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買掛金とは?意味を簡単にわかりやすく解説|売掛金・未払金との違い・仕訳・求め方

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買掛金とは、本業の商品や原材料を掛け(後払い)で仕入れたときの、まだ支払っていない代金を表す負債の勘定科目です。読み方・英語表記から、売掛金・未払金・支払手形との違い、仕訳例、支払サイトと60日ルール、貸借対照表での区分、求め方と消込、残高がマイナスになる理由、個人事業主の確定申告まで、簿記初心者にもわかりやすく解説します。
目次

買掛金とは?意味を簡単にわかりやすく解説

買掛金とは、商品や原材料を掛け(代金を後で払う約束)で仕入れたときの、まだ支払っていない代金を表す勘定科目です。簡単にいえば「仕入のツケ」。飲食店でおなじみの「ツケで飲んで月末にまとめて精算する」やり方を、会社どうしの仕入で行っていると考えてください。この記事では、意味(いみ)と読み方から売掛金・未払金との違い、仕訳、支払サイト、貸借対照表での区分、残高の管理、個人事業主の確定申告まで、簿記の初心者にもわかりやすく順に説明します。

買掛金の意味 — 仕入代金の「支払う義務」

会社どうしの取引では、商品を受け取るたびに現金を渡すことはあまりありません。「今月に納品された分を、翌月末にまとめて振り込む」という後払いの契約が普通です。この後払いの約束のことを掛け取引といい、掛けで仕入れてまだ払っていない代金が買掛金です。

買掛金の内容を一言で説明すると、仕入先に対する支払義務。会計の世界ではこれを債務と呼びます。ツケが積み上がっている状態そのものが帳簿に金額として載っている、という意味で理解すると腑に落ちるはずです。まだ払っていないという一点だけが本質で、支払いが済んだ瞬間に買掛金は帳簿から消えます。

具体例と使い方 — 4月に仕入れて5月に払う

例えば、雑貨店を営むあなたの店が、4月中に問屋のA社から商品を30万円分仕入れ、代金は5月末に振り込む契約だったとします。4月の時点で商品は手元にあり、支払いはまだ。この30万円が4月の帳簿に買掛金として記録されます。相手は問屋のA社、つまり仕入先が買掛金の相手先です。

実務での使い方は「今月末に買掛金を決済する」「仕入先ごとの買掛金の残高を確認する」といった形。例文としては「買掛金が膨らんでいるので支払計画を見直す」のように使います。なお、口語では売掛・買掛と略されます。買掛とは買掛金のこと、売掛とは売掛金のことで、「今月の売掛 買掛を締める」のように対で使われます。

読み方と英語表記

買掛金の読み方は「かいかけきん」です。「ばいかけきん」とは読みません。検索では買掛金 よみかたとひらがなで調べられることも多い言葉ですが、正しい読みは一つだけです。ひらがなから変換できないときは、買(か)い・掛(か)け・金(きん)と区切って入力すると出ます。

買掛金を英語で表すと accounts payable(略称 AP)で、会計の英語では trade payables(仕入債務)と書かれることもあります。売掛金の accounts receivable(AR)と対になる用語です。海外子会社の決算書や英文会計を読むときは、負債の部の先頭付近にこの accounts payable が並びます。

買掛金は「負債」— 簿記5要素での位置と、貸方に書く理由

簿記では、すべての勘定科目を資産・負債・純資産・収益・費用という5要素のどれかに分類します。買掛金がどの項目にあたるかを最初に押さえておくと、仕訳で迷わなくなります。

5要素のうち「負債」に属する

買掛金は負債です。負債とは「将来お金を支払う義務」を指し、買掛金はまさに仕入代金を後で払う義務そのものだからです。同じ負債の仲間には、借入金・支払手形・未払金・預り金などが並びます。

ここで大事なのは、買掛金が「持っているお金」ではなく「これから出ていくお金」だという考え方です。帳簿に買掛金30万円と載っているとき、金庫に30万円があるわけではありません。むしろ将来30万円が減る予定がある、という意味になります。5要素の分類そのものに自信がない場合は、簿記とはの記事で全体像を確認してから戻ってくると理解が早いです。

なぜ貸方(右)に書くのか — 左右の判断ルール

仕訳で買掛金を借方(左)と貸方(右)のどっちに書くかは、次のルールだけで決まります。

  • 負債が増えたら貸方(右)
  • 負債が減ったら借方(左)

買掛金がなぜ貸方なのかといえば、掛けで仕入れた時点では支払義務が「増える」からです。逆に代金を払えば義務は消えるので、そのときは借方に買掛金を書きます。5要素の定位置は、資産と費用が左、負債・純資産・収益が右と決まっており(複式簿記の大原則です)、買掛金は右側グループの住人だと覚えてしまうのが早道です。

いつ買掛金を立てるのか — 認識のタイミング

買掛金を計上するタイミングは、商品を受け取ったとき(検収したとき)です。代金を支払ったときでも、請求書が届いたときでもありません。取引が発生した事実にもとづいて記録するこの考え方を発生主義といいます。

実務では、納品書の日付を基準に「その日に買掛金を立てる」と社内ルールを決めておくのが一般的です。認識が1日ずれるだけなら大した問題になりませんが、月末や決算日をまたいでずれると、その月の仕入と負債の金額がまるごと動いてしまいます。月次決算を締める前に、届いている納品書がすべて計上されているかを確認する工程を入れておくと安全です。

買掛金と売掛金の違い — 同じ取引の裏と表

買掛金と売掛金の違いは、初心者がいちばん混乱するポイントであり、同時にいちばん簡単に整理できるポイントでもあります。結論からいえば、1つの掛け取引を、買う側から見たのが買掛金、売る側から見たのが売掛金。まったく別の取引ではなく、同じ取引の裏と表です。

買う側と売る側で科目が入れ替わる

あなたの会社がA社から商品を30万円分掛けで仕入れたとします。このときあなたの帳簿には買掛金30万円(負債)が載り、商品が売れたA社の帳簿には売掛金30万円(資産)が載ります。金額はぴったり同じで、立場だけが逆。この対応関係が、売掛買掛の違いの本質です。

同じ掛け取引を、買う側は買掛金(負債・貸方)、売る側は売掛金(資産・借方)として記録する対応関係 取引:自社がA社から商品300,000円を掛けで仕入れた 自社の帳簿(買った側) A社の帳簿(売った側) 借方 貸方 借方 貸方 仕入 300,000 買掛金 300,000 負債 売掛金 300,000 資産 売上 300,000 1つの取引・同じ金額を、立場だけ逆に記録する
同じ掛け取引でも、買った側の帳簿では貸方の買掛金(負債)、売った側の帳簿では借方の売掛金(資産)になる
比較項目買掛金売掛金
立場買う側(仕入先へ支払う)売る側(得意先から回収する)
5要素の区分負債(債務)資産(債権)
貸借対照表の位置右側(貸方)左側(借方)
増えたときの記入貸方借方
決済のかたち支払い(お金が出ていく)回収(お金が入ってくる)
ペアになる科目仕入売上

売掛金とは何かをきちんと知りたい場合は、売掛金とはの記事で回収サイトや貸倒れまで詳しく扱っています。売れた側の視点で読むと、買掛金の理解も立体的になります。

対義語は売掛金 — 債権と債務の関係で覚える

買掛金の対義語(反対の科目)は売掛金です。会計用語では、売掛金のような「受け取る権利」を債権、買掛金のような「支払う義務」を債務と呼びます。買掛金と債務の違いを聞かれたら、債務という大きなくくりの中に買掛金が含まれるという包含関係で答えるのが正確です。債務には買掛金のほか、支払手形・借入金・未払金なども含まれます。

債権との違いも同じ構図で、債権側には売掛金・受取手形・未収金・貸付金などが並びます。なお、買掛金と支払手形をまとめて仕入債務、売掛金と受取手形をまとめて売上債権(売掛債権)と呼ぶ言い方も、決算分析の場面でよく登場します。

覚え方 — 主語がどちらかを最初に決める

試験でも実務でも、取り違えが起きるのは主語を確認しないまま仕訳を切ったときです。問題文や伝票を見たら、まず「これは仕入れた側の話か、売った側の話か」を確定させてください。仕入れた側なら買掛金、売った側なら売掛金。この一手間だけで、売掛買掛の取り違えはほぼ防げます。

買掛金と未払金 違いを決めるのは「本業の仕入かどうか」

後払いなら何でも買掛金になるわけではありません。同じ「まだ払っていない代金」でも、買掛金と未払金は明確に使い分けます。基準はただ一つ、その支払いが本業の仕入かどうかです。

買掛金になるもの・含まれるものの範囲

買掛金に含まれるものは、販売する商品や、製品を作るための原材料など、本業で繰り返し仕入れるものの代金だけです。会計ではこれを営業取引と呼びます。買掛金に何が含まれるか判断に迷ったら「これは売上を作るために仕入れたものか?」と自問してください。答えがイエスなら買掛金、ノーなら未払金です。

買掛金を使わない典型例が、パソコンや車、機械などの固定資産です。営業用の設備を後払いやローンで買っても、それは商品の仕入ではないので未払金(支払いが1年を超えて続くなら長期未払金)を使います。有価証券を購入して受渡しが翌月になる場合も未払金です。外注デザイナーやフリーランスへの報酬も、本業の商品仕入でなければ未払金で処理します。

未払費用との違い — 時の経過で発生する費用

もう一つ紛らわしいのが未払費用です。家賃・保険料・利息・給料のように、契約にもとづいて継続的にサービスの提供を受けるものの未払い分には、未払金でも買掛金でもなく未払費用を使います。「モノを受け取ったか」ではなく「時間が経過した分だけ発生するか」が分かれ目です。

買掛金
本業の商品・原材料の仕入代金の未払い。例:小売店の商品仕入、製造業の原材料。
未払金
本業の仕入以外の、モノやサービスの購入代金の未払い。例:固定資産、設備、有価証券、外注報酬。
未払費用
継続的な契約で時の経過とともに発生する費用の未払い分。例:家賃、保険料、支払利息。
後払いの代金を、本業の仕入か・時の経過で発生する費用かの2つの質問で買掛金・未払費用・未払金に振り分ける判定フロー 後払いの代金は、2つの質問で科目が決まる 本業の商品・原材料の仕入か? はい 買掛金 商品・原材料の仕入 いいえ 時の経過で発生する費用か? はい 未払費用 家賃・保険料・利息 いいえ どちらにも当てはまらない 未払金 固定資産・外注費
後払いの代金は「本業の仕入か」「時の経過で発生する費用か」の順に判定すれば、買掛金・未払費用・未払金を取り違えない

なお、本業周辺の細かい仕入債務を通常の買掛金と分けて管理したい場合に、その他買掛金という補助的な科目を設ける会社もあります。会計ソフトの初期設定に入っていることもありますが、必須の科目ではありません。使うなら「何をここに入れるか」を社内で文書化しておかないと、担当者が替わった時点で運用が崩れます。

仕入・経費・費用との違い — 同じ仕訳の左右に並ぶ別物

買掛金と仕入の違いは、簿記を学び始めた人がよくつまずくところです。仕入は費用(損益計算書に載る、使ったお金)、買掛金は負債(貸借対照表に載る、まだ払っていない状態)。この2つは対立する概念ではなく、1本の仕訳の借方と貸方に同時に登場する別の科目です。掛けで仕入れた瞬間に、費用としての仕入と、負債としての買掛金が同時に生まれます。

買掛金と経費の違いも同じ構図です。経費になるのは仕入や費用を計上した時点であって、買掛金を支払った時点ではありません。「買掛金を払ったから経費が増える」という理解は誤りで、経費はすでに仕入の側で計上済み。支払いは単に負債と現預金が同時に減るだけの取引です。ここを取り違えると、経費の二重計上という決算の重大なミスにつながります。

手形・小切手・立替金 — 紛らわしい勘定科目との違い

買掛金の周辺には、名前や役割が似ていて取り違えやすい科目がいくつもあります。決算書を読むときにも試験で解くときにも効くので、まとめて整理しておきましょう。

買掛金と支払手形の違い

掛け仕入の代金を約束手形で支払うことにすると、科目は買掛金から支払手形に振り替わります。どちらも仕入債務ですが、買掛金が請求書と契約にもとづく支払義務であるのに対し、支払手形は支払期日と金額が証券の上で確定した、法律上の強い債務です。期日に決済できなければ不渡りとなり、6ヶ月以内に2回起こすと銀行取引停止処分を受けます。

ただし紙の手形は終わりに向かっています。政府の成長戦略と全国銀行協会の自主行動計画により、2026年度末(2027年3月末)までに全国の手形交換所での手形・小切手の交換枚数をゼロにする目標が掲げられており、さらに2026年1月1日施行の取適法(中小受託取引適正化法。旧下請法)では対象取引での手形払いが禁止されました。実務は電子記録債務(でんさい)や振込への切り替えが進んでいます。自社の対応期限は取引銀行や公式サイトで最新情報を確認してください。

小切手との違い

小切手との違いは、待ち時間があるかどうかです。買掛金や手形が「期日まで待つ」性質の債務であるのに対し、小切手は受け取った側が銀行に持ち込めばすぐ換金できる支払手段。買掛金の支払いに小切手を振り出したときは、当座預金から支払ったものとして「(借方)買掛金/(貸方)当座預金」と記帳します。小切手を渡した時点で買掛金は消え、当座預金が減るわけです。

使い分けの早見表

買掛金と混同されやすい科目を、性質(資産か負債か)とあわせて一覧にします。

未収金(未収入金)
本業以外のものを売った代金をまだ受け取っていないときの資産。買掛金とは向きが正反対で、未収金との違いは「もらう側か払う側か」。
立替金
取引先や従業員の代わりに一時的に立替払いしたお金。あとで返してもらえる資産。立替金との違いは、買掛金が自分の債務であるのに対し、立替金は他人の負担分を一時的に肩代わりしている点。
預り金
源泉所得税や社会保険料の従業員負担分など、他人のお金を一時的に預かっているときの負債。同じ負債でも、預り金は「預かっているだけで自分の買い物ではない」ところが買掛金との違い。
手付金・前渡金(前払金)
代金の一部または全部を先に払ったときの資産。後払いの買掛金とは正反対の関係。
保証金・敷金
契約の保証として差し入れるお金。目的が終われば返ってくる資産で、支払義務である買掛金とは性質が異なる。
仕掛品
製造の途中にある製品を表す資産。「掛」の字が入るだけで買掛金とは無関係、負債ですらない。仕掛品との違いを問われたら「作りかけの在庫」と答えれば十分。

買掛金の仕訳 — 発生から支払い・返品まで

ここからは実際の仕訳を見ていきます。商品売買を仕入・売上・繰越商品の3つの勘定科目で記帳する三分法(3分法)を前提にします。簿記3級で扱うのもこの方法です。

発生と支払いの基本仕訳

取引借方貸方
4月10日 商品300,000円を掛けで仕入れた仕入 300,000買掛金 300,000
5月31日 買掛金を普通預金から支払った買掛金 300,000普通預金 300,000

仕入れた時点では負債が増えるので買掛金は貸方、支払った時点では負債が減るので借方。払ったら借方に買掛金と口に出して覚えてしまうのが手っ取り早いです。支払いの相手科目は決済手段によって現金・普通預金・当座預金などに変わりますが、借方の買掛金は変わりません。

支払いの仕訳に費用が登場しない点にも注目してください。費用の計上はすでに仕入の側で終わっているため、支払時は負債と資産が同時に減るだけです。仕訳に費用が出てこないのは正常な状態であり、ここで再び仕入を計上してしまうと二重計上になります。

返品・値引きの仕訳(仕入戻し)

仕入れた商品を品違いや不良で返品することを仕入戻し(戻り)といいます。買掛金の戻し仕訳は、発生時とちょうど逆向きです。

取引借方貸方
4月15日 掛けで仕入れた商品20,000円を返品した買掛金 20,000仕入 20,000
4月20日 品質不良により10,000円の値引きを受けた買掛金 10,000仕入 10,000
支払済みの代金が現金で返金された現金 20,000仕入 20,000

返品も値引きも、まだ払っていない代金が減るので買掛金を借方に持ってきます。返品分と値引き分は仕入戻し高・仕入値引高として当期の仕入から差し引かれ、結果として売上原価が小さくなります。すでに支払い済みだった場合は買掛金が残っていないため、返金を受けた現金や預金を借方に置きます。

クレジットカードで仕入れたとき

クレジットカードで仕入代金を決済した場合、厳密にはカード会社に対する債務なので未払金で処理するのが原則です。ただし本業の仕入に限っては買掛金でまとめる実務も広く行われています。どちらが正しいというより、社内で科目を統一し、期をまたいでも同じ扱いを続けることのほうが重要です。カード会社に払う手数料が発生する場合は、支払手数料として別に計上します。

買掛金はいつ払う? — 締め日・支払サイトと60日ルール

買掛金の支払いとは、掛けで仕入れた代金を約束の期日に精算することです。いつ払うか、いつまでに払わなければならないかは、契約で決めた締め日と支払サイト(締め日から支払日までの期間)で決まります。

締め日と支払サイトの読み方

実務でもっとも多いのは「月末締め翌月末払い」です。4月1日から4月30日までに納品された分を締めて、翌月の5月31日にまとめて振り込みます。「20日締め翌月10日払い」のように、締め日が月末でないケースもあります。

支払条件4月5日に仕入れた分の支払日実質の猶予期間
月末締め翌月末払い(30日サイト)5月31日約56日
月末締め翌々月末払い(60日サイト)6月30日約86日
20日締め翌月10日払い5月10日約35日

同じ「翌月末払い」でも、月初に仕入れたか月末に仕入れたかで猶予の長さは1ヶ月近く変わります。資金繰り表を作るときは、締め日ではなく実際に振込が起きる日で並べてください。

支払期限は60日以内 — 取適法のルール

支払期限には法律の縛りがあります。2026年1月1日に施行された取適法(中小受託取引適正化法。旧下請法)の対象取引では、給付を受け取った日から60日以内に支払期日を定めなければなりません。さらに同法では対象取引での手形払いが禁止され、支払期日までに現金(銀行振込など)で支払う必要があります。

支払サイトの延伸(先延ばし)を一方的に通告するのは、法令違反になるだけでなく仕入先の信用を失います。逆に資金に余裕があるなら、サイトの短縮を提案して仕入価格の交渉材料にする手もあります。なお、買掛金は数週間から数ヶ月で決済される短期の債務であり、1年以上も未払いのまま残っているのは異常事態です。回収を諦められている、あるいは計上ミスが放置されていると考えて調査してください。自社が対象取引にあたるかどうかの判定は取引規模や委託内容によるため、公正取引委員会の公式サイトで最新の要件を確認するのが確実です。

4月5日に仕入れた代金を月末で締めて5月31日に支払うまでの約56日と、取適法が定める受取から60日の上限 月末締め翌月末払いの時間の流れ 4月5日 4月30日 5月31日 掛けで仕入 月末で締める 代金を支払う 支払まで約56日 取適法の支払期日の上限 60日
月初に仕入れた分ほど猶予は長くなる。取適法の対象取引では、給付を受け取った日から60日以内に支払期日を定める必要がある

利息はつく? 振込手数料はどちらが負担する?

買掛金に利息(利子)はつきません。借入金と違って利子を払わずに支払いを先送りできることが、掛け取引の最大の利点です。ただし支払いが遅れた場合は、契約や商法にもとづいて遅延損害金を請求されることがあります。

振込手数料をどちらが負担するかは契約次第です。自社負担で振り込むなら「(借方)買掛金 300,000・支払手数料 440/(貸方)普通預金 300,440」、仕入先負担なら手数料分を差し引いた金額を振り込み、差額も買掛金の減少として処理します。手数料の負担者を請求書のたびに確認していると経理が回らないので、取引開始時に決めて台帳に記録しておきましょう。

掛け取引のメリットとデメリット・リスク

そもそもなぜ、現金でその場で払わずに買掛金という面倒な仕組みを使うのでしょうか。理由がわかると、残高を見るときの目線も変わります。

メリット — 無利子で資金を回せる

最大のメリットは、仕入から支払いまでの期間、手元の資金を自由に使えることです。しかも利息はかかりません。銀行から短期の運転資金を借りれば利子を払う必要がありますが、掛け取引ならその負担なしに同じ効果が得られます。実質的な無利子の資金調達といっていい仕組みです。

もう一つのメリットは事務の効率化です。取引のたびに現金を数えて領収書を交わす代わりに、1ヶ月分をまとめて1回振り込めば済みます。取引が多いほどメリットは大きく、仕入回数の多い小売や飲食では掛け取引なしに実務が回りません。

デメリットとリスク — 支払いは待ってくれない

デメリットは、支払義務が確実に積み上がることです。売上が落ちた月でも、先月仕入れた分の支払期日は容赦なくやってきます。赤字の月が続けば手元資金は減る一方で、それでも買掛金の支払いは止められません。利益が出ていても現金が尽きて倒産する黒字倒産の典型的な引き金が、この買掛金の支払いです

仕入先の側から見ると、掛けで売ること自体が代金を回収できないリスクを負う行為です。だからこそ新規取引では与信審査が行われ、実績のない相手には現金取引や前払いを求められます。買う側にとっては、期日どおりに払い続けた実績がそのまま信用になり、サイトの延長や仕入枠の拡大につながっていきます。

リスクを抑える3つの実務

  1. 支払予定表を月次で作る — 仕入先ごとの支払日と金額を並べ、月末の残高が資金不足にならないか先に確認する。
  2. 入金と支払いのサイトを比べる売掛金の回収が支払いより遅いと、その差の分だけ運転資金が必要になる。回収60日・支払30日という条件は資金繰りを確実に圧迫する。
  3. 期日を守れないと分かった時点で相談する — 黙って遅れるのが最悪の対応。事前に連絡して支払計画を提示すれば、取引の継続につながることが多い。

貸借対照表での買掛金 — 流動負債の区分と決算書の見方

決算書のどこに買掛金が載るのかを押さえておくと、自社の決算書も取引先の決算書も読めるようになります。

なぜ流動負債に区分されるのか

貸借対照表では、買掛金は負債の部の流動負債の先頭付近に表示されます。負債を流動と固定に分ける基準は2つあり、この使い分けが試験でも問われます。

正常営業循環基準
仕入→販売→回収という本業のサイクルの中で生じる項目は、期間にかかわらずすべて流動に区分する。買掛金・売掛金・棚卸資産などが対象。
1年基準(ワンイヤー・ルール)
営業サイクルの外にある項目は、決算日の翌日から1年以内に決済されるかどうかで流動と固定を分ける。借入金や貸付金が代表例で、1年を超えるものは長期借入金として固定負債へ。

買掛金には前者の正常営業循環基準が優先して適用されます。そのため、仮に支払いが1年以上先になっても買掛金を固定負債に振り替えることはしません。長期借入金と扱いが違うのはこのためです。貸借対照表全体の読み方は貸借対照表の読み方の記事で詳しく解説しています。

損益と利益にどう影響するか

買掛金の残高が増えても減っても、その年の損益(利益)は変わりません。損益に影響するのは仕入(売上原価)の側であり、買掛金は「その支払いがまだ済んでいない」という状態を示しているだけだからです。ここは決算書を読むときの重要な視点で、買掛金が増えているのに利益が動いていない決算は、それ自体は何も異常ではありません

決算書をチェックするときに見るべきは、買掛金残高と仕入高のバランスです。仕入が横ばいなのに買掛金だけが膨らんでいれば、支払いが滞っている可能性を疑います。逆に買掛金が急減していれば、仕入の縮小か、現金決済への切り替えが起きたと読めます。

年度またぎ・年またぎの処理

決算日や年末をまたいで残っている買掛金は、そのまま翌期に繰り越します。年またぎだからといって特別な仕訳は必要なく、決算時点で残る残高を貸借対照表に載せるだけです。翌期に支払ったときは、通常どおり「(借方)買掛金/(貸方)普通預金」と記帳します。

年をまたぐ取引で注意すべきなのは、計上時期のずれです。3月決算の会社が3月中に商品を受け取り、請求書が4月に届いたとします。この場合でも、商品を受け取った当期(3月)の仕入・買掛金として計上します。請求書の到着日で判断すると、当期の費用が翌期に飛んで利益が過大になります。決算月には、届いている納品書と未着の請求書を突き合わせる作業を必ず入れてください。

買掛金の求め方と残高管理(消込)

買掛金は「立てて終わり」ではなく、残高が正しいかを継続的に確かめる科目です。求め方の式と、残高が合わないときの対処を押さえておきましょう。

買掛金 求め方の基本式と算出方法

買掛金の求め方はシンプルで、次の式で算出します。

期末残高 = 期首残高 + 当期の掛け仕入高 − 当期の支払高 − 返品・値引き高

例えば期首残高が80万円、当期の掛け仕入が500万円、支払いが460万円、返品が10万円なら、期末残高は 80 + 500 − 460 − 10 = 110万円です。簿記の試験では、この式のどれか1つを空欄にして逆算させる問題が定番。支払高を問われたら「期首 + 仕入 − 期末 − 返品」と組み替えれば求められます。算出方法さえ頭に入っていれば、どこが空欄でも同じ式で解けます。

仕入先ごとの内訳は買掛金元帳という補助簿で管理し、その合計が総勘定元帳の買掛金残高と一致することを月次で確認します。この2つが一致しない状態を放置すると、どの仕入先にいくら払うべきかが分からなくなります。

消込 — 支払いと請求を1件ずつ対応づける

支払いのたびに「どの請求に対する支払いか」を1件ずつ突き合わせ、対応した分の残高を消していく作業を消込といいます。合計金額だけを見て残高を減らしていると、たまたま金額が一致した別の請求と相殺されてしまい、あとから追跡できなくなります。請求書番号や納品日を紐づけて消すのが正しいやり方です。

残高が合わないときのチェック手順

買掛金元帳と仕入先の請求額が合わないときは、次の順で差額の原因を特定します。

  1. 差額の金額そのものを手がかりにする — 差額が1件の請求額とぴったり一致するなら計上漏れか二重計上、端数なら振込手数料の負担分、桁がずれていれば入力ミスの可能性が高い。
  2. 締め日の違いを確認する — 自社は月末締め、仕入先は20日締めというケースでは、期間のずれだけで差額が出る。日付でフィルタして期間を揃えてから比較する。
  3. 返品・値引きの反映漏れを見る — 返品したのに買掛金を減らしていない、あるいは仕入先側が値引きを反映していないケースは非常に多い。
  4. 残高確認書を依頼する — 決算期には仕入先に残高確認を依頼し、先方の認識と突き合わせる。ここで差額が判明したら、原因に応じた修正仕訳を切る。

合わせ方のコツは、差額を無理やり調整仕訳で埋めないことです。原因不明のまま雑損失などで消すと、翌月も同じ差額が発生し続けます。月次で照合するルールを決めておけば、差額が小さいうちに原因を特定できます。

買掛金がマイナスになる理由と、残高の目安

残高を眺めていて「これは正常なのか」と不安になる場面が2つあります。マイナスになったときと、金額が同業と比べて多い・少ないと感じたときです。

買掛金のマイナスとは — 本来ありえない状態

買掛金がマイナスになるのは、本来ありえない異常な状態です。負債である買掛金は「これから払う金額」なので、0円を下回る意味がありません。それでも帳簿上マイナスになるのは、次のようなエラーが原因です。

  • 同じ支払いを二重に計上した
  • 買掛金を計上する前に代金を支払ってしまった(前払いの状態)
  • 返品の仕訳を2回切ってしまった
  • 仕入の計上漏れがあり、支払いだけが記録されている

マイナスのまま決算を組んではいけません。実態が代金の前払いであれば前渡金(前払金)という資産科目へ振り替え、単純な処理エラーであれば消込からやり直します。会計ソフトによっては貸借対照表でマイナスの負債がそのまま表示されてしまうため、月次の残高チェックで必ず拾ってください。

買掛金が多い・少ない・ゼロ — 何を目安に見るか

買掛金が多いこと自体は問題ではありません。仕入規模が大きければ残高も比例して増えますし、無利子で資金を使える期間が長いというメリットの側面もあります。問題なのは、支払いを遅らせた結果として積み上がっている場合です。

正常かどうかの目安には、次の指標を使います。

買掛金回転期間(日) = 買掛金残高 ÷ (年間仕入高 ÷ 365日)

年間仕入高が3億円で買掛金残高が5,000万円なら、5,000万 ÷ (3億 ÷ 365) ≒ 61日。これが契約上の支払サイト(例:翌月末払いなら実質40〜60日程度)と大きく食い違っていれば、支払遅延か計上漏れを疑います。判断は必ず同業種の水準と比べてください。業種によって仕入構造がまったく違うため、全業種平均との比較にはほとんど意味がありません。

逆に買掛金が少ない、あるいは残高なし(ゼロ)の会社もあります。これは異常ではなく、現金仕入が中心か、そもそも仕入のない業態というだけです。飲食店が現金で食材を仕入れていれば買掛金は立ちませんし、士業やコンサルティングのように仕入という概念がない事業では買掛金は登場しません。

買掛金が減る理由

残高が減るのは、当期の支払いが仕入を上回ったときです。減る理由としては、仕入そのものの縮小、支払サイトの短縮、現金決済への切り替え、掛け取引から手形・電子記録債務への振り替えなどがあります。売上が落ちて仕入を絞った結果として減っているのか、資金に余裕ができて早期に払っているのかで意味は正反対なので、必ず仕入高の推移とセットで見てください。

個人事業主の買掛金 — 確定申告と青色申告での扱い

個人事業主やフリーランスでも、仕入を掛けで行っているなら買掛金の計上は必要です。「支払ったときに経費にすればいい」という処理は、青色申告では通りません。

年末に残った買掛金は貸借対照表に載せる

青色申告で55万円・65万円の特別控除を受けるには、複式簿記による記帳と貸借対照表の提出が条件です(65万円控除には、さらに e-Tax による申告か優良な電子帳簿保存が必要)。12月31日時点で残っている買掛金は、この貸借対照表の負債の部に記載します。

年をまたぐ仕入の扱いも重要です。12月に商品を受け取り、代金の支払いが翌年1月になる場合でも、その仕入は受け取った年(12月)の必要経費になります。これは節税テクニックではなく発生主義の原則ですが、計上を忘れるとその年の経費が過少になり、結果として税金を多く払うことになります。実質的には正しく計上すること自体が節税につながる、と考えて構いません。

逆方向の勘違いも多いので念を押します。買掛金の支払いそのものは経費ではありません。経費になるのは仕入を計上した時点であり、翌年に支払った金額をもう一度経費に入れると二重計上です。

消費税と損金の扱い

消費税の仕入税額控除は、原則として商品を仕入れた時点で認識します。税抜き経理なら、仕入時に本体価格を仕入、消費税分を仮払消費税として分けて記帳し、買掛金には税込みの金額が載ります。買掛金の決済そのものには消費税がかかりません。これを非課税取引と説明されることがありますが、正確には課税の対象外(不課税)で、消費税法上の非課税取引(土地の譲渡や利子など)とは別の概念です。

法人税・所得税の損金(必要経費)についても同じで、仕入・費用が発生した時点で認識し、買掛金を支払った時点ではありません。支払時に損金が発生すると考えると、期末をまたぐたびに所得がずれていきます。

支払いの免除を受けたとき・事業主が亡くなったとき

仕入先から買掛金の支払いを免除してもらった場合は、免除された金額を債務免除益という収益として計上します。払わずに済んだ分だけ利益が増えるので、課税の対象になる点に注意してください。

また、事業主が亡くなった場合、買掛金などの事業上の債務は相続の対象になります。相続人が事業を引き継いで債務も承継するのか、相続放棄を含めて清算するのかは、資産と債務の全体像を見て判断する必要があります。免除も相続も個別性が高い論点なので、最終的な処理は税理士や所轄の税務署に確認してください。

業種別の扱いと、会計ソフトへの入力

買掛金は業種によって出番の多さも科目名も変わります。自分の業種でどう扱うかを知っておくと、実務での迷いが減ります。

建設業では「工事未払金」を使う

建設業の会計では、工事の材料費や外注費の未払い分に工事未払金という専用の科目を使い、買掛金は原則として使いません。建設業法にもとづく建設業会計では、売上を完成工事高、原価を完成工事原価と呼ぶなど科目体系そのものが異なるためです。建設業を営む会社が兼業で商品販売もしている場合に限り、その部分に買掛金を併用します。

製造業では原材料の掛け仕入が買掛金になります。製造途中の仕掛品(資産)とは別物である点は前述のとおりです。小売・卸売・飲食は買掛金がもっとも活躍する業種で、仕入のないサービス業・士業ではほぼ登場しません。

弥生会計・freee などへの入力

会計ソフトへの入力は、仕訳の考え方さえ分かっていれば難しくありません。弥生会計・やよいの青色申告なら、仕入時に「仕入/買掛金」、支払時に「買掛金/普通預金」と入力するだけです。ポイントは、買掛金に取引先ごとの補助科目を設定しておくこと。補助科目を分けておけば、仕入先別の残高がソフト側で自動集計され、消込も残高確認も一気に楽になります。

freee やマネーフォワード クラウドでも考え方は同じで、取引先を登録したうえで請求書データを取り込めば、計上から支払管理まで自動化できます。銀行口座を連携していると、振込明細から自動で「買掛金/普通預金」の仕訳が提案されるので、消込の手間はさらに減ります。

経理の月次ルーティンに組み込む

ソフトを入れただけでは残高は合いません。経理の月次作業として、次の3つを固定の手順にしてください。

  1. 締め日の翌営業日に、届いた請求書と買掛金元帳を照合する
  2. 差額があればその月のうちに原因を特定し、修正仕訳を切る
  3. 支払予定表を作り、資金残高と照らして振込日を確定する

この3つを回していれば、決算期に慌てて残高を追いかける必要がなくなります。

「6掛け」「掛け金」— 買掛金と紛らわしい掛け言葉

「買掛金とは」と一緒に検索される言葉には、勘定科目の買掛金とはまったく別物の「掛け」用語が数多く混ざっています。混同したまま調べ続けると遠回りになるので、まとめて整理しておきます。

6掛け・7掛けの意味と金額の早見表

商売の現場で使う「◯掛け」は、定価に対する掛け率のことです。6掛けなら定価の60%、7掛けなら70%。仕入価格の交渉で使う商習慣の言葉で、買掛金という勘定科目とは関係ありません。「半」がつく6掛半は65%を意味します。定価10,000円の商品がいくらになるか、金額の早見表で確認してください。

掛け率意味計算価格(定価10,000円)
5掛け定価の50%10,000円 × 0.505,000円
6掛け定価の60%10,000円 × 0.606,000円
6掛半定価の65%10,000円 × 0.656,500円
7掛け定価の70%10,000円 × 0.707,000円
8掛け定価の80%10,000円 × 0.808,000円

売値から考えるときは逆算します。7掛けで仕入れた商品を定価10,000円で売るなら、仕入価格は7,000円、粗利は3,000円です。売る側から見れば掛け率が高いほど利益が薄く、買う側から見れば掛け率が低いほど有利。掛け率の交渉と掛け取引(買掛金)の話が同じ商談の中で出てくるため混ざりやすいのですが、前者は価格の話、後者は支払時期の話です。

「掛金」がつく用語の整理

保険・共済・年金の掛け金(掛金)は「積み立てて払い込むお金」で、支払義務である買掛金とは性質が異なります。検索で紛れ込みやすい用語を整理します。

保険・共済の掛け金
毎月払い込むお金。金額を変えたいとき(掛け金の替え・変更)は、契約変更の手続きを各社の窓口やマイページで申請します。
労金掛金
労働金庫の共済や財形貯蓄で積み立てる掛金。掛金変更は勤務先経由か窓口で手続きします。「ゆうきん」と表記されることもありますが、労働金庫の通称は「ろうきん」です。
選択掛金
選択掛金とは、企業型確定拠出年金(企業型DC)で給与の一部を自分の判断で上乗せ拠出できる、選択制の掛金のことです。
累計払込掛金
保険や共済にこれまで払い込んだ掛金の合計額。解約返戻金と比べて損得を判断する際に使う数字。
累計買付金額
累計買付金額とは、証券口座やポイント投資の画面に出る「これまでに買い付けた金額の合計」のこと。買掛金とは無関係の用語です。
荷掛金
荷掛金とは一般的な会計用語ではなく、「買掛金」の誤変換とみられる表記です。意味としては買掛金を指していると考えて差し支えありません。
9金の価格
ジュエリーの9金(9K)は金の含有率37.5%の合金で、価格は金相場に連動します。こちらも会計とは無関係の言葉。

簿記3級での買掛金 — 出題パターンと解き方

簿記3級で買掛金は、第1問の仕訳問題に最も高い頻度で登場する勘定科目の一つです。出題のパターンは限られているので、型で覚えてしまえば確実な得点源になります。

第1問で問われる4つの型

  • 掛け仕入の発生 —(借方)仕入/(貸方)買掛金
  • 買掛金の支払い —(借方)買掛金/(貸方)現金・普通預金・当座預金
  • 仕入戻し(返品)・値引き —(借方)買掛金/(貸方)仕入
  • 手形・電子記録債務への振り替え —(借方)買掛金/(貸方)支払手形・電子記録債務

覚え方は「仕入れたら貸方に買掛金、払ったら借方に買掛金」。この行き来が手に馴染めば、あとは相手科目を問題文から拾うだけです。仕訳問題全体の解き方は簿記3級の仕訳の記事で体系的に扱っています。

間違えやすいポイント

失点の原因はほぼ2つに絞られます。1つは売掛金との取り違え。問題文の主語が「仕入れた側」なのか「販売した側」なのかを最初に確認する癖をつけてください。もう1つは返品時の貸借の向きで、発生時の逆になることを毎回確かめれば防げます。

また、引取運賃(仕入諸掛)を自社が負担する場合は仕入に含めるのに対し、仕入先が負担すべき分を立て替えたなら立替金または買掛金の減額で処理します。この論点は第1問で狙われやすいので、負担者を必ず読み取ってください。

第2問・第3問での出方

第2問では、仕入先ごとの増減を記録する買掛金元帳(補助簿)への記入や、勘定への転記が出題されます。ここで使う知識は本記事で扱った基本式(期首残高 + 掛け仕入 − 支払い − 返品 = 期末残高)だけで、新しく覚えることはありません。第3問の決算問題では、貸借対照表の流動負債に買掛金を正しく表示できるかが問われます。出題形式ごとの対策は簿記3級の問題の記事にまとめています。

まとめ — 買掛金とは「本業の仕入の後払い」

最後に、この記事の要点を整理します。

  • 買掛金とは、本業の商品・原材料を掛けで仕入れたときの未払い代金を表す負債の勘定科目
  • 対義語は売掛金(資産)。同じ取引を買う側から見るか売る側から見るかの違いにすぎない
  • 本業の仕入以外の後払いは未払金、時の経過で発生する費用の未払いは未払費用
  • 仕訳は、発生「仕入/買掛金」、支払い「買掛金/現金・普通預金」、返品「買掛金/仕入」の3つが基本
  • 貸借対照表では正常営業循環基準により流動負債に区分し、決算をまたぐ残高はそのまま翌期へ繰り越す
  • 残高がマイナスなら必ずエラー。前渡金への振り替えか、消込のやり直しで解消する

買掛金の考え方がつかめたら、あとは手を動かして覚える段階です。Love.Accountants の仕訳ドリルには、掛け仕入の発生・支払い・返品を含む仕訳問題を収録しています。無料で始められるので、読んだ知識をその場で試してみてください。

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