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簿記3級 第2問の対策完全ガイド|配点20点で何が出る?勘定記入・補助簿・伝票の解き方とコツ

最終更新日:
簿記3級の第2問は配点20点、問1・問2の2題構成。勘定記入(穴埋め)・補助簿・伝票・語句記入と出題範囲が広く「何が出るか読めない」大問です。頻出テーマ別の解き方、捨てるべきかの判断、部分点の拾い方、ネット試験での注意点、無料サンプル問題の使い方まで一気に解説します。
目次

簿記3級の第2問とは?配点20点・何問出るかと試験全体での位置づけ

日商簿記3級(日商簿記検定3級)の試験は大問3つ・100点満点で構成され、70点以上で合格になります。試験時間は60分。その真ん中に位置するのが第2問で、配点は20点です。第1問の仕訳が45点、第3問の決算が35点なので、第2問は3つの大問のなかで最も配点が小さい大問ということになります。

大問ごとの内容と点数の内訳を整理すると、次のとおりです。

大問出題内容問題数配点
第1問仕訳問題15問45点
第2問勘定記入・補助簿・伝票・語句記入など問1・問2の2題20点
第3問決算の総合問題(精算表・財務諸表など)大問1つ35点

この配点を合格ライン70点と重ねてみると、第2問の立ち位置がはっきりします。第1問45点と第2問20点を両方とも満点にしても65点にしかならず、それだけでは合格できません。どの受験者も第3問から最低5点は取る必要がある一方で、第2問を空欄だらけにすると第1問と第3問にほぼ完璧を求めることになります。第2問は主役ではないが外せない、という位置づけです。

簿記3級の配点構成と合格ライン70点の位置 第2問は100点中20点 第1問 仕訳 45点 第2問 20点 第3問 決算 35点 合格ライン 70点 第1問+第2問=65点(まだ届かない)
第2問は3つの大問で最も配点が小さい。ただし第1問と第2問が満点でも65点で、合格ライン70点には第3問からの上積みが要る

第2問は何問出るのか、1問あたり何点なのか

第2問が何問出るのかというと、多くの場合は問1・問2の2題構成です。配点20点をこの2題で分け合う形になり、10点ずつのこともあれば、12点と8点のように偏ることもあります。さらに1題の内部は空欄が5〜10か所程度に分かれており、その1か所ごとに点数が振られる方式が一般的です。つまり第2問の点数は「解けたか、解けなかったか」の全か無かではなく、埋められた空欄の数だけ積み上がります。この構造を知っているかどうかが、後述する部分点戦略の出発点になります。

なお検索では「第2問目」「大問2」「問題2」「2問目」といった呼び方や、「大門2」という誤記で探されることもありますが、すべて同じ第2問を指しています。

第1問・第3問との関係 — 第2問で粘りすぎて第3問が0点になる事故

60分という試験時間に対して、第2問は最も「時間を吸い取られやすい」大問です。帳簿の空欄を1つ埋めるために前後の取引をすべて追いかけ、気づけば20分以上が過ぎ、配点35点の第3問に手をつける時間が残っていない — これが不合格の典型パターンです。第3問が0点なら、第1問と第2問で満点を取っても65点にしかならず、届きません。

だからこそ第2問は「解く順番」と「切り上げどき」を決めておく必要があります。配点の大きい第1問(45点)と第3問(35点)を先に確保し、第2問は残り時間で拾える分を拾う — これが得点の期待値を最大化する基本方針です。試験全体の構成や大問ごとの型については簿記3級の問題を徹底解説もあわせて確認してください。

第2問は何が出る?出題範囲・出題傾向と頻出テーマ一覧

第2問が「対策しにくい」と言われる最大の理由は、出題範囲の広さです。第1問は仕訳、第3問は決算とテーマが固定されているのに対し、第2問は帳簿・伝票・語句・計算と守備範囲がばらけており、何が出るかを事前に絞り込みにくい。裏を返せば、出る種類そのものは限られているので、タイプを一覧で把握してしまえば「初見でパニックになる」事態は防げます。

第2問で出題される問題の種類

現行の出題傾向を整理すると、第2問で出る問題は大きく次の5種類に分類できます。

種類問われること頻出度
勘定記入(穴埋め)特定の勘定の空欄に日付・相手科目・金額を記入する非常に高い
補助簿の選択・記入取引がどの補助簿に記入されるかを選ぶ、または補助簿を作成する高い
伝票記入・集計3伝票制で起票する、仕訳日計表に集計する
語句記入・文章問題簿記の用語や基本ルールを語群から選んで埋める
その他の計算問題商品有高帳の払出単価、現金過不足、資本の変動など

よく出る問題は「勘定記入」と「補助簿」に集中している

この5種類は等しく出るわけではありません。近年の出題傾向として、第2問の中心は明確に勘定記入と補助簿にあります。とくに勘定記入は、経過勘定(前払・未払・前受・未収)、法人税等、減価償却、資本金や繰越利益剰余金といった決算がらみの勘定を舞台に、繰り返し形を変えて出題されています。頻出テーマから優先的に潰していくのが、限られた勉強時間の使い方として正解です。

一方で「今回はこれが出る」と山を張るのは危険です。第2問は2題構成なので、頻出タイプ1題+やや珍しいタイプ1題という組み合わせも普通に起こります。よく出る問題を確実に取り、それ以外は部分点を拾う — この二段構えで臨みます。

過去の出題形式との違いに注意する

過去の情報を参考にするときは、いつの試験の話かを必ず確認してください。簿記3級は2021年度から出題形式が大きく変わり、それ以前は試験時間120分・大問5問という構成でした。当時の第2問と現在の第2問は分量も位置づけも異なります。古い教材や過去の受験体験談をそのまま信じると、対策の方向がずれます。出題範囲そのものも改定が入ることがあるため、最新の出題区分表は商工会議所の公式サイトで確認するのが確実です。

タイプ①勘定記入・穴埋め問題の解き方

勘定記入問題は、総勘定元帳に並ぶ勘定(T字勘定)の一部が空欄になっていて、そこに日付・相手勘定科目・金額を埋めていく形式です。第2問の主役であり、穴埋め形式で出ることから「穴埋め問題」とも呼ばれます。難しく見えるのは、勘定という見慣れない箱に答えを書くからであって、問われているのは結局「仕訳が切れるか」だけです。仕訳さえ正しく切れれば、あとはそれを勘定に移し替える作業になります。

解き方の基本手順 — まず仕訳を書き出す

勘定の上で直接考えようとすると混乱します。次の順番で処理してください。

  1. 問題文の取引を、余白にすべて仕訳として書き出す
  2. 書いた仕訳のうち、答案の勘定に関係する行だけを拾う
  3. その勘定が借方・貸方どちらに来ているかを見て、勘定の左右に金額を書く
  4. 相手勘定科目(仕訳の反対側の科目)を摘要欄に書く
  5. 最後に貸借の合計を計算し、差額を次期繰越または損益に振り替える

ポイントは4番です。勘定記入で摘要欄に書くのは、自分自身の科目ではなく相手方の勘定科目です。現金勘定の借方に「売上」と書くのは、現金が増えた原因が売上だからです。ここを取り違えると連鎖的に全問外すので、最初に頭へ入れておきましょう。

仕訳から勘定への転記 — 摘要欄には相手方の勘定科目を書く 取引:商品を売り上げ、現金100円を受け取った (借)現金 100 (貸)売上 100 現金勘定 借方(左) 貸方(右) 売上 100 摘要は相手方の科目
仕訳の反対側に出た科目が、勘定の摘要欄に入る。現金勘定の借方に「売上」と書くのは、現金が増えた原因が売上だから

前期繰越・次期繰越と「損益」勘定の締め切り

勘定記入問題では、期首の前期繰越と期末の締め切りがほぼ必ず問われます。資産・負債・純資産の勘定は、期末に残高を「次期繰越」として反対側に書いて締め切り、翌期首に「前期繰越」として同じ側へ戻します。これに対して収益・費用の勘定は繰り越しません。期末に損益勘定へ振り替えて残高をゼロにします。

この振替の流れが、第2問と第3問をつなぐ幹になります。収益と費用を損益勘定に集めると、損益勘定の貸借差額が当期純利益(または当期純損失)になり、それを繰越利益剰余金勘定へ振り替えて締めくくります。したがって繰越利益剰余金の勘定記入が出題されたら、見るべきは3つだけです。

前期繰越
期首時点の繰越利益剰余金。貸方に記入する
損益からの振替
当期純利益を貸方に、当期純損失なら借方に記入する。摘要は「損益」
剰余金の配当
配当金と利益準備金の積立分を借方に記入する。摘要は「未払配当金」「利益準備金」

差額を次期繰越として締めれば完成です。損益勘定そのものが答案に出るパターンも定番で、この場合は収益の各科目を貸方に、費用の各科目を借方に並べ、差額を繰越利益剰余金へ振り替えます。両者は表裏一体なので、セットで練習しておくと効率が良いでしょう。

勘定記入の頻出パターン別攻略(経過勘定・法人税等・減価償却)

勘定記入の解き方が分かっても、実際の得点はテーマごとの「型」を知っているかで決まります。第2問で繰り返し登場する舞台は限られているため、ここでは特に出やすい3系統を取り上げます。

経過勘定 — 保険料・受取利息の再振替仕訳がカギ

最も出題頻度が高いのが、費用・収益の前払い/前受け/未払い/未収を扱う経過勘定です。典型は支払保険料と前払保険料のセット、そして受取利息と未収利息のセットです。

この系統の問題が難しく見えるのは、勘定の一番上に前期からの引き継ぎ(再振替仕訳)が来るからです。1年分の流れは次のように固定されています。

  1. 期首: 前期末に計上した前払保険料を支払保険料へ戻す(再振替仕訳)。これで期首の支払保険料勘定に、まだ払っていない分が最初から乗る
  2. 期中: 保険料を支払ったタイミングで支払保険料の借方に記入する
  3. 期末: 翌期分に当たる金額を前払保険料へ振り替える(決算整理仕訳)
  4. 締め切り: 残った支払保険料を損益勘定へ振り替える

受取利息も向きが逆になるだけで構造は同じです。貸付金に対する利息を期末までの経過月数分だけ未収利息として計上し、翌期首に再振替する。「何か月分か」を月割りで押さえれば、金額の計算はほぼ機械的に決まります。問題文に「毎年8月1日に向こう1年分を支払う」といった条件が付くので、決算日までの経過月数と翌期に属する月数を、日付を書き並べて数えるのが確実です。

たとえば毎年8月1日に向こう1年分の保険料12,000円を支払っている会社で、決算日が3月31日だとします。1年分のうち当期に属するのは8月から3月までの8か月分、つまり12,000円 ÷ 12か月 × 8か月 = 8,000円です。残る4月から7月までの4か月分4,000円は翌期の費用なので、決算で前払保険料へ振り替えます。そして翌期首にこの4,000円を支払保険料へ戻すところから、また同じ1年が始まります。

1年分の保険料を当期分と翌期分に月割りで按分する図 1年分12,000円を8月1日に支払った場合 8/1 支払 3/31 決算 7/31 満了 当期分 8か月 翌期分 4か月 支払保険料(費用) 前払保険料(資産) 8,000円 4,000円
1年分をまとめて払っても、当期の費用になるのは決算日までの8か月分だけ。残り4か月分は前払保険料として資産に振り替え、翌期首に支払保険料へ戻す

法人税等 — 中間納付と未払法人税等の関係

法人税、住民税及び事業税(まとめて法人税等)も勘定記入の定番テーマです。流れは3ステップで、期中に中間納付として仮払いし、決算で年間の税額が確定し、差額を未払分として計上します。

タイミング仕訳
中間納付時(借)仮払法人税等 / (貸)当座預金
決算時(借)法人税等 / (貸)仮払法人税等・未払法人税等
納付時(翌期)(借)未払法人税等 / (貸)当座預金

仮払法人税等は先に払っておいた分なので資産、未払法人税等はこれから払う義務なので負債です。決算時の仕訳で「確定した年税額 − 中間納付額 = 未払法人税等」となる点さえ押さえれば、どの勘定の空欄を聞かれても金額を逆算できます。

減価償却 — 間接法の勘定記入と固定資産の売却

減価償却は、減価償却費勘定と減価償却累計額勘定の両方が答案に登場します。3級では間接法が基本なので、決算整理仕訳は「(借)減価償却費 / (貸)減価償却累計額」。減価償却費は費用なので期末に損益へ振り替えてゼロになり、減価償却累計額は資産のマイナスとして次期繰越で残ります。片方は繰り越さず、もう片方は繰り越す — この違いが空欄の答えを分けます。

期中に固定資産を取得した場合は月割りで計算します。売却が絡むと、売却時点までの当期分の減価償却費を計上してから、帳簿価額と売却額の差で固定資産売却益または売却損を出します。減価償却の計算そのものに不安があるなら、減価償却とはで定額法の考え方を先に固めておくと、勘定記入でも迷わなくなります。

タイプ②補助簿・帳簿問題(商品有高帳・固定資産台帳)の解き方

補助簿は、総勘定元帳だけでは足りない明細を管理するための帳簿です。第2問では「この取引はどの補助簿に記入されるか」を選ばせる形式と、特定の補助簿を実際に作成させる形式の両方が出ます。前者は知識があれば数十秒で解けるボーナス問題、後者は計算を伴う本格的な問題です。

どの補助簿に記入されるかを選ぶ問題

選択形式で問われたときは、取引を仕訳に直してから、出てきた勘定科目で補助簿を引き当てるのが最短です。主な対応関係は次のとおりです。

補助簿記入する取引
現金出納帳現金の増減がある取引
当座預金出納帳当座預金の増減がある取引
仕入帳・売上帳商品の仕入れ・売上げ(返品を含む)
商品有高帳商品の受け入れ・払い出し
売掛金元帳・買掛金元帳掛けの発生と回収・支払い(得意先/仕入先ごと)
受取手形記入帳・支払手形記入帳手形の受け取り・振り出しと決済
固定資産台帳固定資産の取得・売却・減価償却

注意すべきは、1つの取引が複数の補助簿に記入されることです。「商品を掛けで仕入れ、引取運賃を現金で支払った」なら、仕入帳・商品有高帳・買掛金元帳・現金出納帳の4つに記入されます。答案欄が複数選択になっていたら、仕訳の借方・貸方に出た科目を1つずつ指差し確認していきましょう。

商品有高帳 — 先入先出法と移動平均法

作成問題で最もよく出るのが商品有高帳です。ここで問われるのは払出単価の決め方で、3級では先入先出法と移動平均法の2つを扱います。

先入先出法
先に仕入れたものから先に払い出したとみなす。単価の異なる在庫は行を分けて{ }でくくり、古い単価の分から順に払い出す
移動平均法
仕入れのたびに平均単価を計算し直す。平均単価 = (残高金額 + 仕入金額) ÷ (残高数量 + 仕入数量)

どちらを指定されても手が動くよう、両方を練習しておいてください。また商品有高帳に記入するのは原価であって売価ではありません。売上げの行でも払出欄には原価を書きます。ここを売価で書いてしまう取り違えが最も多い失点です。売上原価は払出欄の金額合計、売上総利益は売上高から売上原価を引いて求めます。返品があった場合は、仕入戻しなら受入欄の反対処理、売上戻りなら払い出した単価のまま受入欄に戻す点にも注意しましょう。

固定資産台帳 — 総勘定元帳との突き合わせ

固定資産台帳は、建物や備品といった固定資産を1件ずつ管理する補助簿で、取得年月日・取得原価・耐用年数・期首(期中取得)減価償却累計額・当期減価償却費・期末帳簿価額が並びます。第2問では、この台帳を読み取って備品勘定や減価償却累計額勘定を完成させる、いわば横断型の問題として出題されます。

解く順番は、台帳の各行について当期の減価償却費を計算する → 期中取得分は月割りで按分する → 全行を合計して減価償却費勘定の金額を出す → 累計額を合計して減価償却累計額勘定の次期繰越を出す、という流れです。台帳と勘定の数字は必ず一致するので、合計が合わなければどこかで計算を間違えているという検算にもなります。

タイプ③伝票記入・語句記入・文章問題(理論問題)の対策

計算主体の勘定記入・補助簿に対して、こちらは知識やルールの理解が直接得点になる系統です。準備の量に対して見返りが大きいため、後回しにせず先に手を打っておく価値があります。

伝票記入と仕訳日計表

3級で扱うのは3伝票制(入金伝票・出金伝票・振替伝票)です。現金が増える取引は入金伝票、現金が減る取引は出金伝票、現金が動かない取引は振替伝票に起票します。判断に迷ったら、まず仕訳を書いて現金が借方・貸方・どちらにも出ないかを見るだけで振り分けられます。

やや難しいのが、一部現金取引の起票です。「商品を売り上げ、代金の一部を現金で受け取り残りは掛け」といった取引は、取引を分解する方法と、いったん全額を掛けとして起票してから現金回収を入金伝票で処理する方法があり、問題文でどちらの方針かが指定されます。指定された方の処理をしないと全滅するので、問題文の但し書きを必ず読んでください。仕訳日計表の作成問題では、各伝票を科目ごとに集計して借方・貸方合計を出し、最後に総勘定元帳へ転記します。合計が左右一致することが検算になります。

語句記入(穴埋め)の攻略

語句を選んで文章の空欄を埋めるタイプは、簿記の基本用語が問われます。よく狙われるのは、主要簿と補助簿の区別、決算手続きの順序(試算表 → 決算整理 → 精算表 → 財務諸表)、仕訳帳と総勘定元帳の役割、貸借対照表と損益計算書に載る要素の分類あたりです。

語群から選ぶ形式なので、うろ覚えでも消去法が効きます。テキストの最初の章、つまり多くの人が読み飛ばしがちな「簿記の基礎」部分がそのまま出題範囲になっているため、試験前に一度戻って用語を確認しておくと拾える点数です。用語の土台を作り直したい場合は簿記とは複式簿記とはを読み返しておくと、語句問題への抵抗が一気に減ります。

文章問題・理論問題への備え

文章問題や理論問題という呼び方をされることもありますが、3級の場合は論述させるわけではなく、正誤判定や語句選択の形をとります。計算がない分ここで確実に稼げると精神的にも楽になるので、「文章問題は運任せ」と捨ててしまうのはもったいない。テキストを読むときに太字の用語だけでなく、その定義を自分の言葉で説明できるかを確かめながら進めるだけで、対策としては十分です。

簿記3級の第2問は捨てるべき?部分点で12〜16点を拾う戦略

「第2問は捨てるべきか」は、この大問について最も多く検索される疑問です。結論から言うと、大問まるごと捨てるのは不正解、しかし満点を狙うのも不正解。正しい構えは「解ける空欄だけ拾って先へ進む」です。

なぜ丸ごと捨ててはいけないのか

合格ラインは70点です。第2問を完全に捨てると残りは第1問45点+第3問35点=80点となり、この80点のうち70点、つまり87.5%を正解しなければ合格できません。仕訳を1問落とすだけで一気に苦しくなる計算です。第2問から10点でも拾えれば、必要な正答率は現実的な水準まで下がります。捨てるという選択肢は、他の大問に完璧を要求するという意味で、かえって難しい道を選ぶことになります。

難しい・わからないと感じたときの切り上げ方

第2問が難しいと感じるのは、多くの場合「全部埋めなければ」と思い込んでいるからです。前述のとおり第2問は空欄ごとの採点なので、部分点が素直に積み上がります。実戦での動き方は次のとおりです。

  • 問題を読んで形式を把握したら、まず前期繰越・日付・摘要など、計算せずに書ける空欄を先に埋める
  • 次に、1〜2ステップの計算で出る空欄を埋める
  • 最後の貸借差額で求める欄は、他が埋まっていれば芋づる式に出ることが多いので粘る価値がある
  • 3分考えて糸口が見えない空欄は飛ばして、第3問へ移る

この進め方なら、苦手なテーマが出ても20点中12〜16点は現実的に狙えます。第2問は満点を取る大問ではなく、6〜8割を安定して拾う大問と割り切ってください。

苦手意識をなくす順番

第2問が苦手だという人の大半は、第2問そのものが苦手なのではなく、仕訳が固まっていません。勘定記入も補助簿も伝票も、入口はすべて仕訳です。わからないと感じたら第2問の問題演習を増やすより、先に仕訳の反復に戻るほうが結果的に近道です。仕訳のパターンをひととおり押さえたい場合は簿記3級の仕訳問題を完全攻略で頻出パターンを確認しておきましょう。

第2問対策のコツと時間配分・攻略手順

ここまでのタイプ別の解き方を、本番で機能する行動計画に落とし込みます。日商簿記3級の解き方として押さえるべきは、順番・時間・書き方の3点です。

解く順番と時間配分

60分をどう割り振るかを決めておくだけで、得点は変わります。おすすめの配分は次のとおりです。

順番大問目安時間狙う点数
1第1問(仕訳15問)15〜20分36〜45点
2第3問(決算)20〜25分25〜30点
3第2問10〜15分12〜16点

第2問を最後に回すのは、時間が読めない大問だからです。仮に時間切れになっても失うのは20点のうちの一部で済みます。逆に第2問を先に解いて沼にはまると、35点の第3問を丸ごと落としかねません。時間が読めない大問を最後に置く — これが第2問対策で最も効果の大きいコツです。

本番で使う攻略の型

第2問に着手したら、次の順で機械的に進めます。

  1. 設問文と答案用紙を先に見て、勘定記入・補助簿・伝票・語句のどのタイプかを判定する
  2. 問1と問2を比べ、解けそうな方から手をつける(順番どおりに解く必要はない)
  3. 問題文の取引を余白に仕訳として全部書き出す
  4. 答案の空欄に、書けるところから埋めていく
  5. 残り時間と相談し、詰まった空欄は空けたまま次へ

余白に仕訳を書く手間を惜しまないことが重要です。頭の中だけで勘定を組み立てようとすると、ほぼ確実にどこかで符号を取り違えます。手を動かして書いた仕訳は、あとで見直すときの検算材料にもなります。

本番までの勉強方法

第2問に特化した勉強方法としては、次の順番が効率的です。まずテキストで帳簿の章(補助簿・伝票・決算)を通読し、どんな帳簿があるかの地図を作ります。次に頻出テーマである勘定記入を、経過勘定 → 法人税等 → 減価償却 → 繰越利益剰余金の順に1テーマずつ演習します。ここまでで第2問の骨格は固まります。最後に、時間を計った通し演習で第2問に配分できる時間を体に覚えさせます。

全体の学習計画のなかで第2問にどれだけ時間を割くかについては、簿記3級の勉強時間の目安と照らして調整してください。配点20点の大問に勉強時間の3割を注ぐのは明らかに配分ミスです。

ネット試験(CBT)での第2問の解き方と対策

簿記3級はネット試験(CBT方式)と統一試験(ペーパー)の2方式があり、出題内容・配点・試験時間はどちらも同じです。ただし第2問については、解答の操作方法が紙とネットで大きく違うため、ネット試験対策として別途慣れておく必要があります。

画面上での解答方法の違い

ネット試験では、勘定科目や摘要はプルダウンから選択し、金額はキーボードで入力します。紙のように「とりあえず書いておいて後で消す」ができないぶん、迷いがあるまま入力すると修正の手間がかかります。主な違いを整理します。

勘定科目の入力
プルダウンの選択肢から選ぶ。選択肢に無い科目は答えではないので、逆にヒントとして使える
金額の入力
半角数字で入力する。カンマは自動で付く場合が多く、自分で入れる必要はない
下書き
配布される計算用紙に仕訳を書く。画面には書き込めないため、下書き用紙の使い方が得点を左右する
問題の行き来
大問間を自由に移動できる。第2問を飛ばして第3問へ進み、あとで戻る運用がしやすい

ネット試験ならではの注意点

紙の試験では答案用紙全体を一目で見渡せますが、ネット試験では画面をスクロールしないと勘定の全体像が見えないことがあります。勘定記入問題で上下の行を見比べたいときにこれが効いてきます。対策はシンプルで、下書き用紙に自分でT字勘定を書き写してから考えること。画面を行き来する時間を減らせます。

また、ネット試験は随時受験できるためテストセンターごとに問題が異なり、統一試験のように「今回の第2問は何が出た」という情報が共有されません。だからこそタイプ別の型を一通り押さえておくことが、そのまま最良のネット試験対策になります。申し込み方法や当日の流れを含めた全体像は簿記3級ネット試験とはで確認してください。

練習問題・サンプル問題・過去問・問題集・アプリの使い方

第2問は演習量がそのまま得点に跳ね返る大問です。ただし闇雲に解くのではなく、教材ごとの役割を分けて使うのが効率的です。

まずは公式のサンプル問題から

最優先で取り組むべきは、商工会議所が公式サイトで公開しているサンプル問題です。無料で入手でき、本番と同じ形式・同じ操作感を確認できます。3級のサンプルは第2問(1)と第2問(2)に分かれており、それぞれ複数のサンプルが用意されています。サンプル1〜3は2024年4月、サンプル4は2025年4月、サンプル5は2026年4月に追加で公開されたもので、新しいものほど直近の傾向を反映しています。まずサンプル4・サンプル5のような新しい回から解き、形式に慣れてから古い回に戻るのが良いでしょう。公開状況は変わることがあるため、最新の内容は公式サイトで確認してください。

過去問と予想問題・模擬試験の位置づけ

統一試験の問題は現在は持ち帰りができず、日本商工会議所からの過去問の公表もありません。つまり第2問について「本物の過去問を大量に解く」ことはできません。その代わりになるのが、各社が出している予想問題集や模擬試験です。本番と同じ60分で通しで解けるため、第2問に割く時間の感覚をつかむ用途に向いています。過去問の入手可否と代替教材の選び方は日商簿記3級の過去問はない?で詳しく整理しています。

問題集・練習問題・アプリの組み合わせ方

教材の役割分担は次のように考えると迷いません。

教材役割使いどき
公式サンプル問題形式と操作の確認学習の序盤と直前期
市販の問題集テーマ別に例題を反復し、解き方を定着させるテキスト一周後
予想問題集・模擬試験60分の通し演習と時間配分の練習試験2〜3週間前
無料の練習問題サイト特定テーマの追加演習苦手が見つかったとき
学習アプリスキマ時間の反復と復習管理毎日

解説の質は教材選びで最も重視すべき点です。答えの数字だけが載っている問題集ではなく、なぜその勘定にその金額が入るのかを追える解説が付いたものを選んでください。特に第2問は、途中の考え方が分からないと次に活かせません。日商簿記の問題を扱う教材は数多くありますが、解説を読んで納得できるかどうかを、書店で実際に見比べて決めるのが確実です。

そして、どの教材を使うにせよ土台は仕訳です。アプリで毎日少しずつ仕訳を反復しておくと、第2問の問題文を読んだ瞬間に仕訳が浮かぶようになります。

簿記2級の第3問・第4問対策との違い(先を見据える)

3級の学習中から2級を視野に入れている人のために、大問構成の違いにも触れておきます。3級と簿記2級では大問の番号と中身の対応がずれているため、教材や情報を探すときに混同しやすいポイントです。

級による大問構成の違い

第1問第2問第3問第4問・第5問
3級仕訳(45点)帳簿・勘定記入など(20点)決算(35点)なし
2級商業簿記の仕訳(20点)連結会計・株主資本等変動計算書など(20点)財務諸表・精算表(20点)工業簿記(第4問28点・第5問12点)

つまり3級の第3問(決算)に相当するのは2級では第3問、3級の第2問に近い性格を持つのは2級の第2問です。2級の第4問対策は工業簿記の話であり、3級には対応する大問がありません。検索で「第4問対策」の情報にたどり着いたら、それが2級の工業簿記の話ではないかを確認してください。

2級の第3問対策・第4問対策の傾向

2級の第3問対策は、3級の決算をそのまま拡張したものです。財務諸表の作成や精算表が問われ、傾向としては決算整理の項目が増え、税効果会計などが加わります。3級の第3問が解ければ土台はできているので、難しいと言われるほど断絶はありません。2級の第3問の解き方や問題演習も、結局は仕訳の精度に帰着します。

一方、2級で本当に対策が要るのは第2問と第4問です。第2問は連結会計が出ると急に難易度が上がり、第4問・第5問の工業簿記は3級で一切扱わない新分野です。2級の第3問で0点を取る人はほとんどいませんが、工業簿記で崩れる人は珍しくありません。2級で苦戦する分野は3級の延長線上ではなく、まったく新しい分野側にあると覚えておいてください。2級の第2問で問われる連結会計については簿記2級の連結会計とはで解説しています。

とはいえ、2級の心配をするのは3級に受かってからで十分です。3級の第2問で身につけた「取引を仕訳に直し、帳簿へ落とす」という手順は、そのまま2級のすべての大問で使う基礎体力になります。

まとめ — 第2問は「捨てない・粘りすぎない」で12〜16点

簿記3級の第2問は、配点20点・問1と問2の2題構成で、勘定記入(穴埋め)・補助簿・伝票記入・語句記入と出題範囲が広い大問です。何が出るかを読みにくいぶん対策しにくい印象がありますが、出題タイプ自体は限られており、頻出は勘定記入と補助簿に集中しています。

  • 勘定記入は、まず取引を仕訳に書き出し、摘要には相手勘定科目を書く。経過勘定(保険料・受取利息)、法人税等、減価償却、損益と繰越利益剰余金への振替が頻出
  • 補助簿は仕訳から科目を引き当てて選ぶ。商品有高帳は原価で記入し、先入先出法と移動平均法の両方を練習する。固定資産台帳は総勘定元帳との突き合わせで検算できる
  • 語句記入・文章問題はテキストの基礎章がそのまま出るので、確実に拾う
  • 第2問は最後に解き、10〜15分で切り上げる。空欄ごとの部分点が積み上がるので、書けるところから埋めれば12〜16点は現実的
  • 丸ごと捨てると他の大問に87.5%の正答率を要求することになる。捨てるのではなく、粘りすぎないのが正解

そして、勘定記入も補助簿も伝票も、入口はすべて仕訳です。第2問の得点が伸びない原因のほとんどは、第2問特有の形式ではなく仕訳の不安定さにあります。当アプリの仕訳ドリルなら、本番と同じ「勘定科目の選択+金額入力」形式で頻出取引の仕訳を毎日反復でき、間違えた問題は自動で復習に回ります。まずは1日10問から、手を動かすことを習慣にしてください。第2問の問題文を読んだ瞬間に仕訳が浮かぶようになれば、20点はもう怖い大問ではありません。