な問題を確実に取り、難しい問題に固執しないこと。部分点方式の簿記3級では、これが最も点数につながります。10代の高校生から20代の就職準備、40代・50代の学び直しまで受験者の年代は幅広いのですが、この原則はどの年代にも共通です。1問に5分かけて解けない問題は、その5分を他の設問に回したほうが確実に点になります。
まとめ:大問ごとの型を知れば、簿記3級の問題は怖くない
簿記3級の問題は、大問3つ・100点満点・70点合格というシンプルな構成です。第1問が仕訳15問で45点、第2問が帳簿や勘定記入で20点、第3問が決算の総合問題で35点。出る型は大問ごとに決まっているので、配点の大きい第1問と第3問から固めるのが最短ルートになります。
素材は無料でも十分に揃います。まず商工会議所の公式サンプル問題5セットを解き、足りない分を市販の予想問題集とアプリで補う。過去問が公表されていないという条件は全受験者に共通なので、不利にはなりません。2026年度中の受験なら出題範囲は前年と同じで、2027年4月以降の試験を受ける人だけ改定内容を意識しておけば十分です。
そして、すべての大問の土台になるのが仕訳です。第1問の45点はもちろん、第3問の決算整理も、第2問の帳簿記入も、仕訳が正確に切れることが前提になります。当アプリの仕訳ドリルなら、本番と同じ「勘定科目の選択+金額入力」の形式で、よく出る取引を毎日反復できます。間違えた問題は自動で復習に回るので、弱点だけを効率よく潰せます。まずは1日10問。今日から手を動かすことが、合格への一番の近道です。
